日経新聞2020年4月20日の記事
【防災・減災等のための都市計画法・都市再生特別措置法等の改正について】
①見直しの目的
頻発・激甚化する自然災害に対応するため、災害ハザードエリアにおける開発抑制、移転の促進、
立地適正化計画と防災との連携強化など、安全なまちづくりのための総合的な対策を講じる。
新聞記事が示すように立地適正化計画を策定した都市のうち、居住誘導区域に災害地区を含む都市が275都市もある。
《災害レッドゾーンを含む都市》
-災害危険区域 3都市
-土砂災害特別警戒区域 6都市
-急傾斜地崩壊危険区域 10都市
《災害イエローゾーンを含む都市》
-浸水想定区域 242都市
-土砂災害警戒区域 93都市
-津波災害警戒区域 26都市
策定当時はこれほど大規模な自然災害が頻発することはなかったし、また、都市形成の過程、現状の都市機能の集積等を踏まえると、居住誘導区域から除外するのが難しいのも事実である。
しかし、さすがに近年の大規模な自然災害の発生頻度を踏まえると、今のゾーニングはリスキーであることから「災害レッドゾーン」は居住誘導区域から除外せざるを得なくなった。
浸水想定区域等については、「防災指針」をきちんと作ることで居住誘導区域として残した。ただ、沿岸の都市や市街地を川が流れている場合、居住誘導区域と浸水想定区域がかさなっているケースが多いので、防災指針が指針だけで終わると大きな災害に見舞われる危険がある。
京都府舞鶴市の居住誘導区域の設定がすごい
→市街化区域に占める居住誘導区域の面積割合が7%なのだ。ほかの都市の多くは80%前後らしい。
(正直、8割だとあまり居住誘導区域を決める意味がないような気がする)
→舞鶴市は居住誘導区域を駅周辺に絞り込んだそうだ。
②都市再生特別措置法等の改正案
■立地適正化計画の強化(防災を主流化)
○立地適正化計画の居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外
○立地適正化計画の居住誘導区域内で行う防災対策・安全確保策を定める「防災指針」の作成
⇒避難路、防災公園等の避難地、避難施設等の整備、警戒避難体制の確保等
■災害ハザードエリアにおける開発抑制(開発許可の見直し)
《災害レッドゾーン》
○都市計画区域全域で、住宅等(自己居住用を除く)に加え、自己の業務用施設(店舗、病院、社会福祉施設、旅館・ホテル、工場等)の開発を原則禁止
《浸水ハザードエリア等》
○市街化調整区域における住宅等の開発許可を厳格化(安全上及び避難上の対策等を許可の条件とする)
また、一方で被害を減らすいろいろな取り組みが求められる。
滋賀県では「浸水警戒区域」を指定し、区域内で住宅を新築・増改築する場合、地盤のかさ上げなどを義務付けた。
また、不動産業者にも契約時に浸水リスクを具体的に顧客に説明することも求めている。
千葉市も物件の紹介時に顧客にハザードマップで浸水リスクについて説明することを要請。
※現在の法令では「土砂災害」や「津波」と異なり、水害は説明が義務付けられていないらしい。
改正案の詳細は ⇓