ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

思い出のプログレ・アルバム#6 クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムゾン

2012年10月03日 | プログレ
(原題 In The Court Of The Crimson King) 思い出のプログレ・アルバムもとうとう最後の5枚目の紹介となった。このブログの当初の紹介ではNo.5としてランクしていた作品だが、私がプログレ、いやロック・ミュージックと本格的に出会ったきっかけとなったものとして考えるならば、第1位の存在とするべき思い出深いアルバムである。ビートルズの「アビー・ロード」を1位から引きずり落としたとか、プログレッシブ・ロックの金字塔とかの修飾語は私にとっては後付けであり、ともかく私はこのアルバムによってロック音楽に目覚めたのである。
 具体的にいえば、アルバム最後に収録されている「クリムゾン・キングの宮殿」という楽曲である。この曲を当時のNHKローカル局でのFMリクエスト番組で聞いたのがクリムゾンとの出会いである。衝撃的であった。何だかわからないがオーケストラでの弦のような音(実はメロトロン)に、フルートも用いられ、旋律が美しくて、まるでクラシックの交響曲を聞いているかのような感じがした。当時時々耳にしたハードロックバンドの曲には全く興味が持てず、ただうるさいだけと感じていた私が、これもロックなのか?と思わせた曲であった。ただ、その時は曲名やバンド名を聞き逃し、かろうじて聞き取った「宮殿」という言葉だけを頼りに、町のレコード店に足を運び、その曲を探し回った。幸運にも探し当てることができたが、そのジャケットのイラストのもの凄さと、ラジオで聴いた曲との不整合さにまた別の意味でのショックを受けた。
 購入して家で針を落として始まった最初の曲は「21世紀のスキゾイドマン」。ちょっとうるさいと感じたが、次の「風に語りて」は自分好み、そして続く「エピタフ」には、これほどすごい、これほど美しい音楽があったんだ、と深く感動。このことを誰かに伝えずにはいられないほどクリムゾンに夢中になっていった。
 日本では3枚目の「リザード」が先にリリースされ、当時グレグ・レイクはすでにエマーソン・レイク&パーマーを結成しており、後に聞いた「タルカス」でのベーシストとクリムゾンとの関連性などは全く知らなかったのだが、彼のボーカルやその攻撃的なベース、アコギを多用したギター演奏、独特なドラミング、そして管楽器のアンサンブル、どれを取ってもそのサウンドは私を夢中にさせた。なので、全世界中の人が夢中になるのもうなづける。難点は、ムーンチャイルドの後半がちょっと退屈であることくらいか。
 CD化されてから、特に国内では色々な種類がリリースされた。中古で出回ってからではあるが、やはり買ってしまう(写真。トリビュート盤や、21st Schizoid ばかりを集めた盤も含まれている)。中でも、長らく行方不明だったマスターテープがみつかり、それからリマスターされたとされる04年版と40周年記念の新たなサラウンドリミックス版には大きく興味が引かれた。前者についてはあまり違いがわからなかったが、後者の音の洪水に埋もれるサウンド作りには思わず聞き入ってしまった。
 「クリムゾン・キングの宮殿」は間違いなく名盤である。今後も繰り返し聞くことになるだろう。そして、エピタフにおけるアコギのアルペジオは、私が手にしたギターの音色を確認するときの定番のフレーズとなっているのだ。

 ここまで私の好きなプログレ・アルバムを、番外編も含めて6枚紹介した。実際には思い出深いアルバムは他にも多数ある。EL&Pの「タルカス」「トリロジー」、オランダのグループであるフォーカスの「ムービング・ウェイブス」、ジェネシス「トリック・オブ・ザ・テイル」などは特に忘れることのできない作品だ。今後機会があれば、自分なりの感想を紹介しようと思う。