★大ちゃん
私はオープニングでラフマニノフの音楽が始まった瞬間、「これ、テープのびてるんちゃうの?」と愕然とせざるを得なかった。
いやほんま。重い。遅い。たるい。音響割れてる。
東伏見ではまったくそう思わなかったのに何故だ。この現象は!?(と、お隣のHさんに訴えたら“うぐいすさん、CDだからのびないってば”と諭される。そーよね。そのはずだ)
…重い始まりに合わせて跳んできたのは、私には4回転トゥに見えた。でもスケアメの時より大きくステップアウト。ところが帰宅後ディテールを見たらこれ、3フリップに変えてきてるのね。あれー。大ちゃん、なぜ「引く」のか。リスクを避けて他の要素で高得点を…という作戦は、私には消極的に思えてならない。
ここでコンボにする予定が大きく狂い、結局後半の3フリップを予定通りの単独ジャンプで降りてしまったから、こっち(後半のほう)がノーカウント(0点)になってしまうという…これが致命的なミス(同じ種類の3回転ジャンプは、単独では2回跳んではいけない。コンビネーションにしないと)。
次のアクセルは綺麗なランディングだったのに、「3回転をくっつけるぞ!」という気迫がなく、あっさり2トゥにしてしまった…ので神様が罰を下されたのか(この辺、WFS最新号のジョニーの言葉を拝借)着地で大きくトゥをつっかける。
冒頭のこの連続ミスで、少々場内ムードは固まる気配。アップの6分間で感じた、私の「ほんの数ミリ」の嫌な予感はますます膨れあがっていく。
ルッツは綺麗だけど、ここでも3-3にならず。
2個目のアクセルが一番心配だったけど、これは成功。ホッ。
ここで持ち直すかな~と思いきや、ループの着氷でまたも「つっかけ」。ジャンプに気を取られて、他の要素を楽しむ余裕が、観客にも大ちゃんにもないのが、ヒシヒシ伝わる。
3ルッツ、フリップ(ノーカウントのね)、サルコゥと決めて、後半がガタ崩れにならなかったのは前よりも成長した証しとは思うけど、何より今日は、踊りに気持ちがこもっていない。サーキュラーもストレートも、スピンも「こなすだけで一杯」になってしまい、あのスケアメ(+東伏見)で見せた怒涛の気迫と美しい表現は、まったく弾けることなく終わってしまった。
「のびたテープ」の印象は最後まで払拭されることはなく、私的にはこのFSは「のびたうどん」だ。スケアメは「アツアツ・茹でたて」だったわ。
終了後、下を向いて息をととのえる間「アカンかったな~」という気持ちで充満してたみたい。なかなかお客さんに挨拶をしないので、花も飛ばず拍手もない、冷た~い空気がかなり流れる。
やっと笑顔でお辞儀をすると、そこそこの歓声と花束(プレゼントも、気合入ってる系(?)をかなりもらってた)。でも本田君への歓声の3分の1ですわ。今日は。
キス&クラで「ごめんなさい」とでも言いたげに頭を下げる。アクセル2個入ったとはいえ、3-3も、3-3-2も無い…では苦しい。ジャンプに精彩を欠くとPCSも上がりきれず。でも2位にとどまったのでこれでファイナル決定。ちょっと安堵の表情になる。
★織田くん
つらい気持ちを乗り越えて、地元・織田君を応援しよう。はい。SPよりかなり緊張してる様子。やはり他の選手と比べるとかなり少年っぽい織田くん(中学生に見えた。かわいい)。
アップで計4回は転んでいた冒頭の3アクセル。まったくそのまんま転倒。ジャッジの目の前で転ぶって嫌だろな~。
しかし、すかさず3ルッツ+3トゥ+2ループを鮮やかに跳び、土壇場の精神力の強さを発揮。これで勇気が出たのか、ひるまずコンボを跳ぶ。やはりこの柔らかさは1級品ね。スピンが安定していてポジションを替えてもほとんど速さが衰えない。私は会場のかなり上のほうから見下ろしているので、軸がキッチリしてることが良くわかる。兄貴のバトルにも見劣りしないわ。
