崕山自然保護協議会の活動とモニター登山会のお陰で目にできたホテイアツモリソウ
夕張山系の芦別岳の西側に位置する崕山(きりぎしやま)は、恐竜の背中のような切り立った石灰岩の岩峰や岩頭を連ねる奇異な山容の山である。石灰岩土壌のために、キリギシソウやホテイアツモリなどの特異な植物が多い山だ。それゆえに、盗掘や踏み付け等で貴重な植物が激減してきた。その対策として、1999年から入山規制をし、人数限定の自然保護学習モニター登山会を年3~4回行ってきた。現在、一般登山者がこの山に登ることができるのは、このモニター登山だけである。
自分は、規制前の96年と98年の2回、南端からの尾根コースと西側からの沢コースで登っている。それから14年の入山規制の成果や保護団体の取り組み等をこの目で確かめたくて、今年初めて申し込んでみた。抽選の結果、今年最後の3回目が当たって申し込んで1回で参加することができた。
昨日の事前学習会で顔を合わせた26名の参加者と山岡会長以下の引率スタッフ4名が、マイクロバスの乗り合わせ、惣芦別林道を登山口となる恐竜の背中のような尾根の南端まで入った。ここ10年間は頂上直下へ詰める扇沢コースで行っているそうだ。自分が過去に登ったコースとは違うので、期せずして3コースから登ったことになる。
途中、目印を付けてくれている白花ノビネチドリやミドリニリンソウなどの変わった花や、まだ貝の化石が混じっている石灰岩の塊などの説明を聞きながら、急な沢を詰めて、この登山会のためにロープの設置された泥壁の源頭を登りきったら頂上直下のコルへ出た。登るにつれて、青空が広がり、夕張山系の山々をすべて眺めることができた。
そこから花の多い頂上岩頭の下に3班に分かれて登った。チシマフウロ、エゾノハナシノブなどの咲く藪の中に最初のホテイアツモリソウを教えていただく。頂上岩頭の根元やや岩壁には多くの花々が咲いていた。初めて目にしたヘビノボラズを初め、わずか一株だけのレブンコザクラのほかに、ミヤマアズマギク、ミヤマハンショウヅル、これから咲くオオヒラウスユキソウ、シロバナミヤマムラサキなどなど・・・。
そこから右へ下ると一番の目的だったホテイアツモリソウを全部で10株ほどを目にすることができた。北海道の山では現在おおっぴらに目にできるのはここだけだ。これも14年間の入山規制の成果だそうだ。
今回は、多くの花を目にできたのはこの頂上岩頭直下だけだったが、今は歩くことができない岩尾根の根元などは、かなり回復しているらしい。そこも見てほしい気持ちはあるが、またこれだけの人数が歩くとせっかく回復し植生が荒れてしまうので我慢してもらっているとのこと。下山途中下の方でセイヨウタンポポの花や蕾の駆除作業もした。
2日間に渡る崕山自然保護協議会・山岡会長を初めとするスタッフのこの崕山のすばらしい自然とその保護活動を理解してほしいとう熱意が十分に伝わる登山会だった。
下山後、昨日と同じ会場で反省会が開かれ、一人一人感想を述べ合った。全員、今の入山規制は続けるべきという意見だった。自分も、この崕山は、今後の自然保護の意識を高め、全国の山へ広げていくための象徴の山として存在し続けてほしいと願っている。
遠いところに住んでいる自分としては、何もお手伝いできないので、ただ感謝して会場を後にした。
「ネット上にこの登山会のことを公開するに当たっては、何の制限も注文もないので、ありのままを公開してください」というお言葉をいただいたことがうれしかった。
6:55芦別道の駅発 8:30登山口スタート、登り2時間50分、下り2時間10分、芦別道の駅着14:45 反省会15:00~16:00
登山口となる尾根の南端直下から岩峰を見上げる
頂上直下コルから頂上岩頭を見上げる
頂上岩頭の根元にて
わずか一株だけのレブンコザクラ 初めて目にした茎も葉も棘だらけのベビノボラズ
昨年の5月下旬に登った夕張小天狗の北峰と南峰(左)と夕張中岳(惣芦別岳)(右)
その間の奥の連なりは夫婦岩と芦別岳旧道コースの稜線と芦別岳
林道途中から中央部の岩峰や岩頭を眺める
詳しい山行記録や花の写真等の親サイトのHPへのアッププアは、帰宅する3日後以降・・・。