Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

陽は差したが冷える日

2012-06-15 | Weblog
昨日の写真で『宇宙みそ汁』の清中愛子さんがどの人かわからないという意見が聞かれたので、私とのツーショット写真を載せる。本日も新たに「手記」が送られてきたので台本に手を入れる。とは言っても、私はいっさい書き加えてはいない。この指針は決して外れていないはずだ。あらためて「現代詩」の言葉が舞台に存在することの意味を考える。……米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが南部フロリダ州での訓練中に墜落事故。さすがに普天間飛行場に配備は無理だという意見が世論を圧するだろう。「敵失」による解決になればそれはそれでどこか悔しいがそれでも配備されない方がいいに決まっている。……内田樹さんが野田首相の大飯原発再稼働について国民に理解を求める声明に対して、「誠実さを欠いた人だ」。詭弁にはさまざまなテクニックがあるが、そのもっとも基礎的な術の一つに「同一語を二つの意味で使う」という手がある。この演説で使われている「国民生活」というコトバの意味が一貫していない、総理大臣が自国民を「詭弁を以て欺く」べき相手、つまり潜在的な「敵」とみなしたことに「心が痛む」という。なるほど。……宇野萬さん亡くなる。舞踏家であり、劇場スタッフとして世田谷パブリックシアター開場時から活躍された。山口の劇場YCAMスタッフに転じられてからも私たちの『CVR』ツアー山口公演などでお世話になった。彼の弟子に当たる人が八十年代、燐光群に出ていたりして、いろいろと因縁はあった。山口でも手術跡を見せたりされていたが、十年以上病と向き合う生活をされていたのだろうとあらためて思う。ご冥福をお祈りする。……千葉に続いて神奈川県三浦市の入り江でカタクチイワシとみられるおよそ1万匹のイワシが死んでいるのが見つかった。やはりこれらは何か自然界の大きな動きの予兆なのだろうか。
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清中愛子さん来訪

2012-06-14 | Weblog
稽古場に『宇宙みそ汁』作者の清中愛子さん来訪。出演者たちともいろいろと話す。自分自身を描く詩が劇として立ち上がっていくのをその本人が目の前で観ているというのは、なかなか不思議だし面白い。演劇はやはりあらゆる可能性に開かれている。今回もまだまだやれることがたくさんある。いろいろ試したい。……稽古後、座高円寺で劇作家協会戯曲セミナー。今年の受講生は男性の方が多いのではないか。多彩な人達が揃っている。同期どうしの交流は得難い体験だろう。……梅雨のはずだが雨はなく自転車移動の日となる。
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6月半ばでこの涼しさは

2012-06-13 | Weblog
生レバー禁止。そういうふうに動いていることは知っていたが、あらためて、意味がわからん。現行の仕組みでは不衛生ならば、それを修正し従わない相手は取り締まればいいだけのはず。衛生を守るための法律は歓迎だが、「禁止」って、それは己の管理能力のなさ、指導さえできない無力をさらけ出しているだけではないのか。食べさせない、という「高圧」に、現在の「システム」じたいが何か妙な権力的快感を憶えているというか、やつあたりというか。「危険の可能性があるならやめろ」というなら、「レバーより原発を禁止」というのは、まさに筋の通った意見。……コロンビアの作家ガブリエル・ガルシア・マルケス氏が認知症を患っているという。私は6年前、氏の『エレンディラ』を戯曲化しており、彼の生誕地アラカタカにも行ったし、彼にも血が混じっているという少数民族ワユ族を取材させていただいた。機会があればお目にかかれるかもと思ったこともあったのだが。……民主党の連中はほんとうにバカなんじゃないか。パフォーマンス石破に文句を言うやつがいないのも党内事情なのだろうが、内部で反旗を翻して生き残りを図る連中は、あらためてひどい。こんなに弱体化した自分たちの党さえ改革できずまとめられない人たちの将来に、誰が期待するというのか。……午後すぐには入らなかったとはいえ、夜十時まで稽古するのは久しぶり。すべきことは見えてきたので前進あるのみ。
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沢野ひとし≒清中愛子?!

