ハンガリーのブダペストでフォアグラ(格安)を食べてみた その2

2019年03月20日 | 海外旅行
 前回(→こちら)の続き。
 
 「ハンガリーではフォアグラが、とんでもない安値で手に入る」
 
 という、文字通り「おいしい」情報を得た私。
 
 そう聞けば、ふだんはグルメなんぞに興味はなくても、試してみたくなるのが人情というもので、オペレーション「青いガーネット」を発動させた私は、勇んでハンガリーの首都ブダペストに進駐したのである。
 
 ガイドブックによると、フォアグラが手にはいるのは、街の南にある中央市場
 
 そこでのフォアグラを買って調理するのが、一番安いらしい。
 
 レストランで食べるという手もあるが、それだと少しばかり値が張る。
 
 といっても日本で食べるよりは安いけど、それよりも自炊にこだわりたいのは、ハンガリーの宿事情にあった。
 
 私が滞在したころ(2014年くらい)は、ブダペストにはリーズナブルなアパートメント形式のホテルが多かった。
 
 ハンガリーにはもともと、一般家庭のあいている一部屋(子供が独立して物置になっているなど)を安く旅行者に貸し出す「プリバートツィンマー」という制度があったが、今ではもっと富裕層を取りこみたいのか、マンションや高級アパートの一室をファミリーに、丸々貸し出すようなホテルが増えていた。
 
 貸し主さんによって違うが、これがたいてい、広くて快適なところが多い。
 
 私が泊まっていた部屋も、モデルルームみたいに清潔で広々とした1LDK
 
 一泊6000円程度であったから、数人でシェアすれば夢のように安くつく。
 
 しかもヨーロッパではめずらしいバスタブつきで(ハンガリーには温泉文化があるからか?)、ゆっくり湯につかれるのもありがたい。
 
 そして、なによりもすばらしいのはキッチンがあること。
 
 アパートなんだから当然なんだけど、巨大冷蔵庫のみならず、オール電化のコンロが3つもあって、電子レンジから食器調味料までなんでもそろってる。
 
 もう自炊でもなんでもOKな、完全装備の物件だったのである。
 
 こんなもんが用意されてたら、そら高い金払ってレストランに行こうという気にはなりませんわな。
 
 装備の中で、日本人の肉料理に唯一足りないお醤油キッコーマンは世界のいろんなところで売ってます)を近所のスーパーで確保した上で、いざ市場に出撃。
 
 中央市場は、ブダペストの側、地図でいえばエリーザベト橋から少しに歩いたところにある。
 
 『地球の歩き方』にはそっけない記述しかないが、これが意外と観光客も集まるメジャーなスポットだ。
 
 中に入ると、これがもうまごうことなき市場。
 
 内陸国なので魚こそ少ないが、肉に野菜に果物、他にも自家製ケーキやピクルスの店もあって彩りを添える。
 
 観光客も地元民も、とりあえず集まってくるため活気があって、にぎやかなことこのうえないが、名物といわれ、肉屋さんも多い割にはフォアグラを売っているという店は少なく、2軒しかなかった。
 
 値段を見ると、どっちもほぼ同じくらい。
 
 交渉しやすそうな、おばさんが売り子の店を選択して、いざショッピングタイム。
 
 ハンガリー語で、フォアグラは「リバマイ」。
 
 とりあえず日本語で、
 
 「おばちゃーん、リバマイちょうだーい」
 
 もちろん、これで通じるわけはない。ここにあえてジャパニーズ突破を試みたのは、コミュニケートと言うよりは、まあ景気づけである。
 
 こういう英語が通じない地域でも、なぜかかたくなに
 
 「カタコト英語で通そうとする日本人」
 
 がいたりするけど、それは無意味なうえに、少々滑稽でもある。
 
 多少の現地語と、あとはどうせ通じないなら日本語を使うのがいい。
 
 これなら少なくとも、
 
 「単語が出てこなくて、ぎこちなくなる」
 
 という心配はない。
 
 下手な英語でどもるより(というか、そもそも「通じないうえに自分もしゃべれない外国語」を使うというのもおかしいし)、よほど自信をもって声が出るもの。
 
 「はあ?」という顔をするハンガリーおばちゃんに、日本語、片言ハンガリー語、身振り手振り電卓をたたきまくって、あっちこっち迷走しながらも、無事に生フォアグラをゲット。
 
 時間はかかったが、買えれば問題はない。「言葉は勢い」というのは本当なのだ。
 
 値段の方はといえば、ちょっと多めの400グラム2500フォリント。だいたい1000円くらいか。
 
 えー、こんなに買って、たったの1000円やってー!
 
 思わず、深夜の通販番組みたいな声が出る。こら思ってた以上に安いですわ。ビバ! ハンガリーの物価!
 
 ちなみに、ハンガリー人は食べることが好きな民族であり(だから丸々と太っている人が多い)、共産主義時代のどんな貧しいときでも、食料品だけは値上げをしなかったそうだ。
 
 そえゆえ、抑圧的なイメージの東欧の中でも、比較的国民の不満は抑えられてたそうだが、それは今でも伝統的に受け継がれている。
 
 しかもハンガリー食材は味もいいので、なにげに「自炊オススメ国」なのだ。
 
 本命の後はステーキ用のに、ハンガリーといえばこれでしょとパプリカ、ナスやジャガイモ、キノコ、パンなども買いこむ。
 
 こんなハンガリー語しか通じない市場で買い物しているのが、よほどめずらしかったのか、すれ違う日本人観光客が、皆おどろいたような顔をして、私の持つビニール袋を見つめるのがおかしかった。
 
 そう、言葉ができなくても、いろいろやれるんだよ。
 
 みんなもノリと勢いでレッツ日本語交渉術だ!
 
 次回いよいよ、フォアグラ料理編へ。
 
 
 (続く→こちら
 
 
コメント
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