中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

中国出産事情

2008-06-27 07:12:25 | 中国のこと
 出産を9月に控えた西安の謝俊麗が悩んでいる。

 衆知のように、中国では一人っ子政策をとっているので、子どもの戸籍をとるのには、これまでに子どもを産んでいないという証明がないと、子どもを産む許可証(准生証)が下りないのだそうだ。これがないと子どもは俊麗たちの戸籍に登録できない。妊娠6ヶ月にもなっているのに、いまさら出産許可証でもあるまいと思うのだが、そのような規則になっているようだ。

 そのためには戸籍の所在地の社区の計画生育管理部で、これまで出産していないという証明をとる。社区は地域にある市役所のようのもので、民生に関するさまざまな業務を扱っている役所らしい。俊麗は大学卒業後、国営の西安中国国際旅行社(CITS)に勤務し、その後退職したが、彼女の戸籍はCITSが管理していた。結婚届を出してから1年間ほどしてから戸籍をCITSから移したので、その間に出産していないという証明が必要だそうだ。

 それで俊麗がCITSに行って証明書をもらうことになる。すでに退職している者の未出産証明書などを出せるものかと思うのだが、これもそのようになっているのだと言う。ところが俊麗によると、CITSの行政部門の担当者は態度が横柄で、仕方なくやってやるという態度なので不愉快なのだそうだ。たばこや菓子も持っていくこともするらしい。それでも行かなければならないから行くけれども、気乗りはしないようだ。そうやって未出産証明書をもらうと、それを社区に持っていけば出産許可証がもらえるのだろうが、俊麗は詳しいことはまだ知らない、中国のことはよく分からないと、はなはだ頼りない。

 子どもが生まれたら、社区からの出産許可証と出産した病院の出産証明書と合わせて、俊麗と夫の戸籍が管理されている派出所というところに提出すると、子どもの戸籍登録ができるという。

 俊麗はこのコンピューターの時代にオンライン化することはできないものかと嘆いていたが、学校教育にはコンピューターが盛んに取り入れられているのに、こういう面では西安の事情かも知れないが、日本に比べてはるかに遅れをとっているようだ。市民に慣れない手続きのことでウロウロ、オロオロさせるのは感心しないし、担当者の横柄な態度はなおさらである。かつて、「人民のために奉仕する(服務為人民)」というスローガンがあって今でも生きてはいるのだろうが、実態はなかなかそうではなく、中国の友人に聞いても、もはやそんなことは信じていないようだ。民のためでなく、官の為に制度があるような面は俊麗も、大嫌いだ、いつになったら中国では人間ではなく、法律やルールで国を管理するようになるのだろうと言っている。

 このような面倒な手続きをして一人っ子政策を維持しようとしているが、現在中国で問題になっているのは、俳優などの有名人や、金持ちが複数の子どもを持っていることだ、俊麗の住んでいる地区でも金持ちのような者が子どもを2人連れているのを見るそうだ。どうしてそういうことが可能なのか、普通の者がすれば罰金もので、子どもも無戸籍になる可能性もある。おそらくは例によって役人へかなりの賄賂を使って未出産証明書か、出産許可証を入手するのだろう。こんなところにも貧富の格差が見られるのが今の中国の実情なのか。金さえあれば何でもできるという風潮が蔓延すればモラルは低下し、貧しい者の不満が鬱積して、国としての活力も衰弱するだろう。