「原案の実施に必要な事業費と、実現性についての見通しを示すべき」という要請に対する、関東地整の回答は以下のようなものであった。
「河川整備計画は、河川工事の目的・種類・施行の場所等を定めるもので、事業費を定める計画ではないと考えています」
事業費の実現可能性を抜きにして、およそ実現不可能な法外な額の河川工事の計画を定められて、それを根拠に納税者にたかられてはたまったものではない。事業費を勘案しない計画などあり得るのだろうか?
スーパー堤防を計画のメニューに加えるだけで、事業規模はすぐに2兆円にも膨れ上がり、日本の財政状況を考えて、およそ実現不可能である。与えられた予算の中で、堤防整備区間をより長くしようと考えれば、当然、スーパー堤防は外され、より低コストで実行可能な既存堤防の強化工事が選択されるはずであろう。目標流量を1万5000㎥/秒とすれば、八ッ場とスーパー堤防は真っ先に消える事業となる。 . . . 本文を読む
台湾の日刊紙『自由時報(ザ・リバティ・タイムス)』が中国四川省の相次ぐ大地震は三峡ダム建設の結果生じた可能性があると報道している。詳しくは、下記、「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」のサイトを参照されたい。
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-2305.html
事実とすれば中国政府は本当に罪深いことをしたものである。三峡ダムと四川 . . . 本文を読む
川辺川ダムを中止し、荒瀬川ダムの撤去が進み、「ダムに頼らない治水」の最先端を走る熊本県で、さる4月5、6日に「脱・基本高水研究会」が開かれ、「基本高水」という虚構の数値を前提とした国の治水計画の呪縛からの脱却を目指す内容の川辺川アピールが採択されたそうです。下記に、八ッ場あしたの会のホームページより全文を転載させていただきます。このアピールの主張に全面的に賛同いたします。
基本高水という数 . . . 本文を読む
以下は、3月18日をもっていったん議論を打ち切られた利根川・江戸川有識者会議に対して私が出した追加意見書です。会議を通して、貯留関数法と総合確率法という、国交省が利根川水系のダム計画の根拠にしている洪水流量の計算方法に、使用には耐えない科学的問題が含まれていることが明らかになりました。この議論が継続されることを強く望みます。国交省におかれましては、ぜひ途中で終わっている会議を再開してください。
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私も委員として参加しておりました利根川・江戸川の有識者会議が先日3月18日の会議をもって打ち切られることになりました。常軌を逸したメチャクチャな議事運営が続き、毎回唖然とするばかりでしたが、議事録だけは残ります。
以下の推論が妥当か否か判断してみてください。
(1)計算値と実測値のあいだには乖離がある。
(2)その乖離の理由を科学的に解明することはできなかった。
(3)しかし計算 . . . 本文を読む
前回3月8日の利根川・江戸川有識者会議の場で、ダムという「点の治水」から流域全体で雨水の浸透性と貯留性を高めるという「面の治水」を訴えてきました。その顛末を紹介します。
流域治水の有効性を否定し、あくまで「点の治水」を訴える委員の方々の理屈に、こちらは「目が点」になりそうでした。詳しくは、追って議事録が公開されます。流域全体で雨水の浸透性を高めることこそ八ッ場ダムなどよりもはるかに効果のある . . . 本文を読む
本日(2013年3月8日)は第10回の利根川・江戸川有識者会議。国交省が会議の打ち切りも示唆する中で、ひょっとすると今回が最後かも知れません。本日は以下のような内容の意見書を国土交通大臣宛てに出すつもりです。
流域全体で雨水の浸透性・保水性を上げるという流域治水で八ッ場ダムを代替するという内容です。その方策はたくさんありますが、下記では雨水浸透枡、ウッドチップ舗装、田んぼダム、森林保水力向上の . . . 本文を読む
昨日(2月21日)利根川・江戸川有識者会議に出席した。
