香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

阿蘭陀西鶴

2015-09-09 21:00:56 | 本のこと
朝井まかてさんの
『阿蘭陀西鶴』(おらんださいかく)



「好色一代男」「世間胸算用」などの浮世草子で知られる井原西鶴は
寛永19年(1642)生まれで、松尾芭蕉や近松門左衛門と
同時代を生きた俳諧師でもあり浄瑠璃作者でもあった。
俳諧師としては、一昼夜に多数の句を吟ずる矢数俳諧を創始し、
2万3500句を休みなく発する興行を打ったこともあるが、
その異端ぶりから、「阿蘭陀流」とも呼ばれた。
若くして妻を亡くし、盲目の娘と大坂に暮らしながら、
全身全霊をこめて創作に打ち込んだ西鶴。
人間大好き、世間に興味津々、数多の騒動を引き起こしつつ、
新しいジャンルの作品を次々と発表して
300年前のベストセラー作家となった阿蘭陀西鶴の姿を描く、
書き下ろし長編時代小説。
芭蕉との確執、近松との交流。娘と二人の奇妙な暮らし。
創作に一切妥協なし。傍迷惑な天才作家・井原西鶴とは何者か?


最初は、ページをめくるのに時間がかかったのだけど
途中から、面白くて、西鶴が、おあいが、辰弥が
小説に出てくる、江戸時代の大阪の人々が
心配で、愛おしくて、会いたくて、どうしようもなくなる
人の心の機微なんてわからない若いおあいが
少しづつ、父親の、辰弥の、悲しみややさしさを感じていく
時代が感じさせる厳しさと暖かさと
なんども、小説の世界にひたる幸せを感じました

人は皆、刻々と変わる。
だから息をしていける。


最後は切なくて切なくて、涙が出そうでした