最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

遺産相続で所有者が決まっていない株式の扱い

2015-03-13 20:08:45 | 日記
平成25(受)650  株主総会決議取消請求事件
平成27年2月19日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

仲間内で会社を営んでいた人がなくなったので、持っていた株券を娘二人が相続することになりました。ところが、誰がどの割合で株券を相続するか決まっていない状態で、株主総会の時期になってしまいました。会社はどっちか一方に案内しておけばいいだろうということで、招集通知を出したのですが、娘の一方Aが勝手に議決権を行使してしまいました。それはないだろうとBが怒って、この議決の無効を訴えた事件です。
かなり大きな会社で持っていた株が少数であればいいのですが、3000株のうち2000株がこの相続分となれば話は別です。株主総会の特別決議ができます。

その内容は
譲渡制限株式を会社が買取る際の買取事項の決定,指定買取人の指定(309条2項1号,140条2項・5項)
株主との合意による自己株式の有償取得の場合の取得事項の決定(309条2項2号,156条1項)
全部取得条項付種類株式の取得に関する決定(309条2項3号,171条1項)
株式併合(309条2項4号,180条2項)
募集株式の事項の決定(309条2項5号、199条2項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
募集株式の事項の決定の委任(309条2項5号,200条第1項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合(309条2項5号、202条3項4号)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
募集株式の割当て(309条2項5号,204条2項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
累積投票により選任された取締役の解任(309条2項7号)
監査役の解任(309条2項7号)
役員等の会社に対する損害賠償責任の一部免除(8号,425条1項)
資本金の額の減少(309条2項9号,447条1項)
定款の変更(309条2項11号、466条)
事業の全部の譲渡(309条2項11号,467条1項1号)
事業の重要な一部の譲渡(309条2項11号,467条1項2号)
事業の全部の譲受け(309条2項11号,467条1項3号)
事業の全部の賃貸(309条2項11号,467条1項4号)
事後設立(309条2項11号,467条1項5号)
解散((309条2項11号,第471条)
解散した会社の継続(309条2項11号,473条)
会社法第5編(組織変更,合併,会社分割,株式交換及び株式移転)の規定により総会決議を要する場合(309条2項12号)
消滅株式会社等(吸収合併消滅株式会社,吸収分割株式会社及び株式交換完全子会社)の吸収合併契約等の承認等(783条)
存続株式会社等(吸収合併存続株式会社,吸収分割承継株式会社又は株式交換完全親会社)の吸収合併契約等の承認等(795条)
消滅株式会社等(新設合併消滅株式会社,新設分割株式会社及び株式移転完全子会社)の新設合併契約等の承認(804条)
注: 組織変更においては総株主の同意が必要(776条1項)

となるとどれだけ重要なことか分かるでしょう。
これについて会社法106条で「株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。」と定めています。

これについて裁判所は「Bは本件準共有株式について2分の1の持分を有するにすぎず,また,残余の2分の1の持分を有する被上告人が本件議決権行使に同意していないことは明らかである。そうすると,本件議決権行使は,各共有者の持分の価格に従いその過半数で決せられているものとはいえず,民法の共有に関する規定に従ったものではないから,上告人がこれに同意しても,適法となるものではない。」と述べています。

確かにAB意外のCさんが1000株持っており、甲という案件に賛成、AさんはBさんに黙って議決権行使をしたので、3000株=全会一致で決定になります。一方、本来であればAさんは1000株の賛成Bさんは1000株の反対となるので、3分の2の賛成で決まる事になったはずです。なので訴え通りに認めないとしても実態は変わらないから、このままにするという趣旨のようです。
なんだか法治国家とは思えませんよね。やっちまった違法行為を追認するような判決を出すのは、法の安定性の原則からしてどうなのでしょうか。>Bさんが2000株行使して反対と言えば、Cさんも反対と言った可能性を完全に無視する内容です。
一度決めたことを覆すとなると、善意の第三者が混乱するから認めよというのでしょうか。釈然としません。

今回の裁判官は
 最高裁判所第一小法廷 全員一致です。
裁判長裁判官 櫻井龍子 ややずれている
裁判官 金築誠志 ややずれている
裁判官 白木 勇 ややずれている
裁判官 山浦善樹 ややずれている
裁判官 池上政幸 ややずれている