後半はやはりスタミナが落ちたのか、2アクセルで大きく「つっかけ」。今日は2人ともつっかけ着氷が多いので、氷の具合かな(あとで解説聞いたら、「なみはや」の氷は硬くて、ポップしやすくなってたんですね?)。
でもこの「座頭市」けっこうハードよ。終盤で2種類のステップシークエンス、3ルッツでしょ。織田君、体力ギリギリだと思うんだけど、そんなことは表面にチラとも出さずに頑張る頑張る。「今は何も(GPFとか・五輪とか)考えず、自分の仕事をやりきる!」という気持ちが持てるのは、失うものは何も無い新人だからかな。真央ちゃんを見てるみたい。プレッシャーがのしかかる先輩たちを尻目に、無欲が功を奏してる、としか言い様がない。
私は「今の織田君のPG(振付)はバトル色が強いので、ちょっとなあ~」と前に書いてしまったけど、ジャンプの柔らかさは大きな「織田印」になるかもしれない。将来、世界1になるか?と言われたら、今はまだ疑問だけど、若い選手が上へ駆け上がっていく時の輝きは一生に一度だから、ある意味今のこの姿は貴重かもしれないよ。
「やっぱり転倒しちゃったな~」という、ある程度サバサバなキスクラの表情。会場も私も、すご~く微妙な空気に包まれている。「勝った」とも言えず、「負けた」でもない。
ライサが優勝かな~でも、TES次第だね…わかんないね…という空気を一変させたTES。「おおー!」とどよめきが起こる。70点越え。PCSもそこそこ出て、自己新記録。ええー!?
ひょっとして、ひょとすると…「1」が出ると、場内ドワーッと湧いてスタオベ。私もビックリ。御本人もびっくり(あの涙を拭いていた黒と黄色のタオル、阪神タイガースグッズ?)。織田君、よく泣くなあ。でもなんだか可愛い(笑)。
ライサチェクの「得点に困惑してる」というお言葉。彼は紳士だから(そう見えるわ)抗議したりしないでしょうけど、アメリカ側としては内心御立腹なのではあるまいか。TAKAHASHIに勝った時点で、もう優勝したと思ってたでしょうね。
織田君のFSは、日本人からしたら「こんだけ頑張ったんだから優勝させよう」と言いたくなるわけだけど、素晴しい滑りではなかった。消化不良。ライサは、SP、FSとも一応ノーミス。FS1位とは言え、結局SPの点差が最後まで響く結果に。
…これを「困惑」と言わずしてなんとしょう。私、頭かかえちゃったわ。いちおう「大」勝利、のつもりで来ましたもので…。は~。
うぐいすのワガママ採点だと「金メダルなし。銀と銅のあいだ(?)ライサ。銅が織田君と大ちゃん」という感じー。
いえいえ。でもまあ、結果は結果。受け止めましょう~。これで男子のGPFメンバーは、ポイント順に言うと、サンデュー、バトル、大ちゃん、織田君、ランビ、ライサですか。ジュベールの意外な落選にがっくり!ジョニーもカナダでせめて2位だったらば…あ、でも届いてないか。
大ちゃんは、その後の場内の様子やインタビューでも、余りしょげてないよーだった。そうだよね。いつも1番ではないからスポーツ。GP2勝って甘くないんですね。やはりアメリカ優勝したことで、自分も周りも「地元、日本でも勝つ」というイメージが出来上がっていて、プレッシャーになっていたみたい。GPアメリカの時は「メダルでなくてもまあいいか」っちゅう、ダークホースでいられたものね。ほんまに人生はうまくいかないわあ~。
でもハイビのインタビューで、しっかり「GPFでは織田君に勝って、五輪は僕が行きます」と言い切りましたね。しかも織田君の隣で。顔前で。
後輩に負けたことで闘争心に火がつくか。
逆に「もう負けられない」状態に追い込まれて萎縮するか。
ファイナルは見ものだ~。思いもかけない展開だ!
