習近平氏の方は、上海閥の江沢民人脈ではないか、親の七光りの太子党ではないかと評判が悪いようだ。しかし経歴を見ていたら驚いた。下放された先が陝西省の延川県だという。じつは私は2003年8月に、陝西省延川県のとある村の植林事業の調査をしたことがあった。その際、村の農家のおじいさんと植林現場の山道を散策していて、以下のような話を聞いたのを思い出した。おじいさんは廃屋になったヤオトン(黄土高原に一般的な横穴式の住居)を指して次のように語った。「文革の頃、あのヤオトンに下放されてきた知識人青年が住んでいたんだ。最初のころは村の生活に適応できなくて大変に苦しんでいたものだった。しかし、大変な努力家で、見事に困難を乗り切った。村人から農作業を熱心に学び、ついには村内の青年たちが見習うべき模範的な農村青年になった。文革が終わって彼は北京に戻ったが、その後連絡がない。今頃どうしているのだろう」。私はそれを聞いて、「それだけの人物なら今頃、党幹部に出世しているんじゃないですか」と答えたものだった。
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これまで中国の農民は、条例に反して、違法に植林地でアグロフォレストリーを実行することで、政府の施策へ抵抗の意志を示してきました。ついに中国政府は、農民の違法行為を追認し、それを合法化するに至りました。
中国の政策転換は、しばしば農民の違法行為を政府が追認するという形で起こります。1978年からの集団農場の解体と農地の家庭請負制の導入も、安徽省の農民の命をかけた違法行為を、小平が追認したことが始まりだったのです。
アグロフォレストリーの合法化という今回の中国政府の政策変更も、農民が政府に勝利した結果とも言えるのでしょう。 . . . 本文を読む