
その後大学に入ってから、私にとっては既に大きな存在だったジノ・ヴァネリもまだ知る人ぞ知る存在でしかなかった。やがて名盤 Brother to Brother (1978) がリリースされ、かの名曲I Just Wanna Stop が大ヒットとなる。AORの要素に満ちた曲だが、他にも楽器を弾く者が大喜びするテクニカルな曲が含まれる。 アパルーザ、そしてアルバム・タイトル曲は今聞いても名曲だ。このアルバムに参加していたギタリスト、カルロス・リオスはラリー・カールトンの弟子だったそうで、確かにギターの音色やフレーズでの影響力を感じる。
当時、輸入盤では彼の過去のアルバムが購入できた。基本的にはロックなのだが、ボサノバ、ジャズ、R&Bの要素も併せ持つバラエティに満ちた楽曲。サウンド的には兄のジョー・ヴァネリの貢献が大きい。彼自身が素晴らしいキーボード奏者であるにもかかわらず、別にオルガン奏者を迎え入れたり、ドラマーの他にパーカッション奏者を2名加えリズムを充実するなどの特徴的なサウンド作り。さらにシンセ・ベースを多用したり、ドラマチックな展開を聴かせるなどプログレ的な要素が加わる。その観点からいくとPowerful People (1974) やStorm At Sunup (1975) というアルバムに収録された大作、Powerful People、Storm At Sunup、Where Am I Going はどれも聴き応え充分。ソロプレイも見事。次作の A Pauper In Paradise (1977) はアレンジャーであるドン・セベスキーを迎え、オーケストラの加わるタイトル曲が壮大なプログレ組曲となりこれも通には涙もの。アルバムA面のラストを飾るBlack and Blue というバラードも荘厳なストリングス・サウンドがバックに流れ、ジノの情感豊かな歌唱により私の唱える「夢弦サウンド」そのものである。(次回に続く)