私、本番の演技ではもう目をおおってしまうよ。怖くて。誰か助けてくれー。
無欲の勝利、と言うは易し。でも行なうは難し。…んな禅問答みたいな人生の真理を(?)ストレートに感じた、N杯男子の闘いでありました。
私はオープニングでラフマニノフの音楽が始まった瞬間、「これ、テープのびてるんちゃうの?」と愕然とせざるを得なかった。
いやほんま。重い。遅い。たるい。音響割れてる。
東伏見ではまったくそう思わなかったのに何故だ。この現象は!?(と、お隣のHさんに訴えたら“うぐいすさん、CDだからのびないってば”と諭される。そーよね。そのはずだ)
…重い始まりに合わせて跳んできたのは、私には4回転トゥに見えた。でもスケアメの時より大きくステップアウト。ところが帰宅後ディテールを見たらこれ、3フリップに変えてきてるのね。あれー。大ちゃん、なぜ「引く」のか。リスクを避けて他の要素で高得点を…という作戦は、私には消極的に思えてならない。
ここでコンボにする予定が大きく狂い、結局後半の3フリップを予定通りの単独ジャンプで降りてしまったから、こっち(後半のほう)がノーカウント(0点)になってしまうという…これが致命的なミス(同じ種類の3回転ジャンプは、単独では2回跳んではいけない。コンビネーションにしないと)。
次のアクセルは綺麗なランディングだったのに、「3回転をくっつけるぞ!」という気迫がなく、あっさり2トゥにしてしまった…ので神様が罰を下されたのか(この辺、WFS最新号のジョニーの言葉を拝借)着地で大きくトゥをつっかける。
冒頭のこの連続ミスで、少々場内ムードは固まる気配。アップの6分間で感じた、私の「ほんの数ミリ」の嫌な予感はますます膨れあがっていく。
ルッツは綺麗だけど、ここでも3-3にならず。
2個目のアクセルが一番心配だったけど、これは成功。ホッ。
ここで持ち直すかな~と思いきや、ループの着氷でまたも「つっかけ」。ジャンプに気を取られて、他の要素を楽しむ余裕が、観客にも大ちゃんにもないのが、ヒシヒシ伝わる。
3ルッツ、フリップ(ノーカウントのね)、サルコゥと決めて、後半がガタ崩れにならなかったのは前よりも成長した証しとは思うけど、何より今日は、踊りに気持ちがこもっていない。サーキュラーもストレートも、スピンも「こなすだけで一杯」になってしまい、あのスケアメ(+東伏見)で見せた怒涛の気迫と美しい表現は、まったく弾けることなく終わってしまった。
「のびたテープ」の印象は最後まで払拭されることはなく、私的にはこのFSは「のびたうどん」だ。スケアメは「アツアツ・茹でたて」だったわ。
終了後、下を向いて息をととのえる間「アカンかったな~」という気持ちで充満してたみたい。なかなかお客さんに挨拶をしないので、花も飛ばず拍手もない、冷た~い空気がかなり流れる。
やっと笑顔でお辞儀をすると、そこそこの歓声と花束(プレゼントも、気合入ってる系(?)をかなりもらってた)。でも本田君への歓声の3分の1ですわ。今日は。
キス&クラで「ごめんなさい」とでも言いたげに頭を下げる。アクセル2個入ったとはいえ、3-3も、3-3-2も無い…では苦しい。ジャンプに精彩を欠くとPCSも上がりきれず。でも2位にとどまったのでこれでファイナル決定。ちょっと安堵の表情になる。
★織田くん
つらい気持ちを乗り越えて、地元・織田君を応援しよう。はい。SPよりかなり緊張してる様子。やはり他の選手と比べるとかなり少年っぽい織田くん(中学生に見えた。かわいい)。
アップで計4回は転んでいた冒頭の3アクセル。まったくそのまんま転倒。ジャッジの目の前で転ぶって嫌だろな~。
しかし、すかさず3ルッツ+3トゥ+2ループを鮮やかに跳び、土壇場の精神力の強さを発揮。これで勇気が出たのか、ひるまずコンボを跳ぶ。やはりこの柔らかさは1級品ね。スピンが安定していてポジションを替えてもほとんど速さが衰えない。私は会場のかなり上のほうから見下ろしているので、軸がキッチリしてることが良くわかる。兄貴のバトルにも見劣りしないわ。
