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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「丘をさまよう女」 シャーリン・マクラム 

2011年01月26日 | 読書
「丘をさまよう女」 シャーリン・マクラム   ミステリアス・プレス文庫95
 SHE WALKS THESE HILLS      浅羽莢子・訳

アメリカ、ノース・カロライナ州ミッチェル郡。
1993年8月。
テネシー州マウンテン・シティの北東更正センターから、殺人罪で服役中の63歳のハイラム(ハーム)・ソーリィが脱獄する。
ハームは、最近の記憶を失い過去のある時点から抜け出せないコルサコフ症候群だという。
ハームが向かっているのは、かつて自分が住んでいたアパラチア山脈の近く。
地元の保安官は、ハームは辿り着くことは出来ないと見ていた。
保安官助手見習いのマーサ・エアーズだけは、心配して自ら探索しようとする。
ラジオ局のDJ、〈北部者のハンク〉は、ハームに興味を持ち、ラジオで取り上げていく。
同じ頃、民族歴史学者のジェレミー・コップは、ある計画を実行しようとしていた。
それは、1779年にミッチェル郡の農場からインディアンにさらわれた、ケイティ・ワイラーが逃げ帰った道を辿ろうというもの。
ケイティは、オハイオ川を頼りに、未開の土地を何百マイルも横切り帰り着いたのだ。




63歳の脱獄囚、ハームが中心にいる物語。
ハームの現在の行動、過去の事件が本当はどうだったのか。
何人かの登場人物が動き、その行動が重なり影響しあっていく。
そして、ケイティの存在も。
帰り着いた先で、何か不幸なことがあったようなのだが。
気を持たせられながら、最後まで引っ張られてしまう。
ハームの事より、そちらが気になっていた。
人が織り成す物語は面白いのだが、あまりテンポはよくない。
ゆっくりと進むのは、この地方の雰囲気なのか。
都会と自然の中の町では、時間の流れも違う。
だから、ゆったりと進んで行けばいいのかも知れない。
そんな空気が感じられる。
それぞれの登場人物が丁寧に書かれていて、心情もよく分かる。
事件よりも、そんな人間ドラマに興味が行く物語。
生きるのは、厳しいことだ。
ハームにも感情移入が出来、もっといい終わり方であればよかったが。
そして、ケイティの物語が、あまりにも哀れで悲しい。



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