代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

2024年11月4日 田中優子氏講演「赤松小三郎から見た江戸時代」【拡散歓迎】

2024年09月04日 | 赤松小三郎
 赤松小三郎研究会主催で、2024年11月4日、江戸文化研究者の田中優子先生(前法政大学総長)をお招きして講演会を行います。「赤松小三郎と江戸の民主主義」という驚くべき演題です。  続くパネルディスカッションでは若手洋学史研究者の橋本真吾氏と私も登壇して、田中優子先生と共に「赤松小三郎と江戸の民主主義」を語ります。橋本氏は、江戸時代に訳された「共和」という概念がもともと民主主義の意味で使われていた . . . 本文を読む

安藤優一郎著『幕末の先覚者赤松小三郎』(平凡社)

2022年08月24日 | 赤松小三郎
 このたび、歴史学者の安藤優一郎氏の著書『幕末の先覚者赤松小三郎』(平凡社新書、980円)が発売されました。いま本屋の平凡社新書の棚にいけばあるはずです。昨年、私もメンバーである赤松小三郎研究会の講演会で安藤先生をお呼びして講演会を企画し、それがきっかけで本書が誕生しました。コンパクトにお手頃な価格で、赤松小三郎の生涯をたどることができます。小三郎の生涯を知らない方が読めば、幕末史の見方が変わる一 . . . 本文を読む

原市之進暗殺と赤松小三郎暗殺は連動している

2021年07月21日 | 赤松小三郎
品川が西郷のところを訪れたのは、挙兵計画の打ち合わせのためである。その夜、「原市之進に天刀が加えられた」と、薩摩藩士の内田仲之助が品川弥二郎に告げているのである。  「天刀」という表現の用い方は、まるで薩摩が原市之進に天誅を加えてやったと、長州藩の品川に自慢でもするかのような言い方である。もともと水戸藩周辺のテロリストは薩摩藩と深くつながっている。もともと井伊直弼の暗殺も水戸と薩摩の尊攘派の共同謀議である。5月に小三郎が議会政治の建白書を公儀に提出した折、原市之進はそれに理解を示していた一人だったと思われる。原も大政奉還を実施し、薩長との内戦を回避するというシナリオを描いていた。小三郎とは、その方向性において志を同じくしていたはずである。御所を襲撃し、天皇を拉致し、「幕府」と会津の屯所を襲撃するという壮大なテロ計画を固めた薩長にとって、原市之進も赤松小三郎も、事前に取り除かねばならない障害だった。二つの暗殺事件は連動しているのであろう。  . . . 本文を読む

徳川慶喜は議会政治を始めようと大政奉還を行った

2021年07月21日 | 赤松小三郎
徳川慶喜は、議会政治の導入を前提として大政奉還に同意したのであった。その上で渋沢は、慶喜がこのように決断するに至った背景として、当時、徳川政権の側も含めて議会政治を開始する機運が高まっていたことを論証する。嘉永年間より議会政治を求める気運が次第に高まって、大政奉還に至ったのであった。渋沢は、土佐藩の大政奉還建白書の提出に先立つ公議政体論の系譜を、ペリー来航時の老中阿部正弘にまで始原を遡って紹介している。とりわけ、その系譜についての全体の記述の半分近くを赤松小三郎の議会政治論の紹介に充て、それを評価するのである。 . . . 本文を読む

音声ドラマ「小三郎伝」合情記 •You Tube版公開

2021年01月28日 | 赤松小三郎
 みなとかおるさん原作の音声ドラマ「小三郎伝」の動画付きのバージョンがYouTubeに公開されました。ぜひご視聴ください。   「小三郎伝」合情記 •みなとかおる作:声の出演: アライジン•森山高至•大矢敏幸•氏家信樹•三輪和音 (音声ドラマとして制作) 【ネタバレ注意】  このドラマはフィクションであり、赤松小三郎暗殺事件の背後に大英帝国の影ありという筋書きです。ドラマの終盤で、イギリス . . . 本文を読む

赤松小三郎所有の測量器具一式

2020年10月14日 | 赤松小三郎
左上の写真は、今日で言うところの「トランシット」に相当する測量器具である。初めて見た時には、あまりの精巧さに、にわかに江戸時代の国産品とは思えなかった。江戸時代の末期には、すでに近代化の歩みが着実に始まっていたことがうかがわれる。  赤松小三郎が、これらの器具を使って、藩士たちに手ほどきをしていたのだろう。余談だが、老中を務めた藩主の松平忠固の四男の松平忠厚は、廃藩置県後にアメリカに渡り、アメリカにおいて新しい測量器具を発明してその名を全米に轟かせた。明治の初期から、測量学の世界の最先端で活躍した忠厚のような人物が出たのも、これらの測量器具を見ていると頷ける。 . . . 本文を読む

ラジオドラマ『小三郎伝』合情記・みなとかおる 作

2020年10月10日 | 赤松小三郎
 このたび赤松小三郎が出てくる音声ドラマが制作されました。以下の『日本史別天地』というサイトの第1作目として制作されたそうです。興味のある方、ぜひ聴いてみてください。 日本史別天地 『小三郎伝』合情記 https://anchor.fm/devision-division/episodes/ep-ekinv9  原作はみなとかおるさんです。みなとさんは、拙著を読んで評価して下さり、そこから赤松 . . . 本文を読む

