代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

社会的共通資本とは何か

2014年11月28日 | 新古典派経済学批判
現在の社会的共通資本のネットワークは、過去における人々の活動の累積的な作用として形成されてきたのであり、明日の社会的共通資本のあり方は、今日の人々の活動によって決められていく。今度、宇沢先生と私の編で出す予定の『社会的共通資本としての森』(東京大学出版会)にその辺も書かれていますので、よろしければご参照ください。TPPで何よりも許せないのは、いちど決めた取り決めは後戻りさせることはできないというラチェット条項が含まれていることです。これは人間活動による制度の進化の可能性を閉ざすものであり、民主主義も社会発展もすべてを否定するものです。将来世代が、その条項を拒否したときに、それを覆す権利が認められないというのですから!! これほど人間の尊厳を冒涜した話しがあるでしょうか。ラチェット条項は明確に違憲です。 . . . 本文を読む

なぜ西郷隆盛は国民議会論を捨て王政復古クーデターを断行したのか?

2014年11月19日 | 歴史
 赤松小三郎の建白書を下敷きにしたと思われる「薩土盟約」の段階では、西郷隆盛は議会政治の導入を受け入れていたようにも思える。その後、西郷は、国民議会論を捨て、武力討幕路線へ転換し、赤松小三郎を暗殺し、王政復古クーデターを断行した。この背景に何があったのか?   薩長公英陰謀論者さんより、これらの問題についての興味深い仮説が投稿されてい参りました。全文を再掲させていただきます。   ***以下引用* . . . 本文を読む

美智子皇后と明仁天皇は「日本の民の象徴」

2014年11月16日 | 長州史観から日本を取り戻す
美智子皇后にささえられた明仁天皇は憲法にいう「日本国と日本国民統合の象徴」すなわち「国家の象徴、民の(国家への)統合の象徴」であるよりむしろ「日本の民の象徴」であると思えます。言わば「最善の日本人」なのだと。明治維新から敗戦までのいわゆる「天皇制」が如何に「日本の長い歴史と伝統の中で異質なものであったか」あまりにあきらかです。下町江戸っ子の末裔から見て、かような長薩の思考と行動には、その現在の姿を含めて、正直言って些か日本人ばなれした「異常性」を感じるというのが正直なところです。 . . . 本文を読む

天皇陛下によれば日本の歴史と伝統に合致するのは明治憲法でなく日本国憲法である

2014年11月13日 | 長州史観から日本を取り戻す
 *「天皇を主権者」とする「大日本帝国憲法」は、日本の長い歴史と伝統の中では異質なものであったこと。その異質さ故に、日本を戦禍に巻き込み310万人も犠牲にしたこと。 *「天皇を象徴」とする日本国憲法の方が、日本の歴史の中の天皇制の伝統に合致すること。つまり古来日本では天皇の地位は象徴的であったこと。その日本国憲法が、産業と国民生活の発展を可能にしたこと。  私もこうした明仁天皇の歴史認識にまったく賛同いたします。 . . . 本文を読む

社会的共通資本は公共財とは異なる ―岩井克人氏に反論する

2014年11月12日 | 新古典派経済学批判
岩井克人氏の社会的共通資本批判は以下の二つの点で間違いである。 ※ 社会的共通資本は「ストックとしての公共財」などと言い換えることは不可能な概念である。社会的共通資本は、公共財の概念とは全く違う次元の概念である。宇沢先生による社会的共通資本の提唱の背後には、ポール・サミュエルソンが提示した「公共財」概念への批判がある。「公共財」という概念は、分析装置として全く間違っているから、社会的共通資本の概念を新たに提示する必要があったのである。 ※ 社会的共通資本は社会主義に陥らないための概念である。社会的共通資本は国有化ではない。社会のさまざまなステイクホルダーの関与によって運営されていくものであり、社会主義とも市場原理主義の双方のシステムの批判の上に構築されたものである。 . . . 本文を読む

続・TPP違憲訴訟 ―宇沢先生最後の闘いに連帯しよう

2014年11月05日 | Stop! TPP
宇沢先生が亡くなる直前に最後の運動として呼びかけられたのがTPP違憲訴訟です。宇沢先生はお亡くなりになる6日前に、TPP反対運動を共に闘った山田正彦さん(元農林水産大臣)の呼びかけに応え、TPP違憲訴訟の呼びかけ人に名を連ねました。宇沢先生のパートナーの浩子さんの言葉を読んで下さい。 「TPP反対に心血を注いでいました。それが命を縮めることになりました」と。 TPPは憲法の上に君臨する最高法規として日本国民を縛り付けるでしょう。欲望に目がくらみ、倫理観も正義感も全くなくなった、米国の強欲大企業の思うがまま、日本国民の健康と安全な生活を衰滅させていくでしょう。これが違憲でなくて何だというのでしょうか。 皆さん、宇沢先生が、命を賭して訴え続けたことの意味を考えてください。TPP違憲訴訟の原告となって、宇沢先生と共に闘いましょう。 . . . 本文を読む

大河「真田丸」に関白秀次の娘は登場するのか?

2014年11月03日 | 真田戦記 その深層
 全員斬首されたはずの豊臣秀次の子供たちであるが、なぜか秀次正室の娘が二人生き残って、そのうちの一人は後に真田信繁(幸村)の側室になった。信繁の側室の隆清院がそれである。しかしドラマでは幸村と秀次の娘は描かれたことがないようである。  秀吉による秀次一族の皆殺し政策の中にあって、なぜ隆清院は生き残ることができたのか? そして、どのような経緯で、隆清院は真田信繁の側室になったのか、興味は尽きない。発覚すれば自身にとっても不都合であろうに、罪人・秀次の娘をかくまったという史実は、真田信繁の優しい人間性を物語る重要なエピソードであるように思える。秀次の娘をドラマに登場させると格段に面白くなるだろう。 . . . 本文を読む

明治維新とは何か ―赤松小三郎と松平伊賀守忠固の早世を惜しんで(コメントの再掲)

2014年11月03日 | 歴史
江戸末期から内発的に自生しつつあった、日本型の民主主義への発展径路が、明治維新によって強引に捻じ曲げられてしまったと私も思います。日本は古来から象徴天皇制であり、それが正しい姿でしたが、天皇を「主権者」と錯覚する水戸国学の誤った歴史認識を敷衍させることによって、天皇の名の下の官僚独裁権力が生み出されてしまいました。「彼ら」は、「主権者」であるはずの孝明天皇が、「彼ら」の意図に反して王政復古に反対すれば、暗殺して取り除くことも辞さなかった。結局のところ、彼らは天皇など、自らの独裁のための道具としか考えていなかった。安倍政権もそうでしょう。今上天皇は、日本は古来より象徴天皇制だとおっしゃり、天皇を「元首」と規定する自民党改憲案に反対しておられます。「彼ら」の思想が、いかに危険か、そして天皇制そのものも危うくするものであるということを、天皇陛下はよく認識しておられるからだと拝察します。 . . . 本文を読む