お菓子の日記

日々つくっているお菓子の日記です。

獣の奏者

2009-09-19 23:49:05 | おすすめの本
読書の秋ということで、久しぶりにお勧めの本です。
数年前に出た、「獣の奏者(けもののそうじゃ)」の
闘蛇編と王獣偏に続き探究編と完結編がついに発刊されました。
作家の佐藤多佳子さん(2年ほどまえでしょうか、
本屋大賞に選ばれた名作「一瞬の風になれ」の著者)をして
「もっとよみたい・・・。この完璧な物語の完璧さが損なわれてもよいから」
と言わしめた作品です。

日曜日の6時半からNHK教育テレビで「獣の奏者エリン」
というアニメを上映していていますから、
そちらの方をご覧になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

初めは一気に読んで、
再度、1巻めからじっくり復習しながら、少しずつ読み返しています。


上橋さんの本は、展開がはやいので速読しても楽しいのですが、
じっくり読むといろんなところの繋がりがうまくできていて、
考えさせられる部分もあり、何度読んでも楽しめます。

上橋さんの本を読んだことのない方には
「狐笛のかなたに」がお勧め。
この本を読んで気に入れば、守り人シリーズ、獣の奏者も気に入るはずです。

そうそう、夏休みに読んだ作品を少しご紹介します。
映画の「ライラの冒険」の原作「黄金の羅針盤」を書いたフィリップ・プルマンの
「サリーロックハートの冒険」シリーズで3冊ほどよみました。

「ドラゴンライダー」の作家クリストファー・パオリーニ(今28歳くらい??)
子供のころ、フィリップ・プルマンの本を読んで成長した・・・・
と、書いましたし、黄金の羅針盤シリーズでは、
宗教的な背景がちょっと理解しがたく、格調高い本を書いている
「フィリッププルマンは現代のR.R.トールキン的存在?!」
と思って緊張して読み始めたのですが、いわゆる謎解き冒険もので、
軽く読めました。
気分転換に良い本です。

ラルフ・イザーヴの「みえざるピラミッド」「ファンタージエン」も
ようやく読みました。
みえざる・・・は、3つの世界が交わる話ですが、
ちょっと時空を超える・・・と、いうのをやりすぎという感はぬぐえません。
ファンタージエンは、
簡単にいうと図書館のブラックホールを埋めるという話ですが、
最初はとっつきにくいですが、
読み進むと面白いです。

変わったところでは、ノーラ、12歳の秋 (文学の森) (単行本)
アニカ トール (著), 高橋 和枝 (イラスト), Annika Thor (原著), 菱木 晃子 (翻訳)
現代の北欧の問題と中学生くらいの女の子の問題が
浮き彫りになる様な作品です。
アニカ トールはスエーデンの作家です。
ひょんなことから、菱木晃子 さんの講演を聞く機会があり、
彼女の翻訳本を少しずつ読んでいます。
スエーデンといえば、長靴下のピッピが有名ですが、
他にもやかまし村シリーズとか、
ニルスの不思議な旅などいろいろいい作品があります・・・
と、言っても私自身は、子供の頃はどちらかというと
シートン動物記とか江戸川乱歩のシリーズ・ドリトル先生が好きで、
あまり正統派の本は読んでいないので、最近になって読み始めいる状態。

夏休み前、城山三郎の「官僚たちの夏」という本を読みました。
高度成長期、昭和40年あたりの空気を感じる作品でした。
最近TVドラマ化されているようですね。

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書) (新書)
服部 龍二 (著)
も読みました。
広田氏は東京裁判でA級戦犯で極刑になった唯一の文官です。
著書の中で、城山三郎の「落日燃ゆ」は
広田氏がかなり美化されて描かれていると評していたので、
探していましたら、
図書館で発見、その名も
「城山三郎昭和の戦争文学〈第5巻〉
落日燃ゆ」

時代の流れとはいえ、やはり、広田氏は悲劇の宰相であったように
思いました。特に、両作品に一致しているのは、
広田氏は、自分が文官としての責任を取ることで、
天皇の責任追及を回避するという意志を強く感じました。
東条英機と広田氏以外の戦犯者が自身の保身のための
証言や証人集めに躍起になっている中で、
2名に関しては、自らの保身となるような
ことをしていない点、際立っていました。

このあともしばらく、城山作品を読み続けています。