Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について

2015-08-11 | Weblog
「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について
という自衛隊の内部資料とされるものを、共産党の小池晃政策委員長が入手し、11日の参院平和安全法制特別委員会に提出した。

小池氏。
「新ガイドラインは集団的自衛権行使、米国などに対する武力攻撃への共同対処を明記するとともに、アジア太平洋地域およびこれを超えたグローバルな協力を打ち出して、地球規模で自衛隊が米軍に協力をし、従来の戦闘地域にまで行って軍事支援をすることをうたっている。これは、日米安保条約の実質的な改訂であって、地球規模の軍事同盟への根本的転換だと思います。こういう大転換を、国会での法案審議が行われてもいないのにアメリカに誓約してきた。これは日本の独立と主権をないがしろにする異常な対米従属の姿勢だというふうに言わざるをえません。」
「説明文書の中にこうあります。「ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと、平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中ではこれらが区別されることなく記載されている」と。これね、本当に率直に書かれているんですね。大臣。法案が成立しなければ実施できない内容を、国会で議論もしないうちに日米合意し発表したことになる。そういうことですね。」

中谷大臣。
「また、あの、提示の資料につきましては、あの、少なくとも防衛省といたしまして、これまで公表した資料にあるとは、あの、承知をしておりません。」

小池氏。
「こういう、ガイドラインと法案の関係を示す重大な文書ですよ、これ。根幹問題ですよ。それを大臣が知らないってこと自体が私はこれ大問題だと思うんですよ。~まだ国会で審議の真っ最中ですよ。それを受けた今後の方向性を、統幕がね、議論しているというわけですよ。大臣ね、統合幕僚監部がすでに、新ガイドライン・法案を受けた今後の方向性の検討に入っていることをご存知でしたか。」

中谷大臣。
「はい。あの、この安保法案につきましては、国会の審議が第一でございますし、また法案が成立した後ですね、これはあの検討を始めるべきものでございます。」

小池氏。
「いま大臣は法案が成立してから検討すべきものだと仰った。だとすれば、統幕でこういう検討していたのは大問題じゃないですか。これをどうされるんですか。」
「~運用面の調整を実施する、軍軍間の、軍軍間の調整所が設置される(と記されている)。軍軍間って何ですか。自衛隊と米軍ですか。自衛隊いつから軍になったんですか。」
「~これすべて、法案の成立を前提とした、克明な自衛隊の部隊の編成の計画まで含めて出されているじゃないですか。こんなことはね、戦前の軍部の独走ですよ。こんなことは絶対許されない。こんなものが出たままで議論なんかできないじゃないですか、この法案の。この法案撤回するしかないですよ。これもうちょっと止めていただきたい。はっきりさせていかないとこれ以上議論できない。」

議会はこれで散会。
明日以降はどうなるか。

法案成立前に自衛隊が新法成立を前提に基本計画を変更していた動きを、防衛大臣も防衛省も知らなかったとすれば、大問題。
内閣総辞職が当然であろう。

中谷防衛相はいったん「承知していない」としながら、「同じ表題の資料は存在します」と答弁。しかし、「細部まで特定するには多少時間がかかる」として審議を中断。
資料の存在を認める一方で具体的な内容の確認を避けたが、これはまさに「特定秘密」として扱っているつもりだったということもありうる。こうして秘密文書を誰かがリークしない限り「国民には何が秘密かさえわからない」という、国民無視の「秘密」の横行ということになる。

昨日、日本劇作家協会は、「安全保障関連法案」「集団的自衛権行使を認める閣議決定」の撤回を求めるアピールを出した。
その前文ではまだ法案成立後の可能性として記した「先制攻撃をも含む外国軍との一体化」が、進められていたわけだ。
安倍首相は今年4月、安全保障関連法案を国会に提出する前に、米議会で「夏までの成立」を勝手に約束してしまっていたが、今日露見した文書によれば「ガイドライン、平和安全法案を受けた今後の方向性」は「8月に法案成立」とあり、法案成立を前提とした、具体的な自衛隊の部隊の編制まで書かれていた。
憲法9条の専守防衛では否定される「実力をもって阻止する攻撃」を可能とする体勢を、日米間では既に具体的な案として、推進していた。
「防衛大臣も防衛省も知らなかった」とすれば、まさに「 外交や、文民的な意見の表出を突き詰めることによって戦争への道を阻む」方策が、門前払いされていたことになる。
いずれにせよ、新安保法制後の世界では、戦争を阻止するための「言論と「表現の自由」を行使する機会」や、国会論議や国民意見の入る余地など、想定されていないことが露呈した。