2012-06-12 | Weblog
思っているより疲れていて仕事のため早起きしたが集中力続かず。持ち直すが思いがけないミスに慌てる。……本日より、午後から夜まで長丁場の稽古。……今回の新作公演の半分、清中愛子による原テキスト『宇宙みそ汁』は、現代詩として書かれている。それでも演劇のテキストになる。私はいっさい書き加えはしていない。それゆえの「構成」における荒技が必要となる。稽古していて、これはどうも今までやったどの芝居に一番近いかといえば、かつて沢野ひとしさんの言語作品を構成して台本にした「『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に 改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか」にテイストが近いと、あらためて思う。稽古場でそう呟くと「想定通りでしょう」という、皆の突っ込み。なるほど。ということは、沢野ひとしと清中愛子は似ているのかもしれない! ユーモアと自己韜晦と真剣みのバランスが沢野≒清中説を裏付ける。もちろん両者は全く違う人格と表現なのだが、私と相性が合うという一点だけでもどこか「相似」しているのではなかろうか。……ところで「『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に 改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか」というのはいかにも長い題名だが、「世界一題名の長い演劇」にしようと思ったから、そうなっている。我々の間では略称『放埒(ほうらつ)』で通用している。……ちなみに世界一(日本語としてだが)題名の長い映画はピーター・ブルック監督『マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』であり、こちらは『マラー/サド』と略されている。私はこの映画を高校生の頃に自主上映したことが演劇に向かう潜在意識に影響しているのではないかとどこかで自らを疑っている。……写真は『宇宙みそ汁』が収録された詩集『宮の前キャンプからの報告』。使用された紙も清中さん自身が漉いた完全自作詩集である。

http://rinkogun.com/Next.html
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じめじめと日曜日

2012-06-11 | Weblog
仕事が捗らぬままうかうかと夕方を迎える。それでも集中はしていたのか急な雨に気づかず、お隣に知らされ慌てて洗濯物を取り入れる。……夜は池袋シアターグリーン。『15 Minutes Made』を観る。この劇場は建て直され新しくなり劇場数も三つに増えてからは、初めて来た。さて、演目は、Mrs.fictionsが主催する6つの団体(MCR、梅棒、月刊「根本宗子」、あやめ十八番、宗教劇団ピャー!!、Mrs.fictions)が15分ずつの短編を一度に上演するイベント。流山児祥、佃典彦両氏とアフターイベントに出演。佃君の采配で、この中から来年2月の「劇王全国大会」の東京出場団体枠の一つを決定することになっているのだ。まだ確定していないので感想は記さず。今回の六作品は「地図」をイメージコンセプトとしているというがそんな形跡はまったくなかった。劇場を出て一応三人で会議、そして出演団体の飲み会に招かれるが、流山児、佃両氏と「先輩」的なポジションで喋るのも不思議な体験である。この企画を立ち上げた人達がある意味で情熱家だということはわかるが、演劇を、俳優を、もっと信じなければいけないよ、とも思う。……帰路、総武線との接続がどーたらこーたらで山の手線が池袋駅で五分超の遅れ。JRの事情のせいでギリギリで間に合うはずの最終井の頭線接続の京王線を逃してしまった。不条理だ。代田橋からとぼとぼと帰る。……沖縄県議選挙の結果がメールで続々届く。結果はある意味予想通りだが。……沖縄といえば、今年の憲法記念日に私が那覇の憲法講演会で話したときの観客アンケートのコピー等が届いた。総て好評で安堵。あるアンケートに、同じ講演会で数年前登場した井上ひさしさんが、「国境なき騎士団」になぞらえて「我々は締切なき作家団」と話された記憶が書かれていて、井上さんの声とお顔が甦り、一瞬、目頭が熱くなった。……政府は福島市で双葉郡8町村と県との協議を行い、福島第1原発事故で避難区域に指定された11市町村で、除染による効果を考慮しない場合の今後20年間の放射線量の低減予測を明らかに。原発事故前の居住地域と人口分布に当てはめると、11市町村の約8万6000人のうち、32%に当たる高線量地区6町村の住民・約2万8000人は、5年後も避難が必要ということだ。10年後も18%、6町村・約1万5000人の本来の居住地が、年間被ばく線量20ミリシーベルトを上回ったままで帰還できない状況が続く見通し。11市町村で、現在の年間20ミリシーベルト超の区域に住んでいた人口は全体の64%を占める。一種の「希望的観測」でさえそうなのだ。そして、新たな震災、事故が起きれば、この数字さえ覆される。原発再開? 正気の沙汰ではない。
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梅雨になるのか

