「日本タイトルだけ大賞」が発表された。
これは、今年1年に出版された全書籍の中から、「タイトルだけおもしろそう」な本を選び、最もインパクトがあったものに賞をあたえるというものである。
いわば書籍版「出オチ」のナンバーワンを選ぶわけで、記事によると過去には、『スラムダンク孫子』『ヘッテルとフエーテル―本当に残酷なマネー版グリム童話』といった、地球の裏側まで底が抜けているようなタイトルが受賞している。
なるほどねえ。これはなかなか、おもしろそうである。
昨年だったか、近所の本屋に行ったら、『まもなく宇宙人が到着します』という本が、新刊コーナーに音もなく置かれていたのには目をひかれた。
著者の田村珠芳さんは、プロフィールには夢占いとか、幻の運命学「淵海子平」とか、サイキックリーディングといった、いい味のワードが並んでいた。
まあよくある「トンデモ本」の類なのであろうが、そのシンプルな装丁も合わせ技で、かなりのインパクトであった。タイトルだけ大賞である。
ノミネート作品はどれも、いかにもバッタもの感があふれていてステキだが、たとえば『ブッダに学ぶゴルフの道』。
ブッダにゴルフ。
かの偉大なるシッダールタからは、たいがい多くのものが学べると思うのだが、そこをあえてゴルフ。どういうチョイスなのか。民明書房の本にありそうだ。
『競馬で1億円を稼いですべてから解放される本』。
「競馬で一億円かせぐ本」なら、わからなくもないが、「稼いですべてから解放される本」。
なにからの解放なのか。「すべてから」のところに、なにかとてつもなく重いものが感じられて空恐ろしい。あえて、つっこまないことにしたい。
『日本人が知らない「人類支配者」の正体』。
典型的なトンデモ系タイトル。もう、読まなくても、だいたい中身がわかりますよね。
『クラスメイトの女装を手伝ったら可愛すぎて震えが止まらない件』
これはちょっとおもわせぶりで、普通におもしろそう。ちょっと胸キュンと、倒錯したプチエロな雰囲気に期待が高まる。
ただここに、興をそぐようなことを一言述べるならば、、女装って修学旅行の余興とかお芝居とかで、山ほど見たし、自分もしたけど、「可愛すぎて」なんてヤツはいなかったなあ。一言でいえば、百鬼夜行。
『スティーブ・ジョブズだったら、こうするね!』
たぶん、元ネタはみうらじゅん、 田口トモロヲの『ブロンソンならこう言うね』だろう。
これはなかなかに応用のきくタイトルであり、私も昔作っていたミニコミで、『エド・ウッドならこういうね』『タイ・カッブならこういうね』『昭和天皇ならこういうね』などなど、よく使わせていただいてました。
『ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった』。
ある日突然。という出だしのあとには、目が覚めたら虫になっていたとか、母がいなくなったとか、僕の村は戦場になったとか、ドラマチックなフレーズが続きそうだが、ここでは手裏剣。なぜ?
まあ、百歩ゆずって、忍者マニアはたくさんいると思うが(たくさんは、いるのか?)、あえて手裏剣というところがシブイ。
よく街には、スカしたダーツバーなんてものがあるが、手裏剣バーってのもいいかもしれない。きっと、練習と称して壁に手裏剣でバシバシ穴を開けまくって、奥さんにめっちゃ怒られているに100風太郎。
といった個性的だが、特に中身を読みたいと思わせないところがイカすタイトルが目白押し。まあ、タイトルどころか、この賞自体がアイデア一発勝負の出オチみたいなもんですね。
以下、ノミネート作をあげておきますので、みなさまの「タイトルだけ大賞」を選んでみてください。私の大賞は、ここにはないですが、ドイツのミステリ『謝罪代行社』。とりあえず、ジャケ買いしました。
・札幌市民のための16歳からのキャリア論
・山へいくつもりじゃなかった
・富士山に千回登りました
・インドまで7000キロ歩いてしまった
・いつも心にマウンテン
・イスラム飲酒紀行
・中国なんて二度と行くかボケ!!......でもまた行きたいかも。
・アフリカなんて二度と思い出したくないわっ!アホー!!...でも、やっぱり好き(泣)。
・インドなんてもう絶対に行くか!! なますてっ!
・世界一周ホモのたび
・薄毛の食卓
・でぶじゃないの、骨太なだけ
・息するだけダイエット
・いま、賭けにゆきます
・明日は貴族だ!
・シロクマのことだけは考えるな!
・ドラクエが教えてくれた営業でいちばん大事なこと
・そのかめはめ波は違法です!
・ 高校球児が仲間のことで悩んだときは「ワンピース」を読みなさい!!
・モンキー・D・ルフィーの「D」はドラッカーだった
・黒い社労士と白い心理士が教える問題社員50の対処術
・なぜ、島田紳助は人の心をつかむのが上手いのか?
・図解 牢獄・脱獄
・僕は君たちに武器を配りたい
・ゾンビの作法 もしもゾンビになったら
・親の世話ヒトに任せてボランティア
・電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。
・マンガ30分でわかるあの世のヒミツ
・問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう......巨龍召喚
・灼熱の小早川さん
・キモメン探偵、謎を解く 限界アイドル危機一髪
・妹がゾンビなんですけど!
・真サムライガード3 帰ってきた天才少女......って、もう少女じゃないし
・おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!
・僕の妹は漢字が読める
・奥ノ細道・オブ・ザ・デッド
・桶狭間は晴れ、のち豪雨でしょう 天気と日本史
・タイムスリップ聖徳太子
・やさしい木曽義仲法廷日記
・平家物語 平清盛 親衛隊長は12歳!
・平清盛は名探偵!!
・社員みんながやさしくなった
・サラリーマンから女子大教授へ ――夢追いなおやまず
・マッチポンプ売りの少女
・SEX会話力
・家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。