代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

ベーシックインカムからベーシックサービスへ

2020年08月30日 | 新古典派経済学批判
最近、ベーシックインカムではなく、公共料金を引き下げるベーッシクサービスをという議論が起こってます。たとえば財政学者の井手英策氏などがそう主張しています。医療や福祉など社会保障を無償に近づけていく考えです。これは「万物の商品化」の流れを反転させ、生きるための基礎的サービスを「脱商品化」しようという考えです。ベーシックインカムは生活必需財のインフレによって格差をさらに拡大させますが、ベーシックサービスであれば、格差を縮小させるでしょう。 . . . 本文を読む

水戸学・国学とマルクス主義 ―自民党と共産党への提言

2020年08月30日 | 政治経済(日本)
日本の近世末期から近現代の歴史の中で、もっとも多くの若者を不毛なテロ活動に追いやってきた二大思想といえば、なんいっても水戸学・国学とマルクス主義であろう。一般的に前者は右翼テロ、後者は左翼テロと呼ばれるが、両者は同根である。  絶対的に正しいと信じ込める「普遍的な理論」があると、それを認めず、その理論に反する行動をとるような人びとを、右派は「売国奴・国賊」、左派は「反革命・人民の敵」など呼び方は異なるものの、いずれも存在してはいけない人間と考えるようになり、極端にいくと「殺してもかまわない」と考えるようになってしまうのだ。理論の中身は違っても、思考のロジックは同じである。 . . . 本文を読む

大河ドラマ「青天を衝け」で水戸徳川家をどう描くのだろう?

2020年08月28日 | 歴史
来年のNHK大河ドラマの「青天を衝け」。前半では、血洗島村(現埼玉県深谷市)の豪農であった渋沢家と、のちに渋沢栄一が仕える徳川慶喜の出身藩である水戸徳川家をパラレルに描くという設定のようである。水戸徳川家といえば、明治維新を生んだテロリズムの思想の発祥地である。若い頃の渋沢栄一も水戸学思想を信奉し、横浜焼き討ち(すなわち居住する外国人の皆殺し)を計画するという、ISの如き、恐るべきテロリストであった。前途ある若者たちを次々に自爆テロへと追いやっていったのが、水戸学という思想の魔物。このテロリズムの思想を、いったい大河ドラマはどう描くのか、興味津々である。 . . . 本文を読む

ベーシックインカム論に反対していた宇沢弘文

2020年08月26日 | エコロジカル・ニューディール政策
投入すべき財政資金があるのであれば、生産と消費の形を持続可能なものに変えていく創造的な活動であるグリーン・ニューディールに投じるべきで、現行の非持続的生産体系をそのままにして刹那的な消費を促すだけのベーシックインカムに投じるべきではありません。  経済学者の宇沢弘文先生は社会的共通資本の整備を通じて公共料金を引き下げることによって生活を保障するべきで、ベーシックインカム論には反対していました。ベーシックインカムを礼賛する人びとには、あまりにも甚だしい経済に対する無知があります。 . . . 本文を読む

『日本を開国させた男、松平忠固』の反響

2020年08月25日 | 松平忠固
 先月出版した『日本を開国させた男、松平忠固 ―近代日本の礎を築いた老中』(作品社)の反響が徐々に出てきました。手前味噌で恐縮ですが、いくつか紹介させていただきます。  ネットでは、まずジャーナリストの柳原三佳さんがJB Pressでの連載記事の中で「井伊直弼ではなかった!開国を断行した人物」と題して紹介して下さいました。 https://jbpress.ismedia.jp/articles/ . . . 本文を読む

国交省が「流域治水」に転換した

2020年08月25日 | 治水と緑のダム
 先月の7月22日、永田町の参議院の議員会館で、気候危機の時代の水害対策を検討するシンポジウムが開かれました。主催は、参議院議員の嘉田由紀子さんや衆議院議員の大河原雅子さん、阿部知子さん、篠原孝さんなどの国会議員でつくる実行委員会でした。私もゼミの学生たちと受付など会場設営のボランティアをしながら拝聴しておりました。   youtubeで動画が公開されたのでシェアさせていただきます。 流域治水の . . . 本文を読む