後半はやはりスタミナが落ちたのか、2アクセルで大きく「つっかけ」。今日は2人ともつっかけ着氷が多いので、氷の具合かな(あとで解説聞いたら、「なみはや」の氷は硬くて、ポップしやすくなってたんですね?)。
でもこの「座頭市」けっこうハードよ。終盤で2種類のステップシークエンス、3ルッツでしょ。織田君、体力ギリギリだと思うんだけど、そんなことは表面にチラとも出さずに頑張る頑張る。「今は何も(GPFとか・五輪とか)考えず、自分の仕事をやりきる!」という気持ちが持てるのは、失うものは何も無い新人だからかな。真央ちゃんを見てるみたい。プレッシャーがのしかかる先輩たちを尻目に、無欲が功を奏してる、としか言い様がない。
私は「今の織田君のPG(振付)はバトル色が強いので、ちょっとなあ~」と前に書いてしまったけど、ジャンプの柔らかさは大きな「織田印」になるかもしれない。将来、世界1になるか?と言われたら、今はまだ疑問だけど、若い選手が上へ駆け上がっていく時の輝きは一生に一度だから、ある意味今のこの姿は貴重かもしれないよ。
「やっぱり転倒しちゃったな~」という、ある程度サバサバなキスクラの表情。会場も私も、すご~く微妙な空気に包まれている。「勝った」とも言えず、「負けた」でもない。
ライサが優勝かな~でも、TES次第だね…わかんないね…という空気を一変させたTES。「おおー!」とどよめきが起こる。70点越え。PCSもそこそこ出て、自己新記録。ええー!?
ひょっとして、ひょとすると…「1」が出ると、場内ドワーッと湧いてスタオベ。私もビックリ。御本人もびっくり(あの涙を拭いていた黒と黄色のタオル、阪神タイガースグッズ?)。織田君、よく泣くなあ。でもなんだか可愛い(笑)。
ライサチェクの「得点に困惑してる」というお言葉。彼は紳士だから(そう見えるわ)抗議したりしないでしょうけど、アメリカ側としては内心御立腹なのではあるまいか。TAKAHASHIに勝った時点で、もう優勝したと思ってたでしょうね。
織田君のFSは、日本人からしたら「こんだけ頑張ったんだから優勝させよう」と言いたくなるわけだけど、素晴しい滑りではなかった。消化不良。ライサは、SP、FSとも一応ノーミス。FS1位とは言え、結局SPの点差が最後まで響く結果に。
…これを「困惑」と言わずしてなんとしょう。私、頭かかえちゃったわ。いちおう「大」勝利、のつもりで来ましたもので…。は~。
うぐいすのワガママ採点だと「金メダルなし。銀と銅のあいだ(?)ライサ。銅が織田君と大ちゃん」という感じー。
いえいえ。でもまあ、結果は結果。受け止めましょう~。これで男子のGPFメンバーは、ポイント順に言うと、サンデュー、バトル、大ちゃん、織田君、ランビ、ライサですか。ジュベールの意外な落選にがっくり!ジョニーもカナダでせめて2位だったらば…あ、でも届いてないか。
大ちゃんは、その後の場内の様子やインタビューでも、余りしょげてないよーだった。そうだよね。いつも1番ではないからスポーツ。GP2勝って甘くないんですね。やはりアメリカ優勝したことで、自分も周りも「地元、日本でも勝つ」というイメージが出来上がっていて、プレッシャーになっていたみたい。GPアメリカの時は「メダルでなくてもまあいいか」っちゅう、ダークホースでいられたものね。ほんまに人生はうまくいかないわあ~。
でもハイビのインタビューで、しっかり「GPFでは織田君に勝って、五輪は僕が行きます」と言い切りましたね。しかも織田君の隣で。顔前で。
後輩に負けたことで闘争心に火がつくか。
逆に「もう負けられない」状態に追い込まれて萎縮するか。
ファイナルは見ものだ~。思いもかけない展開だ!
私、本番の演技ではもう目をおおってしまうよ。怖くて。誰か助けてくれー。
無欲の勝利、と言うは易し。でも行なうは難し。…んな禅問答みたいな人生の真理を(?)ストレートに感じた、N杯男子の闘いでありました。