今日はオカブのウン十ウン回目の誕生日。そこで自ら誕生パーティーを催すことにした。パーティーの献立はヴィーナー・シュニッツェル。シュニッツェルとは、ドイツ・オーストリア料理のトンカツのこと。特にウィーン名物のヴィーナー・シュニッツェルは、ラデツキー行進曲で有名な、ラデツキー将軍が、ミラノ遠征の際、ミラノ風カツレツをオーストリアに持ち帰り、宮廷料理になったという俗説がある。さて今夜の客はやったーうーまんにかーたん、そしてバイトから帰ったエルさんが加わる。まずはアペリティフのキールロワイヤルで、乾杯。そしてかねて下ごしらえしていたシュニッツェルを揚げはじめる。ここでシュニッツェルのレシピ公開。
豚肉である。本場のウィーンの高級レストランでは仔牛のシュニッツェルを出すが、大衆的な居酒屋的な店では豚肉のものが主流。仔牛と豚肉を両方供するところもある。値段がそれぞれ違う。当然仔牛のほうが高い。今回の豚肉は西友で、ソテー用の5枚入りパックを大人買い。
肉叩きで延ばす延ばす。ペラペラになるまで延ばす。肉叩きがなければビール瓶などで代用してもよい。
ペラペラに延ばした肉。向こうが透けて見える。穴も開いている。
延ばした肉に塩胡椒をする。全く下味をつけなくてもOK。お好みで・・・
衣に着ける小麦粉の下準備。小麦粉を篩う。その前にベーキングパウダーを混ぜる。
小麦粉をつけた肉に卵をまぶす。ここまではトンカツと全く同じ要領。
ここからがトンカツとの違いを見せつけるポイント。センメル・ブレーセルの登場である。センメル・ブレーセルとは、カイザー・センメルと称する、ドイツ・オーストリアの固パンから作ったパン粉である。これがあるとないのとでは大違い。センメル・ブレーセルではなく、普通のパン粉で作ったシュニッツェルはただの薄っぺらいトンカツと化す。センメル・ブレーセルはドイツ製のものが日本でネット通販で入手できるほか、福岡の『サイラー』でも通販で買うことができる。写真のものはオカブがウィーンで仕入れてきたアンカー社のもの。品質はいい。
センメル・ブレーセルの粉。普通のパン粉よりもずっと粒が細かく、乾燥している。
卵をつけた肉に、センメル・ブレーセルをまぶす。つけ落しがないように丁寧につけていく。
衣をつけ終わった肉。揚げるのを待つだけの、まな板の鯉状態である。
普通にサラダ油で揚げます。ここがいつも疑問に思うところなのだが、本場物のシュニッツェルはフライパンに薄く敷いたラードで揚げ焼きにするという。ラードはいかにも使い勝手の悪い油だし、薄く敷いた油で揚げ焼きというのは、まんべんなく火が通らないのではないかと思ってしまう。まあ、こんど挑戦してみよう。
出来上がったシュニッツェル。レモンをきゅっと絞って食べると美味い。揚げ色の黄金色がオーストリア・ハプスブルク家の権勢を象徴しているという。
アペリティフのキールロワイヤル。中身はもちろんスパークリング・ワインとカシスです。
話も盛り上がり、6時から始めたパーティーも早11時に。明日もあるし、名残惜しいがこれにてお開き。深夜まで引き留めてしまったやったーうーまんを見送り、あとは山ほどある食器のお片付け。ふぅう。
窓開けて灯影に集い夏来る 素閑