これまでに歩いてきた街道、古道、遍路道の路傍には、あまり触れてこなかったが、おびただしいほどの石仏・石塔群が目に付く。
また、草むらに隠れた小さな石仏に出会ったりするが、なぜか数種類がまとまって設置されていることが多い。
昔からその場所に設置されたことにはその意味合いもあるのであろうが、道路整備のために1ヶ所に集められたと思われるものもある。
これらは、馬頭観音、庚申塔、道祖神、地蔵尊、石灯籠、常夜灯、供養塔、題目石などなど、さまざまである、
これらは歩かないと気付かないものがほとんどである。
設置された時代が読めるものもあるが、風化して読めないものが多い。しかし、概ね江戸時代から明治にかけてのものが多い。
また、北海道でも多く目にする馬頭観音は昭和までのものが見られる。
それぞれの石仏・石塔には庶民の願いがこめられていて、民間信仰と結びついたものがほとんどである。
道祖神は峠や村境などに多く祀られている。本来、この神様は外敵や疫病から守ってくれるという民間信仰らしい。
さらに、縁結び、安産、子孫繁栄などに結びついているという。
その姿も中山道の群馬県・長野県では双体道祖神、甲州街道とりわけ山梨県では丸石道祖神が多くみられた。
庚申塔は、庚申塚ともいい、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔である。
庚申塔の建立が広く行われるようになるのは、江戸時代初期頃とのこと。
当初は青面金剛や三猿像のほか、阿弥陀、地蔵など主尊が定まっていない時期を経て、徐々に青面金剛像が主尊の主流となった。
その後、江戸中期から後期にかけて「庚申塔」あるいは「庚申」と文字のみ彫り付ける形式が増加したらしい。
馬頭観音とは、六観音の一つで、馬頭観世音とも呼ばれる。
頭の上に馬の頭をいただいていることから、六道の一つの畜生界を済度するといわれ、馬の守護神として昔から広く信仰されている。
馬の頭を頂いた観音様の姿を見て、馬とともに生活する当時の人々が、馬の無病息災を祈る民間信仰が生まれた。
農耕馬のほかにも馬とともに歩む道中の安全を祈ったり、死んでしまった馬の冥福を祈ったりということからか、非常に多く目にする。
常夜灯・石灯篭は、街道沿いに見られるものは、夜道の安全のため、現在で言う街灯の役目を果たしており、街道の道標として設置されているものが多い。
港町などには灯台の役目をした大型の常夜灯が設置されている。