早朝に起きて、新宿発のホリデー快速ビューやまなし号に揺られる。
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目指すは山梨県北杜市にある実相寺。
今年も山梨に出没。
てか、今年の開花、早すぎ。
去年は4月の半ばに訪れた気がする。
道中はとても長いのだが、風景が綺麗であっという間に着いてしまう。
自由席の2階席。
持参した本は林真理子先生の「さくら、さくら おとなが恋して」
大人の恋愛を描いた短編集なのだが、主人公たちがみんな自分より若いことに愕然とした。
最初に読んだとき、自分はまだ学生だったのに。
林真理子先生は山梨のご出身だ。
山梨に行く時はいつも先生の本を鞄に入れる。
流れ行く景色を見ながら、林先生が見た風景などを拾うのも一興。
いつも「疲れた」と昼まで寝ている自分が、桜のシーズン、特に神代桜を見に行く日は早朝に起きられる。
亮子の七不思議である。
でも土日しか休みがない身、天気の関係を考えると、桜をベストコンディションで見るには多少の努力が必要。
母がよく「花は待ってくれない」って言うが、ほんとそれ。
花、特に桜は最優先事項なんである、自分的に。
景色で一番好きなのは特に勝沼ぶどう郷駅周辺。
一度、小淵沢駅に到着し、折り返して日野春駅へ。
ちょうど神代桜を見に行くというご夫婦がいたので、タクシーの相乗りをすることに。
実相寺に到着。
入口から中に入る。桜がお出迎え。
境内には樹齢2000年の桜があり、毎年見に行っている。
今年も2000年の悠久なる生命力を感じることができた。
一生懸命に咲いている姿に、涙が出てくる。
仕事も生活も厭になって少し楽になりたいと思ってしまう自分が恥ずかしくなる。
この桜は2,000年のあいだ、愚痴一つも吐かずに咲き続けてきたのだろう。
他にも水仙などが咲いていて、その広大さから普段の手入れの大変さを考えると相当なものだと思った。
実相寺は花々が溢れる、まさに極楽浄土な世界。
極楽~♪
愛くるしい水仙たち。
宇宙桜。
花弁が6枚!
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宇宙の神秘を感じる。
だれもいない場所を発見。
桜を独り占め。
一生分の桜を浴びたっつーぐらい桜の飽和状態。
幸せなり。
帰りは甲府駅まで友達に送ってもらった。去年もそうだったように、途中、わに塚の桜にも寄ってもらった。
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車がないと行けない場所なので大変助かる。
薄墨の色彩を幾重にも纏った山の端をバックに、こちらの桜も誇らしげに咲いていた。
樹齢850年。
甲府駅まで送ってもらった。
ありがとう。
駅前の信玄公を拝む。
甲府の小作でかぼちゃほうとうを食べる。
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山梨桜紀行のクライマックスは毎年これ!味噌の風味が豊かな野菜と麺のハーモニー。
ほうとうってなんでこんなに美味しいのだろう。
甲府駅にて。
片道3時間をかけ160キロの移動をした甲斐があった。
疲れたけれども、とても良い旅だった。
NHK「小さな旅」のようである。
瞼を閉じると、ピンク色の花弁がはらはらと舞う。
来年も行けますように。
祈りながら眠った。
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