2012-06-10 | Weblog
二時間くらいしか眠らぬまま稽古へ。……雨の日々が続くのだろうか。……下北沢のM亭が潰れるという噂があるがほんとうなのだろうか。……保護者向けの子どもの健康相談活動をしている小児科医の山田真氏によると、住民が「こういう放射能の線量が高いところに住んでいて大丈夫なんだろうか?」「避難したほうがいいかどうか迷っているけれどもどっちがいいだろうか?」と不安を訴えても福島の地元の医師達は「放射能の事なんか全然心配はない」と、ほとんど取り合ってもらえないのだという。山田氏によれば「一種の戒厳令状態」、もうとにかく放射能のことを話題にしないという状態で、「なるべく福島産の物を食べよう」という動きもある中、「心配だ」と口に出せないような状態が続いているという。放射線量が高いという事実は否定できないわけで、既に自己判断で多数の人々が避難したわけだが、残された人達のためにも、誰もが自己判断できるだけの説得力ある調査と、未来のリスクを正当に評価した基準設定が求められている。……CNNによれば、中国の民主活動家・李旺陽氏が入院先の病院で死亡。首をつって自殺したという当局の説明に対し、遺族や友人は自殺するはずがないと主張、徹底調査を求めているという。李氏は1989年の天安門事件後間もなく逮捕されて20年以上服役し、盲目で耳は聞こえず歩行も困難。5月に釈放され、警察が24時間態勢で監視する中、湖南省邵陽市の病院に入院していた。釈放後、一刻も早く国外に脱出させるべきだという意見があったが、私もそう思う。
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堂々巡り

2012-06-09 | Weblog
午前中、高円寺劇作家協会事務局で打合せ。懸案の中心人物としてやる気満々だった若手ホープT君が現れず、それでもいろいろ決めてゆく。企画事業部久々の事業、頼もしい新世代の活躍が楽しみ。で、数時間前の深夜にツイッターで不穏な呟きをしていた疑惑のT君がなぜ連絡もせず所在不明だったかについては、ただ日程を間違えていたというオチが付く。……環八を飛ばして梅ヶ丘で稽古。……夜は初台、新国立劇場『サロメ』。美術・ビジュアルが日本の劇場らしからぬヨーロッパ的シンプルテイスト。真面目に演じているはずの登場人物たちがほとんど噛み合っていないように見えるのは狙いなのだろうが、現代日本の空疎さを示す劇である必要はないのではなかろうかと思う。……これから雨が続くようだからこんな自転車移動三昧の日々はしばらくお預けかもしれない。……東京からおよそ120キロ離れた伊豆大島で乾燥アシタバから、国の基準の1キログラム当たり100ベクレルを上回る280ベクレルと、105ベクレルの放射性セシウムが、2つの事業所から検出されたという。……野田佳彦首相は記者会見で、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に関して「再起動すべきというのが私の判断」「石油資源の輸入に支障が生じる事態が起きれば石油ショックのような痛みを覚悟しなければならず、エネルギー安全保障の視点からも重要な電源だ」「(大飯原発に関して)福島を襲ったような地震・津波が起こっても事故を起こさない対策と体制は整っている」「安価で安定した電力は欠かせない。原発を止めたままでは日本の社会は立ち行かない」「夏期限定の再起動では日本経済は守れない」。傲慢、ごまかし、嘘つき、責任転嫁、火事場泥棒。鈍感が束になってかかってきた。どうせ国民は怒らないだろうと見透かした気でいるのだ。自分が生きると決めていた場所に住めなくなった人がいるという事実の重みとそのほんとうの「意味」が、この輩をはじめ、この国の愚かな「指導者」たちには理解できていないのだ。……こんな日にサッカーで勝ってもむなしいだけである。
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言葉通りの意味での「独立」

