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私の日常臨床38

2018-12-13 07:57:00 | Weblog
今回の症例も、前回に続き他院からの処置依頼症例。
患者は58歳女性 主訴はかみ合わせと顎の調子が悪い。

紹介元の歯科医からのメールでは、紹介元の医局の症例検討において、
『前歯をプロビに置き換えた上で矯正をし、欠損部にインプラントは可能か』というテーマで資料採得と分析を行ったが
前歯の状態も悪くTEKに置き換えるのもリスクがあり、矯正もかなり困難ということでなしになり、
歯周治療をメインとした治療を行い、希望があればSPTで経過観察をして前歯を保たせるだけ保たせるという方針で
専門的歯周治療を開始したとのこと。
再評価時、前より顎位が不安定な印象を受け、患者に聞いたところ、
『最近どこで噛めばいいかさらにわからない。ずれてる感じ。右では体積があって厚みのあるものしか潰せない。
                                意識しながらでないとモノが噛み切れない』
とのことであったらしい。そこで、その医院でスプリントや咬合調整による治療を提案したとのことだが、
これ以上歯を失うリスクなどをかなり心配されており、もっと専門的な医院での処置を希望されたとのことで、当院を紹介したとのこと。

そこそこの長い期間、この症状になやまされているとのことだが、
私は紹介元の先生からの送られてきたメールの内容を拝見し、何が原因で何をするべきかは
すぐに予測はできたが、予約来院時の口腔内を観察したところやはり想像していた状態だったため
2時間ほどかけて、その日のうちに90%ほどの症状を改善してあげた。
初診時、紹介元の歯科医が見学させてほしいとのことで、
私がどのように処置するか目の前で補助につきながらみておられ、
患者がずっと悩んでいた症状があっという間になくなっている様相をみて、かなり衝撃をうけていたが
この症例も難症例にとらえられがちだが、原因がすぐに対処できるものは難症例ではない。
このような症例はスタビスプリントを用いるのは時間の無駄である。
この症例、患者が話す症状に、診査診断に必要なすべてのヒントがある。

名古屋方面から1時間半かけて当院にこられているので、
短い時間の診療は失礼にあたるため、毎回2時間くらいかけて処置を行っている。
提示してる写真は初診時と3回目の来院時の口腔内写真である。