平成25(受)2430 地位確認等請求反訴事件
平成27年6月8日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
某私立学校に勤務する人が、肩こりが酷くて仕事を休みがちになりました。あまりにも長く休むようになったので、労働基準監督署は労災として認定しました。その後も出勤したりしなかったりという状況が続き、平成19年あたりから長く休むようになりました。
学校側としても、このような状態では仕事を任せていいのかどうか迷い、なかなか復帰する気配がないので、労働基準法81条の打ち切補償して解雇しました。
これに対して、解雇された人はまだ働く意思があるとして、地位保全の申し立てを起こした事件です。
時事通信によると
労災で療養中に解雇されたのは不当だとして専修大の元職員の男性(40)が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、「労災保険給付を受けている場合でも、補償金を支払えば解雇できる」との初判断を示した。
その上で、解雇に合理的な理由があるか検討が不十分だとして、一審同様に男性勝訴とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。雇用側の解雇対象が広がる判断で、男性の弁護団は「安心して治療に専念する権利を奪う不当な判決だ」と批判した。
労働基準法は、業務によるけがや病気で休業する期間は解雇を原則禁止。ただ、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年たっても治らない場合は、平均賃金の1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定している。
男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険の支給決定を受けた。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めたが、専修大は認めず、打ち切り補償金約1629万円を支払って解雇した。
第2小法廷は「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、けがや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘した。
これに関して、労災といえども解雇に必要な手続きを踏み1200日分の給料を払っているので、最高裁は全員一致で解雇に問題はないとしました。
私もこの見解に同意です。これは教科書の事例に載せてもいいくらいの適切な法的処理でした。
しかし解せないのは、第一に肩こりが労災として認められたのはなぜか。学校法人がやるべきは、労働基準監督署が事実認定を誤っているのではないかと不服申し立てをしなかったこと。肩こりは誰でもあり得るもので、大きな事故の後遺症ではないのです。これを理由に欠勤を続けるのはどうなんでしょうか。
第二に、学校法人はなぜ労災認定から解雇手続きまでこれほど時間がかかったのか。
第三に、学校法人側は適切な法手続きを行い解雇したわけで、この事件は争う余地はないほど法令に従っています。何故最高裁がこの上告を受理したのか、判決文を読む限り事実認定を争う余地がなかったものとみられます。
最高裁は不受理とすべきであり、審議入りするような話ではないのではないかと思います。
今回も第二小法廷
裁判長裁判官 鬼丸かおる
裁判官 千葉勝美
裁判官 小貫芳信
裁判官 山本庸幸
平成27年6月8日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
某私立学校に勤務する人が、肩こりが酷くて仕事を休みがちになりました。あまりにも長く休むようになったので、労働基準監督署は労災として認定しました。その後も出勤したりしなかったりという状況が続き、平成19年あたりから長く休むようになりました。
学校側としても、このような状態では仕事を任せていいのかどうか迷い、なかなか復帰する気配がないので、労働基準法81条の打ち切補償して解雇しました。
これに対して、解雇された人はまだ働く意思があるとして、地位保全の申し立てを起こした事件です。
時事通信によると
労災で療養中に解雇されたのは不当だとして専修大の元職員の男性(40)が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、「労災保険給付を受けている場合でも、補償金を支払えば解雇できる」との初判断を示した。
その上で、解雇に合理的な理由があるか検討が不十分だとして、一審同様に男性勝訴とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。雇用側の解雇対象が広がる判断で、男性の弁護団は「安心して治療に専念する権利を奪う不当な判決だ」と批判した。
労働基準法は、業務によるけがや病気で休業する期間は解雇を原則禁止。ただ、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年たっても治らない場合は、平均賃金の1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定している。
男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険の支給決定を受けた。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めたが、専修大は認めず、打ち切り補償金約1629万円を支払って解雇した。
第2小法廷は「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、けがや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘した。
これに関して、労災といえども解雇に必要な手続きを踏み1200日分の給料を払っているので、最高裁は全員一致で解雇に問題はないとしました。
私もこの見解に同意です。これは教科書の事例に載せてもいいくらいの適切な法的処理でした。
しかし解せないのは、第一に肩こりが労災として認められたのはなぜか。学校法人がやるべきは、労働基準監督署が事実認定を誤っているのではないかと不服申し立てをしなかったこと。肩こりは誰でもあり得るもので、大きな事故の後遺症ではないのです。これを理由に欠勤を続けるのはどうなんでしょうか。
第二に、学校法人はなぜ労災認定から解雇手続きまでこれほど時間がかかったのか。
第三に、学校法人側は適切な法手続きを行い解雇したわけで、この事件は争う余地はないほど法令に従っています。何故最高裁がこの上告を受理したのか、判決文を読む限り事実認定を争う余地がなかったものとみられます。
最高裁は不受理とすべきであり、審議入りするような話ではないのではないかと思います。
今回も第二小法廷
裁判長裁判官 鬼丸かおる
裁判官 千葉勝美
裁判官 小貫芳信
裁判官 山本庸幸