2012-06-08 | Weblog
もろもろ。稽古。……夜は環七を自転車で北上、セシオン杉並で、ペシャワール会の中村哲医師の講演。満員の盛況。ユーモアとはヒューマニティーだと言うしかない、見事な話術。こんな講演者はそうそういない。今回は、燐光群スタッフが裏方を応援している。古元君は照明、音響、映像出しに大活躍。……中村氏は1998年ペシャワールにPMS(ペシャワール会医療サービス)病院を建設。2000年に始まった過酷な干ばつ、100万人以上の人が餓死線上にあると言われたさい、1500本の飲料用の井戸を掘る。そして、緑を蘇生させる用水路建設へ。灌漑で緑を再生させ、難民たちをその地に戻す。「9.11」以降の時間に客観的に対処する、日本が誇るべき国際人。彼の活動で、年間3億円の日本からの募金が生きているのだ。講演終了後、何しろ一年の大半を日本以外で過ごす中村さんと話す、得がたい機会。彼が何度も繰り返されていたのが、「日本は独立すべきです」の一言。東北と沖縄、という話題でも、「独立」を繰り返される。ほんとうに、「独立」「自立」について、確固としたイメージを持てないで平気なのはおかしい。自らの尊厳を意識していない人たちが多数を占めているこの国って、何なんだ?! 辛い現実を再認識しつつ、深く励まされる。
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下北沢に馴染む

2012-06-07 | Weblog
もろもろ。稽古。夜はスズナリで流山児★事務所『さらば、豚』。最後列に案内されたのは観やすい席だしいいのだが、左隣に作家の東憲司君、その向こう隣に舞台美術の島次郎さん、右隣に座ったのが照明の沖野隆一さん、その向こう隣に演出の流山児祥氏、という、「なんで?!」というスペシャル席での観劇であった。スズナリを知り尽くしたスタッフによる劇場空間の創出。佃典彦君が俳優としてチャーミングなのが愉快。客席に盛岡の坂田さん、こちらの盛岡公演をよろしくと話す。
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打ち上げられた魚

2012-06-06 | Weblog
稽古。梅ヶ丘BOX。椅子一つ出しただけでがらっと空間が変わる。それが演劇。これからいよいよ楽しくなるはずである。……千葉県いずみ市の大原漁港で、漁港内に逃げ込んできたおびただしい数のイワシが酸欠で大量死。打ち上げられた死骸だけでも二百トン。イルカ等の天敵に追われて逃げ込んだとしてもあまりにも数が多すぎることから、「異変の前触れでは」と心配する声も出ているという。明治三陸大津波の直前も、港が覆い尽くされるほどイワシや、カツオ、マグロなどが収穫されたというのだが。
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世田谷の演劇黄金三角地帯(?)

2012-06-05 | Weblog
稽古。梅ヶ丘BOX。言葉と出会うということ。言葉が生まれてくる前段を想像できるということ。……夜はシアタートラム『南部高速道路』プレビュー初日。台本・演出長塚圭史氏の隣席に案内されたのだが、さすがにそりゃお互いやりにくい。長塚君、向こう隣の演出助手と席を替わってくれる。プレビューは批評を公開してはならないのが世界的常識なので、少しだけ。原作小説があるという話だったが、オリジナルのよう。ワークショップを重ね、こなれているということなのかもしれない。登場人物が出ずっぱりで密度を保つ点は文学座アトリエ『NASZA KLASA』と共通。袋とじ写真集のような手の込んだパンフレット、劇場も力を入れている。……自転車で一日移動するのは、この季節、本当に快適だ。それにしてもこの行動圏内は、三軒茶屋、梅ヶ丘、下北沢……、世田谷の演劇黄金三角形地帯(?)にいるのだ。
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一週間は早い

2012-06-05 | Weblog
千秋楽。『冬眠まんざい』。そして1159ステージめという『土佐源氏』、風を食らいながら去る坂本長利! 打ち上げ。おつかれさまでした。
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人間が人間を見つめる

2012-06-03 | Weblog
あまり眠らぬまま、蒲団に横になることもなく仕事というか雑務を続ける。進まないんだから仕方がない。……午後、ザ・スズナリで三条会『ひかりごけ』。快作である! 船長と検事の榊原毅一人二役は一世一代、ユーモアが孤独を際立たせる。大倉マヤのバイオリン・カノンと美しく鮮やかな口跡。美術:石原敬+照明:岩城保、マッチングの巧みさ。十年掛けてこの世界を磨き上げた関美能留のこれまでの到達点だろう。ロビーで舞監・森下紀彦さんと9月に向けて打合せの立ち話。……その足で同じ街の劇場で3時半過ぎからの『冬眠まんざい』を観る。昨日幾つかNOTEをしたので確認しなければと思ったのだが、予想通り私の注文というかお願いについては難なくクリア、さすがは坂本・五大コンビである。……そして慌ただしい中「日本の問題」松枝くんから相談を受ける。……夜は稽古。終えて名簿確認作業で終電二本前まで粘る。天気予報を信じて自転車をやめた日だが、ほんとうに深夜の電車が嫌いだ。……某所でNHKのオウム特集を観る。ドラマ部分はぴんと来ない。どうしたってステレオタイプになってしまう。麻原の肉声テープの部分だけは凄まじくダークな「念」が公共の電波を通してリアルに届く。オウム後期の風景には常に富士山が見えていたという理解が、一つの収穫ではある。私たちも90年代、富士山のそばに倉庫を借りていたのだ。で、最後の一話は「警察をヨイショしている」と言わねばなるまい。さすが天下のNHK、である。サリン事件については言いたいことがいろいろあるが、まだ時期ではない。……ヘビーな日だったか? たぶんね。読んだり書いたりしなければならないものがまだまだ山のようにあるが、もう寝る。
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『BIG MIRACLE』