議題は「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」について。今後30年の利根川と江戸川の整備計画の原案である。まだ原案なので、今なら修正は可能だ。
会議の中で、野呂法夫委員(東京新聞特報部)は、「ついに絶滅危惧種となってしまったウナギをどうやって復活させたらよいのか、具体案がまるで書かれていない。こんなことでよいのか」という問題点を指摘され . . . 本文を読む
山林荒廃と大崩壊が大水害の原因と旧建設省自体が認めていた。百歩譲ってカスリーン台風で1万7000㎥/秒が流れたという当時の建設省の過大な数字評価を認めたとしても、山林が曲がりなりにも回復した現在の状態では、カスリーンと同じ台風が襲来しても崩壊の発生面積は大幅に減る。カスリーン台風が再来した場合の流量は、それよりも低くならなければならないのは自明の理である。旧建設省の資料に依拠しても、これは明らかな論理的帰結である。
ところが、国交省いわく、現在の森林状態でカスリーン台風が再来すれば、1万7000㎥/秒よりも増えて、2万1100㎥/秒になるという。いったい誰が、このような理屈を承認できるのだろう? . . . 本文を読む
1月21日から利根川・江戸川有識者会議が再開される。私も委員になった以上は、国交省の方々の協力も得て、ダムに頼らない治水を目指したい。
国交省の水管理・国土保全局(旧河川局)の行政権限を拡大すれば、それは可能だと思う。これまで旧河川局の行政権限は河道の内部にしか及ばなかった。そのため、どうしても河道の内部にダムのような洪水制御施設を設けて雨水を貯留するという治水対策に頼ることになってしまっ . . . 本文を読む
10月16日に第7回の利根川・江戸川有識者会議が開かれ、国交省による1947年の洪水氾濫図のねつ造問題などが指摘されてから、4回続けて予定されていた有識者会議がキャンセルになりました。こちらは授業を休講にしたり、仕事を他の先生に代わってもらったり都合をつけて予定を空けるのが大変なのですが、国交省はいつも直前になって会議のキャンセルを伝えてきます。正直、ひどい迷惑をこうむっています。
どう . . . 本文を読む
1997年に改正された河川法の第一条には「河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理する」と書かれている。しかし、国交省は、ダム建設のため「目標流量先にありき」の議論を進めている。現行の河川法のどこを読んでも、「河川整備計画の策定に当たってはまず目標流量を決めねばならない」などという規定はない。利根川の治水基準点の目標流量を1万7000㎥/秒とすれば、直ちに上流に八ッ場 . . . 本文を読む
以前、毎日新聞(何故か西日本版のみ)が記事にし、当ブログでも紹介した東京大学演習林・生態水文学研究所の緑のダム研究、本日(2012年11月13日)の東京新聞が一面と特報面で大きく報道しています。図と共に一部引用させていただきます。
お恥ずかしながら私のコメントも掲載されています。
ネットでは一面のみ閲覧できますが、ネットでは公開されていない特報面でさらに詳述しておりますので、ぜひ新聞の現 . . . 本文を読む
利根川・江戸川の有識者会議に関して、昨日、関東地整からメールがあり、「関東地方整備局といたしましては、第5回から第7回までの会議において概ねご意見は出揃ったものと考えております」とのことでした。その上で、もし追加で意見があるようだったら11月1日の木曜日までに書面で提出するようにとのことでした。毎日、授業で追われて意見書書く時間も十分に取れないのですが、それを見越したように中二日で文書を提出せよ . . . 本文を読む
私もひょんなことから巻き込まれています利根川・江戸川有識者会議。
前回(10月16日)の会議で一番大きな話題になったのは、①八ッ場ダム建設を正当化する目的に沿って国交省は1947年洪水の氾濫図まで捏造していた、という事実。
他にも前回の会議では、②国交省の計算モデルが利根川上流の実際の地質構造を反映していないこと、③それも一つの理由として中規模洪水から構築したモデルは大規模洪水には当て . . . 本文を読む