中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

死刑の執行

2008-06-22 10:04:11 | 身辺雑記
 幼女連続殺人事件で死刑が確定していた死刑囚に対して刑が執行された。20年前に起きたこの残虐な事件は世間に大きな衝撃を与えたから、この死刑囚の刑の執行は大きく取り上げられた。

 死刑の執行には、命令書への法務大臣の署名が必要だが、現在の法相は就任以来10ヵ月の間に今回を含めて13人の死刑執行の命令書の署名したことや、今回執行された3人の死刑囚は、刑が確定してから執行まで3年前後の「短さ」であることも話題になった。

 私がとっている新聞の夕刊の短いコラム欄には「永世死刑執行人 鳩山法相。『自信と責任』に胸を張り、2ヵ月間隔でゴーサインを出して新記録達成。またの名、死神」という揶揄するようなコラムもあった。

 死刑の執行命令は刑事訴訟法に刑確定後6カ月以内にしなければならないと規定されているから、現在はその規定はまったく守られていないわけで、確定後3年の執行が早すぎると言うことではない。過去の法相の中には個人の信仰上の理由で就任期間中は1度も命令書に署名しなかった例もあるが、これは考えようによっては職務放棄ということも言われるかも知れない。それに比べて現在の法相が死刑を無神経に量産しているとは言えないと思う。もちろん死刑反対論の立場から批判するのは自由だが、それは死刑という制度があることに対するものであるべきで、法に定められた刑の執行そのものを非難するのは筋違いに思える。上に挙げたコラムなどは、筆者は死刑反対か批判論者なのかも知れないが、全体の調子が重い問題に対しては軽すぎて不愉快である。まして「死神」などという言い方は名誉毀損にもなりかねない暴言だと思う。

 悪い奴らはどんどん死刑にしろ、刑が確定したら即執行しろなどとは言わない。賛成論にせよ反対論にせよ、現行の法体系の中で冷静に論ずるべきだ。大新聞などの記事を見ると、率直に死刑反対を主張すれば理解しやすいのだが、法相の命令が何回で最多だとか、刑の執行までの期間が短いとか、そのような論調で何となく読者を死刑制度批判に導き、判断を委ねるような態度は、それが中立公正な姿勢であると言うのならいただけない。