2012-06-02 | Weblog
午前中、映画試写『だれもがクジラを愛してる。』(原題〝BIG MIRACLE〟http://love-whale.jp/)。クジラ関係者としては観ないわけにはゆかない。1988年、アラスカのバロー沖、冬になって凍り始めた分厚い氷の下に、南下することができず閉じ込められ、動けなくなっていたコククジラ3頭の、世界中よってたかっての、救出劇を描く。実話であり、当時は「世界中に紛争が絶えない現実の前で、動物を助けるために何をやっているのか」と、ずいぶん皮肉られたりもした。じっさい、ある種の喜劇でもあり、「世界最北のメキシコ料理店」「町にホテルは一軒しかない」等、当時のロケーションについても興味を引くように作られている。私はアラスカはジュノーにしか行ったことはないが、数千年凍りつづけている氷河をはじめ、大自然は見事であった。なにしろアラスカはアメリカからすれば「カナダの向こう」にある。それでもこの映画に描かれるのは「北極圏のアメリカ」なのだ。氷もクジラも撮影用の作り物らしく、よくできているのだが、最近観客も鈍感になっていて、どんな映像を見ても「どうせ合成だろう」と思ってしまうのは困ったことである。ドリュー・バリモア演じるグリーンピース職員が奮闘するので、一瞬グリーンピースの宣伝映画のようになってしまうが、あくまでもハリウッド的に処理されている。政府、実業家、ソビエト等、全方向に対して、あたかも平等であるように描いているということだ。「クジラを殺して食べる」アラスカ・イヌイット族の人々への描写は、差別感は否定できない。だが、「油田開発で潤っている今はいいが、いずれ来る食糧難の時代に、クジラを捕り続ける技術が継承されていないということになっては困る」という彼らの言い分は説得力がある。ラスト、イヌイット族の少年が騒動を振り返って「バカ騒ぎ」と言うところでもバランスを取っている。いずれにせよ、『ザ・コーヴ』で「イルカを殺して食べる日本人」を徹底して悪役として描いたのに比べれば、ずいぶん歩み寄っている。映画としてはハリウッド的にバランス良くまとまっていて、デートにも家族向きにも対応できているということであろうが、ぎりぎりのところでクジラを擬人化する愚はおかしていないところは好感が持てる。……映画といえば、新藤兼人監督が百歳の大往生。『竹山ひとり旅』が好きだった。……午後、仙台から10-BOXのボス八巻さんが梅ヶ丘に訪ねて来てくださる。10-BOX最寄りのスーパー銭湯も津波被害で営業停止していたという話に、「そんな近くまで……」とあらためて思う。劇場のまわりに架設住宅も含めて一万人もの避難民の現実。さまざまな話をしているうちに一時間半があっという間に過ぎる。……稽古。言葉に対する集中力、身体ごと感じる力の重要性。……打合せの電話数件。いろいろなことを進める。……夜、二日あいて久しぶりに『冬眠まんざい』。いろいろとチェック。慌ただしく一日が終わる。
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髪を切る

2012-06-01 | Weblog
打合せ二件。県立図書館で資料をあたる。思っていたようなものがない。岡山駅前で1800円カットのみのスピード散髪。途中下車して取材する予定をやめ、まっすぐ帰京。東京に向かう新幹線の中で夜を迎えると、なんだか闇が深いような気がして、時間感覚がおかしくなる。着いた後、駅のホームで二、三件の電話を掛け、ずれた感覚の帳尻を合わせる。
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