そしてネットに配信されている「NHKニュース」では、「小池氏は、「法案の成立を前提に、部隊の編成計画まで出ており、絶対許されず法案を撤回すべきだ。これ以上議論できない」と主張して納得せず、質疑が中断しました。このあと理事懇談会が開かれ、与党側は、審議を続けるよう求めましたが、野党側は、「まず、この資料が事実かどうか明らかにすべきだ」などとして折り合わず、委員会は質疑が再開されないまま散会しました。」と締めくくっているが、どうみても「小池氏のせい」で「質疑が中断し、再開されないまま散会した」という書き方に見える。ずいぶん偏った報道である。

同じ日に、鹿児島県の川内原発1号機再稼働。午後11時には核分裂反応が安定的に持続する「臨界」に達した。14日に発電と送電を開始予定。
国内の全ての原発が停止した「原発ゼロ」状態は一年十一ヶ月ぶりに終わった。ただただ虚しい。

「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について
という文書の一部は、以下で読める。
http://www.jcp.or.jp/web_download/data/20150810183700620.pdf
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日本劇作家協会 「安全保障関連法案」「集団的自衛権行使を認める閣議決定」の撤回を求めるアピール

2015-08-11 | Weblog

厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしですか。

 国民的関心の高い「集団的自衛権」ですが、政府案では、先制攻撃をも含む外国軍との一体化を否定せず、憲法9条の専守防衛では否定される「実力をもって阻止する攻撃」を認めています。
 「戦争を止めるには別な戦争が必要である」ことを前提とする考え方は、 外交や、文民的な意見の表出を突き詰めることによって戦争への道を阻むこと、つまり戦争の危機に向けて、言論と「表現の自由」を行使する機会を大幅に奪う可能性があります。
 安倍首相は今年4月、安全保障関連法案を国会に提出する前に、米議会で「夏までの成立」を約束しました。国会論議や国民意見を拒否する行動であり、 手続き的にも言論と表現の自由が尊重されない状況です。
 私たちは表現者として、国民議論を無視する趨勢を阻止する必要を感じ、また、広く観客も含めた演劇に関わる皆さんの理解を求め、以下のアピールを提出することにしました。

      …………………………………………


「安全保障関連法案」「集団的自衛権行使を認める閣議決定」の撤回を求めるアピール

 日本劇作家協会は、昨年7月14日、「集団的自衛権行使を認める閣議決定に抗議し、撤回を求める緊急アピール」を発表しました。
 その末尾で私たちは「この閣議決定に基づく全ての法案提出にも反対します」と表明しました。
 実際、今年7月16日に衆議院で強行採決された「国際平和支援法案」「平和安全整備法案」からなる安全保障関連法11法案は、ほぼすべての憲法学者が違憲と指摘するものです。

 また、2013年に強行採決された「特定秘密保護法」では、国民の知る権利が担保されておらず、政府が「何が秘密なのかを永遠に秘密にできる」内容であり、憲法違反が仮にあっても、それを指摘することすら困難となります。

 過去の議論を無視した憲法の否定や、国民への説明の軽視は、私たち劇作家がよって立つ「言葉」の力を踏みにじることに他なりません。表現者・言論人の取材活動と表現活動を支えるのは、憲法の根本原理たる市民的自由です。
 私たちは表現者として、このたびの強行採決に反対し、一括法案の廃案と、あらためて「集団的自衛権の行使を認める閣議決定」及び「特定秘密保護法」の撤回を求めます。


2015年8月11日 
 
一般社団法人 日本劇作家協会 

 *表現や言論の各団体にこのアピールへの賛同を広く呼びかけています。

http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20150811
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