地球温暖化対策というのなら、即刻、WTOの関税引き下げ交渉を打ち切り、すぐにでも関税引き上げ交渉を開始すべきなのです。私に言わせれば、関税率をちょっと引き上げて地産地消を政策的に誘導するだけで、地球全体でかるく30から40%のCO2排出を削減できます。そんなの、ちょっと試算すればすぐに分かることです。「関税引き上げ」は、もっとも低コストで実行可能で(というより政府から見たら税収増になるのでコストはゼロ)、また副作用も少なく、政府にも生産者にも消費者にもメリットの方が大きい温暖化対策です。なのに誰もそんな主張をしようとしない、そんな研究をしようともしない。させてもくれない。日本の政策研究者が米英の市場原理主義的処方箋で洗脳されているからそうなるのです。農産物貿易に伴う外部不経済は他にもたくさんありますが(生物多様性の破壊、森林破壊、窒素輸入による富栄養化、塩害、砂漠化、土壌流出など)、とりあえずフードマイレージとバーチャルウォーターという二つの外部不経済を貨幣換算し、それを内部化するために課税しようとするだけでも、かるく現行の関税率の水準を上回る税金を課さねばならないということが分かるでしょう。ならば、関税率を引き上げろという議論にこそなれ、引き下げなどあり得ない話です。 . . . 本文を読む
私の政策研究への批判点といえば、彼らが現場に立脚にしていないが故に、欧米が各自の利害から仕掛けてくる「トレンド」を無批判に受け入れすぎているという点に尽きます。国際レベルでの「流行」を作り出すのは欧米で、日本の政策研究者は、欧米の戦略に自覚的に対峙するしたたかさもないまま、欧米発のトレンドに受け身で流されがちなのです。逆に、私の地域研究への批判点はといえば、「地域研究者の政策マインドのなさ」という一言に尽きるでしょう。日本の地域研究者ときたら、地域の現場にドップリと沈澱して、地域の社会構造をオタッキーに、微に入り細に入り、こと細かに記述し、それでよしとする風潮が強すぎるのです。 . . . 本文を読む