中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

taspo

2008-06-07 09:03:08 | 身辺雑記
 6月1日から当県でも、たばこ自動販売機に成人識別ICカードtaspo(タスポ)が導入された。




 タスポは未成年者の喫煙防止を目的として、全国的に導入されることになっているが、これが極めて不評らしい。新聞に次のような香川県のたばこ経営店の女性の投書が載っていた。

 「たばこ自動販売機の成人識別カード「タスポ」が香川県に導入されて1か月がたった。わが店のタスポ対応の自販機売り上げも、それまでの月平均の1割まで激減した。多少は減るだろうと予測はしていたが、これほどとは思わなかった。近所の店でも大幅に落ち込んでいるらしい。細々とたばこを売ってきたお年寄りの店が、費用の面からタスポ機を置けず、廃業したと聞く・・・・」

 9割の売り上げ減とは非常に大きな数字である。私がよく行って油を売っている店の卒業生の主人は、別な場所にたばこ自販機を設置しているが、これまでの自販機をタスポ対応のものに取り換えた。前々から売り上げは1割くらいに減るだろうし、取り換えにはタスポの認識装置の設置費用が1台に10万円前後かかるので、費用が嵩む一方で売り上げが減るから廃業するところもあるだろうと言っていた。あまりにも減ったら、もう自販機は止めるとも言っていた。 


 この新しい自販機でたばこを買うためには、成人識別カードを取得することが必要で、この手続きがまたいささか面倒らしい。たばこ販売店に置かれている申し込みキットの中の申込書の必要事項に記入し、3ヶ月以内に撮った縦45mm、横35mmの顔写真と、本人確認書類として、住民票の写しや運転免許証など指定された7種の証書や手帳類のうちの1つのコピーを添えて、運営主体の日本たばこ協会(東京)に郵送すると、2週間程度で顔写真の入ったICカード「タスポ」が送られてくる。このカードがないと自販機でのたばこの購入はできなくなる。

 
 これで目論見どおり、未成年者の喫煙が防止できればめでたしということになるのだろうが、そうはうまくいかないようだ。コンビニなどでは既にたばこを販売しているが、これは対面販売だから、果たして店員は私服の未成年者にいちいち年齢を確認することをするだろうか。触らぬ神に祟りなしでトラブルを避けるために、おそらく未成年者だろうと思っても販売するのではないか。それに、カードは貸し借りしたり譲ったりすることは禁止されていると言っても、普段からわが子の喫煙を黙認しているような親は、これで買ってこいとカードを渡すかも知れないし、きょうだいや先輩から借りることもできる。抜け道はあるのだ。

 未成年者でなくても喫煙者は、面倒になった自販機で買うよりもコンビニでまとめ買いをするのではないか。私は喫煙はしないが、もししていたならば、おそらくそうするだろう。最初にあげた投書は、次のように結んでいる。

「結果的に、未成年者の喫煙防止を掲げて大手コンビニ店を支援し、弱小たばこ店を窮地に追い込んでいるのは明白である」

 確かに結果的にはそのようなことになっているだろう。自販機を持つ卒業生は、コンビニ業界の自販機業界あるいは日本たばこ産業(JT)に対する陰謀ですよとまで言う。その憶測の当否は知らぬことだが、何となくそうかも知れないなと思わせもする。未成年者の喫煙防止はもちろん大切なことだが、このような莫大な費用をかけて効果が薄いと思われる事業をするのは、何かしら浅知恵のような気がする。
 
 参考 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/y/97/