勝海舟関係文書の中に赤松小三郎のオランダ語写本発見

2020年07月01日 | 赤松小三郎
 勝海舟と赤松小三郎の師弟関係が窺える、ちょっとした発見を記します。国立国会図書館の勝海舟関係文書の中に、赤松筆跡のオランダ語資料があったという発見です。  日本銃砲史学会という学会があります。私は会員ではないのですが、昨年「赤松小三郎と銃」について発表して欲しいという依頼を受けました。「私は銃については素人なのでムリです。赤松小三郎と銃については是非銃砲史学会の皆さまで研究していただきたい」と . . . 本文を読む

桐野利秋VS野津道貫の赤松小三郎をめぐる因縁対決 「雲よ、伝えて!」

2020年06月09日 | 赤松小三郎
 赤松小三郎が登場する漫画を紹介させていただきます。岩見沢友紀作「雲よ、伝えて! ~明治報道奮戦記」です。最近相次いで文学作品や漫画で赤松小三郎が取り上げられるようになってきて、本当にうれしいことです。  この作品は同人誌ですが、プロのクリエイターの作品で、『ジャ〇プ』に連載されている漫画かと思うくらいにクオリティが高いです。  其の4(第4巻)では、桐野利秋と野津道貫の、赤松小三郎暗殺事件をめぐ . . . 本文を読む

【書評】小栗さくら著「波紋」(『小説現代』2020年4月号掲載)

2020年03月30日 | 赤松小三郎
今月号の「小説現代」に、中村半次郎による赤松小三郎暗殺事件を扱った小説が掲載されたという情報をネットで知って、早速書店で買い求めて読んでみました。小説の最後のシーンにはこうあります。「半次郎は振り上げた刀で、今を生きるために、未来を殺す」と。この言葉はあまりにも重い。読者に繰り返し、繰り返し、その意味を考えて欲しい一文です。私たちは殺された未来の中で、今を生きているのだ……と。 . . . 本文を読む

上田に戻った赤松小三郎の遺品(銃・八分儀・弾薬箱)の展示が始まる

2020年01月23日 | 赤松小三郎
 昨年から赤松小三郎研究会の有志でお金を出し合って、県外に流出していた赤松小三郎の遺品の買い取りを始めています。今月から、上田市立博物館で、昨年買い取りをしたミニエー銃(エンフィールド銃)、八分儀、弾薬箱の三点の展示が始まりました。(以下の記事参照)。興味のある皆さま、ぜひ一度足を運んでみてください。  今回博物館に寄託した品々は、もともと赤松家にあったものですが、上田のコレクター(故人)の手に . . . 本文を読む

赤松小三郎の測量術についての新史料

2019年11月03日 | 赤松小三郎
<承前>  赤松小三郎が23歳のときに「清水流規矩術(測量法)」をまとめた冊子が見つかりました。これまで知られていなかった新史料です。  清水流の既存のテキストを単に写本しただけのものかも知れません。あるいは、清水流のエッセンスを小三郎の視点でまとめたノートなのかも知れません。まだよく分かっていません。これから調べます。  この冊子が書かれたのは嘉永5年なので、ペリー来航の一年前です。このとき赤松 . . . 本文を読む

赤松小三郎の遺品を上田市立博物館に寄託してきました

2019年11月03日 | 赤松小三郎
 昨日、上田市立博物館に赴き、赤松小三郎の遺品などを寄託してまいりました。小三郎所有と伝わる英国制のエンフィールド銃、八分儀、海軍弾薬箱の三点です。  これらの遺品は、もともと上田のコレクターの方が赤松家から買い取って所有しておられていましたが、県外のコレクターの手に渡っておりました。この度、私も含めた赤松小三郎研究会の有志で資金を出し合って三度にわたって買い取り、上田市立博物館に寄託してまいりま . . . 本文を読む

渋沢栄一による赤松小三郎の評価

2019年09月22日 | 赤松小三郎
 だいぶ遅れましたが、渋沢栄一の一万円札の肖像就任と再来年の大河ドラマ主役抜擢を祝ってこの記事を書きます。  紹介したいのは、渋沢栄一が議会政治の先唱者として赤松小三郎を高く評価していたという事実です。  紙幣の肖像に始めて旧幕臣としてのアイデンティティーを持つ人物が採用された点はまことに意義深いと思う。福沢諭吉も一時期幕臣であったが、彼は「幕臣」としてのアイデンティティーを持ち合わせていたよう . . . 本文を読む

信濃毎日新聞の一面コラム「赤松小三郎と選挙」

2019年07月25日 | 赤松小三郎
江戸時代から身分・財産・性別に関係のない「入札(いれふだ)制」(=普通選挙)を唱えていた人物がいたという事実は、日本人として記憶すべきと思われます。もしかしたら慶応年間に達成されていたかも知れない男女普通選挙。赤松小三郎が暗殺されてから、実際に実現されるまで78年間の月日を費やしたということは肝に命じるべきでしょう。赤松小三郎の内弟子の中には新選組の隊士もいたと、暗殺者の中村半次郎の日記に記されています。つまり、小三郎の唱える議会制民主主義の理念に共鳴していた新選組の隊士もいたということなのです。しかし、いまだに新選組の誰が小三郎の内弟子だったのか特定されていません。新選組が復活したことに、あの世の小三郎も喜んでいるかも知れません。 . . . 本文を読む