最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

事実認定 7人を殺した犯人は心神耗弱状態だったか

2015-06-01 08:13:59 | 日記
平成25(あ)729  殺人,殺人未遂,現住建造物等放火被告事件
平成27年5月25日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

平成16年8月2日の未明,被告人が,自宅の東西に隣接する2軒の家屋内等において,親族を含む隣人ら8名を,順次,骨すき包丁で突き刺すなどし
て,7名を殺害し,1名に重傷を負わせた後,母親が現住する自宅にガソリン等をまいて放火し,全焼させた事件です。この事件の犯人が心神耗弱状態だったか?の事実認定が争われた事件です。

心神耗弱者が起こした犯罪は、刑法39条により刑の減免が可能になります。死刑判決を避けたい意図で控訴したようです。
判決文によると、犯人はパラノイアだったようです。

被告人は,本件犯行当時,妄想性障害・被害型(パラノイア)に罹患していたと診断した上,当該障害に罹患している者の被害妄想を訂正させることは極めて困難で,妄想のテーマとなっている領域については,理非判断能力が著しく侵されていたと判断するのが妥当であるとの意見(以下「山口鑑定意見」という。)を述べている。

しかし、パラノイアは精神病ではなく精神障害なのです。病気は寛解が可能ですが、障害は治しようがないのです。向精神薬で落ち着かせるのが精いっぱいで、薬が切れて、何かの拍子にまた大変にな行動に出始めます。彼らは冷静に殺人が行える人たちなのです。医師も治療を拒否できる数少ない症状です。恐らく、名古屋女子大生の老女殺人、同級生の毒物殺人事件、佐世保の同級生殺人死体損壊事件などは、人格障害であろうと言われています。その意味では理非が判断できない状態のようです。
ただ、別の医師によるとかなりグレーゾーンにあるようです。

第1審で2回目の精神鑑定を命じられた山上皓医師は,被告人は,情緒不安定性人格障害と診断されるにとどまるとしつつ,被告人には表出性言語障害が認められ,これが人格形成に大きな影響を及ぼしたと考えられることや,隣人たちに対する強固な被害念慮が本件犯行を促す上で重要な役割を果たしたと考えられることなどを総合して考えれば,心神耗弱を認められても不当ではないような精神状態にあったと考えられるとの意見(以下「山上鑑定意見」という。)を述べている。


しかし、犯行時の犯人の発言等をみると妄想とはいえ恨みによる犯行と殺意は明白で、心神耗弱(意味不明で無意識に近い状態での犯行)ではないとしか言いようがないでしょう。精神医学の場合は、内臓疾患と違って客観的な診断がしにくい分野であり、この事件もその一例のようです。(今回の件は明白に見えますけど、医師としての視点と定義に合致するか否かしか見ない法律家の違いでしょうか?)

近年、刑法39条を元に裁判にかける前に検察側で精神鑑定を行い、起訴猶予にすることが増えてきたそうです。これは被告が正当な裁判を受ける権利を検察自ら潰している事であり、その点においては今回の裁判は本来の姿に戻した結果であると言えそうです。裁判官ではなく検察官がやった結果ですが。



なお、刑法39条の問題点は、以下の本で生々しく書かれています。

そして殺人者は野に放たれる
日垣 隆 (著)
(新潮文庫)


こういった人格障害あるいは暴力を伴う精神疾患を家族に持つと本当に大変なようです。どこに地雷があるのか、いつどこで怒りが爆発するのか分からないうえ、何をしでかすか分からないのです。
先進諸国から比べて精神病棟の入院ベッド数が多い=要するに政府は医療費削減を目的に入院患者を減らそうとしていますが、その分このような危険を社会が負担することになるのです。


検察官 徳久正 公判出席  今回の英雄

今回の裁判官全員一致で死刑判決
第二小法廷

裁判長裁判官 千葉勝美
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 山本庸幸