オロナミンCのCMを見て昔をなつかしく思った。
駅のホームで私服を着た1人の女性が、大きなアタッシュケー
スを片手に今から列車に乗ろうとしていた。1人の同級生の女
子高校生と、その後ろには後輩たちが見送りに来ている。
同級生に促されて、私服の女性が列車に乗り込む。
「泣かないと言ったじゃない・・・ほら」
「頑張ろう~」の声援が起こり、ふるさとを離れ旅立ちの時。
・
私が高校1年生の時、卒業をしてお世話になった部活の3年生
のH先輩がふるさとを離れて就職をするので、延岡駅に集まる
ように連絡があった。駅にはキャプテンだったN先輩と、2年
生と1年生あわせて10人ほどがH先輩の見送りにきた。
・
H先輩は空手の有段者でありながら、合気道もできる強くて格
好いいやさしい先輩だったが練習はきびしかった。
H先輩から、言われたことで今でも覚えている言葉がある。
「気合いで右頬をなぐられたら、左頬を出すもんだよ」
体と心を鍛えて、それだけ強い人間になりなさい。
・
列車がホームに滑り込むと、N先輩が大声でさけんだ。
「H君の健闘を祈って、バンザイ~」「バンザイ」。
「バンザイ~」「バンザイ~」。「バンザイ~」「バンザイ~」
するとH先輩は、人目をはばからずに泣き出した。
あんなに強い先輩だったのに、初めて見た涙に感動をした。
オロナミンCのCMの光景が、あのときとそっくりだったので
50年前の旅立ちが鮮明によみがえってきた。
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