ポルトガル語とスペイン語ってホントに似てるの? その2

2024年06月04日 | 海外旅行

 前回の続き。

 

 スペイン語ポルトガル語は、日本語の標準語関西弁ほどの差しかない」

 

 子供のころ読んだ『キャプテン翼』にそんなシーンが出てきて積年のだったが、今回少しスペイン語を学んだところで、それを検証するチャンスを得た。

 

 

 

 


 

 

 島国であり、また言語学的にも世界から孤立している日本語話者からすると、ちがう言語なのに通じるというのがピンとこないが、世界には、


 
 「違う分類はされるけど、中身は結構同じやん」
 
 
 という言葉が結構ある。
 
 では、スペイン語とポルトガル語はどうなのか。
 
 少し専門的な話をすれば、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語ルーマニア語あたりは言語学的には、

 

 「ロマンス語群

 

 というところに所属。
 
 ローマ帝国公用語で、中世ヨーロッパではインテリの共通語でもあったラテン語から派生したもので、その方言とも言えるもの。
 
 いわば兄弟みたいなもので、語彙動詞の活用など相当に共通点が多いのだ。
 
 で、件のスペイン語とポルトガル語がどれだけ似ているのか見てみると、これはねえ、たしかにと納得できるところはある。
 
 具体的に言うと、語彙が近い。


 


 casa(家)」
 
 「mesa(テーブル)」
 
 「hora(時間)」
 
 「mar(海)」
 
 「flor(花)」



 
 とか、スペルがまったく同じものも多ければ(発音は微妙に違ってたりしますが)、

 


 si/sim(はい)」
 
 「o/ou(または)」

 「noche/noiti(夜)」
 
 「ciudad/cidade(都市)」

 「dinero/dinheiro (お金)」


 
 
 など、ちょっと違うだけで、簡単に類推できるものも山ほど。

 英語で「I drink water every day」をそれぞれ訳すと、
 
 


 Yo bebo agua todos los días.(スペイン語)
 
 Eu bebo água todos os dias.(ポルトガル語)



 
 
 かなり似ている。というかほぼ同じだ。
 
 他にも、「This is my book」だと、
 
  


 Este es mi libro.(スペイン語)
 
 Este é o meu livro.(ポルトガル語)


 

 文法面でも、「食べる」という意味の「comer」の活用が、

 


 スペイン語

 yo como (わたしは食べる)

 tú comes(あなたは食べる)

 él/ela come(彼は・彼女は食べる)

 nosotros comemos(わたしたちは食べる)

 vosotros coméis(あなたたちは食べる)

 ellos/ellas comen(彼らは・彼女らは食べる)


  ポルトガル語
 
 eu como (わたしは食べる)

 tu comes(あなたは食べる)

 ele/ela/você come(彼は・彼女は食べる)

 nós comemos(わたしたちは食べる)

 vós comeis(あなたたちは食べる)

 eles/elas/vocês comem(彼らは・彼女らは食べる)


 


 同じや

 てか、書き写しながらスペイン語のところに「eles」って書いちゃったよ。ややこしいなあ!
 
 なーるほど。たしかに、これは通じるはずだ。
 
 もちろん、


 


 「graciasobrigado(ありがとう)
 
 「mariposaborboleta(蝶)



 
 
 みたいな似ても似つかない単語もあるし、発音微妙に違うし、こまかい差異も色々ある。
 
 けど、やっぱり似てるというか、基本構造が同じなので、スペイン語やったら語彙をそのまま置き換えるだけで、ほとんどポルトガル語も話せるようなものなわけだ。
 
 ホント方言だよなあ。
 
 


 「言ってるじゃん」(関東風)
 
 「ゆうてるやん」(大阪弁)
 
 「ゆーとーやん」(兵庫弁)



 
 
 くらいの差?

 それとも、落語を聞いたときの感じかしら。

 

 「なるほど、そらホン大変や」
 
 「アンタ、しょうもないことばっかり言うて、なぶってんねやないで」
 
 「そんなムチャするから、全部わやなってもうたがな」

 
 
 とかとか、「ホン」「なぶる」「わや」がわからなくても、ニュアンスは十分伝わったりする(「本当に」「からかう」「ダメにする」くらいの意味)。
 
 少なくとも、大阪人の私が本気の沖縄弁津軽弁を理解するよりは、近いんじゃないかなあ。
 
 そう言えば昔、雑誌『旅行人』の編集長で旅行作家でもあった鹿児島出身の蔵前仁一さんは、
 
 

 「ボクは日本語と英語が少しと、あとサウス・ジャパニーズ語が話せる」 

 


 という冗談をおっしゃっていた。
 
 ここで蔵前さんが言いたいのは、単に鹿児島弁を英語風に言い換えたところでなく、「言語」と「方言」というモノの曖昧性や、その差異のおもしろさだ。
 
 スペイン人はポルトガル人の言うことを8割くらいは理解できるらしいが、たぶん多くの日本人は、日本語であるはずの鹿児島弁を聞いてもリスニングできないだろう。
 
 だったら「言語」と「方言」ってなにが違うんだろう。
 
 そういうテーマをはらんでいて、考えるだに楽しい「サウスジャパニーズ語」問題なのだった。


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