欠損補綴を伴う症例において我々は
一般的に治療計画を立てる場合、口腔内の状態から
長期的に予後が望める治療計画を立てることが多い。
そして治療計画において、患者背景(全身的既往歴や経済的背景)も
考慮するべきということは周知のことであろう。
しかし実際の臨床ではどうであろうか?
当院に転院してくる症例の多くは
医院の経営性が優先された治療や治療計画を立案されてきた事例である。
20代~40代の家庭がある患者への自費治療をすすめる場合、
職業、子供の人数、子供の年齢、計画的資金(学費、家のローンなど)等の背景は
十分に考慮してあげなければならないと考える。
そのため事例によっては、我々の治療計画に沿わすための費用に
デンタルローンを組ますことは、私的にはいかがなものかと考える。
(ローンを組ますざるえない事例でもできる限り最低限の計画にするべき)
本当の地域医療とは、総合的な局面で勘案し、限られた条件の中で
よい結果をだせるように我々が最大限努力することである。
例えば提示する症例のレントゲンをみてもらいたい。
患者は40代の既婚男性会社員
主訴は左上5の腫れ、破折のため抜歯処置となったが
口腔内所見では、咬合力とクレンチングが強いことが伺える事例である。
治療計画を立てる場合、この事例なら、おそらくほとんどの歯科医なら
左上56にインプラント治療を進めるであろう。私でも同じである。
しかし患者背景の問診から、患者にとっては経済的に難しい決断であった。
ならば④56⑦のブリッジを計画した場合、予後にどういうことが起こるかは
簡単に予想がつく。では56のRPD? これも同様である。
なら、どのような治療計画を立てることが最善か?
この症例では、高額な費用をかけさせないで、必要な保険外治療は
できる限り費用を抑えた方法を私は立案して、患者から承諾を得た。
皆さんなら患者背景を重視した場合、どのような治療計画を立てますか?
この症例、PGI名古屋の月例会で同じテーマで
私が考えたことと治療を提示するつもりある。