6:30スタート~16:45ゴール(10時間15分)〈55920歩〉
◎海と別れて、阿波路へ。いよいよラストステージ
前回は、内陸部の阿波路の歩きから、初めて太平洋を見たときの感動は今も忘れない。
今度は、連日の黒潮の海を見ての歩きから、内陸部の札所がすべての阿波路へ入った。「発心の道場」とのことだが、逆打ちなので、初心に返ってラストステージを楽しみたい。
今日は、宿の選択に悩んだ。24km先の牟岐町のあとは、40km先の23薬王寺周辺しかない。前回は牟岐町に泊まっているが、雨も上がったので、24kmはちょっと物足りない。何か良い方法はないかと地図を眺めたら、JRが走っている。
温泉の薬王寺の宿坊に予約を入れて、もし無理ならJRで移動して、明日そこまで戻ってスタートという手もあると考えた。
もうひとつ大きな楽しみがあった。場所は覚えていないが、もし見つけられたら、前回初めてのお接待を受けた喫茶店に寄ることだった。結果的にこれ以上はないと思われる絶妙なタイミングでママさんとの14年ぶりの再会が叶った。
◎まずは、土佐路から阿波路へと入り、14年ぶりの感激の再会も叶い、別格4鯖大師を打つ
昨日宿に着いたときから強く降り続いた雨も朝には上がっていた。
6:30、朝食を摂り、お接待のおにぎり2個をいただいてスタート。朝から気温が高く、湿気もあったので、最初から半袖・ハーフパンツ姿で出る。
同じ東洋町の大きな海水浴場と津波避難タワーを眺めて進む。
1時間ほどで、水床トンネル手前から徳島県海陽町に入る。ここから、いよいよ阿波路である。
この辺りはリアス式海岸なので、深い入江の内海が美しい。
前回の記録を見ると、今日のコースに初お接待を受けた喫茶店があるはずだ。しかし、場所までは覚えていない。もし、見つけたら是非寄って、その時のお礼を言いたかった。しかし、早ければ時間的に営業前の可能性もある。
たまたま通りかかった所で、出勤してきた女性が車から降りて、挨拶してきた。顔を見たら、間違いなく14年前のママさんだった。建物を振り返ったら、その喫茶店だった。
なんという絶妙なタイミングだろう。こちらは、その挨拶がなければ見逃して通り過ぎるところだった。しかも、あと数分早ければ、出勤前でママさんはいなかった。数分遅ければ、ママさんがいるカウンターからは、通り過ぎていくこちらの後ろ姿しか見えないから、挨拶のしょうがない。
これこそ、まさに、会わせていただくための、弘法大師様の思し召しとしか言い様のない感激の再会だった。
〈HPに載せてある14年前のママさんの写真〉
前回は、お接待を受けただけで失礼したが、今回はアイスコーヒーを注文した。すると、お接待として、トーストを付けてくれ、お友だちから「お接待に使って」と預かっているというオロナミンとお菓子の詰め合わせを頂いた。
30分ほどお喋りをして、失礼しようとしたところへ、そのお菓子の詰め合わせの提供者のおばあちゃんがやってきた。こちらにも直接お礼を言うことができた。
場所と店の名前は、浅川駅の近くのふくなかという店だった。
11:35、感激に酔いながら歩いている内に、別格4番霊場鯖大師に到着。
鯖大師の由来は、弘法大師が馬子に積み荷の塩鯖を施して欲しいと頼んだところ、馬子はそれを断った。すると馬が急に苦しみだした。驚いた馬子が非礼をわびて鯖を差し出すと、大師は馬に水を与え、馬は回復。それどころか、海に放った塩鯖も蘇生して元気に泳ぎだしたという。馬子は大師の弟子となり、やがて、大師と出会ったこの地に庵を結んだ。それがこの鯖大師本坊である、という。
お寺を出た所に鯖瀬大福餅店があった。2個(154円?)買って、店の中でいただいた。
◎前回泊まった牟岐町を抜けて、美波町の23薬王寺を打ち、温泉宿坊へ
ずっと国道歩きのまま、牟岐町に入る。
ここにもサーフィン場があった。これが、最後に眺める太平洋だった。
13時過ぎに、牟岐町のコンビニで回鍋肉のおかずだけを買い、イートインコーナーで、宿でお接待にいただいたおにぎりと一緒に食べた。
牟岐町では、旧街道を進んだ。
立派な古民家がたくさん並んでいた。
再び国道歩きとなる。お遍路を始めてから、ずっと目にしてきた路肩のグリーンラインは、歩道のないところの単なる歩道代わりだと思ってきた。
ところが、これは、お遍路さんの安全な通行のためのラインということがようやく分かった。お遍路文化が1200年以上も続いている四国ならではの心遣いであろう。
今日のゴールとなる美波町に入る。ここは、前回は日和佐町だったような気がする。多分町村合併したのだろう。
当所無理だったら、JRに乗ろうと考えていた山河内駅前に15:15に到着。次の電車は16:11である。あと6kmくらいなので、そのまま前進。
薬王寺の近くに、「旧へんろみち道しるべ」を1ヶ所に集めたと思われる所があった。
16:25、瑜祇塔が目立つ23番霊場薬王寺に到着。
15:45、すぐ下にある今夜の宿・薬王寺温泉宿坊薬師院に到着。
5400円の素泊まりだけの対応だが、温泉にレストランがあるし、夕食はそこで摂るか、近くにコンビニや食堂もあった。少し高いが、ホテル並みの造りと温泉ということで大満足である。
隣接する民間の温泉施設を買い取ったらしい。そのせいか、入浴は1回は無料だが、2回目以降は有料だった。
夕食は、温泉のレストランで、阿波鶏の唐揚げ定食(1150円)を食べた。