ヒロヒコの "My Treasure Box"

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追悼クリス・スクワイア イエス・ミュージックよ永遠に!3 72年ライブ音源集「プロジェニー」

2015年07月04日 | プログレ
 レコード・コレクターズ7月号のイエス特集は参考になる記事が多く、読み応えがあった。今回は新譜としてリリースされた1972年のライブ音源集「プロジェニー」の紹介記事についてである。

 新譜のリリース前に発行されるために十分な内容の紹介がなされない場合も多々あったこの雑誌だが、今回の「プロジェニー」についてはよくぞここまでという手間をかけた分析を掲載しており大変興味深かった。このために筆者はプロトゥールスに7作品+イエスソングスを取り込み、各演奏を比較したとのこと。記事を書くためとはいえ、その努力には脱帽だ。結局それによると、スタジオ盤と寸分違わない演奏をライブで再現するイエスも、その日の各自のコンディションや、機材の状況、ノリの違い等で各演奏に差が生じていたようだ。私はハイライト盤しか購入していないのでその違いを実体験できないが、やはりライブは「生もの」なのだと記事を目で追うだけで充分楽しませてもらった。
 さらに当時「危機」の演奏ではテープとシンクロさせていたり(それが露骨にわかる場面も)、本家イエスソングスにも実は差し替えなどの編集がされていることをこの記事を読んで初めて知った。一方プロジェニー・ライブは「何も足さず何も引かず」の精神でマルチトラックからミキシングしたとのことで、本当の当時の生演奏を聞くことができる。勢いのあったバンドの実態を知るためには貴重な音源とも言えるが、かなりマニア志向とも思う。しかし私としては40年以上も前のこの演奏を、高校生だった頃の思い出と共に堪能することができた。

 さて、クリス亡き後、バンドとしてのイエスはどうなるのだろう。72年当時溌剌としていたメンバーも今は60代後半、ここ数年は若きヴォーカリストを迎えながらもゆったりとした演奏を聴かせていたものだが、バンドが存続していること自体が貴重であった。在籍年数の長さから、意外と2代目ドラマーのアラン・ホワイトが中心となって活動を継続していくのかもしれない。今後に注目したい。