前回(→こちら)に続いて第二外国語履修のお話。
前回は「まえがき」として、
「外国語学習は大変だし、大学の授業はスカが多いから、単位の取りやすいものを選べ」
という大原則を紹介した。
本当に勉強したかったら、講義なんかより大学図書館に通いましょう。
では、今回から具体的に何語がおススメか、そうでないかを語っていきたい。
まず学生時代を振り返ると、私の通っていた千里山大学(仮名)ではドイツ語にフランス語、スペイン語、中国語、ロシア語から選択できた。
これらをひとつずつ検討していくことにすると、まず1番最初に言えることは、
「フランス語は取っちゃダメ」
これは、ドイツ語選択でドイツびいきの私が、ライバルをくさして言うのではない。
周囲にいた、多くのフランス語履修者がうったえる、血の叫びなのだ。
なんたって、自らの意志で仏語を選んだ本人たちが言うのだから、間違いはない。
100パーとはいわないが、まあ8割くらいは試験の季節になると、死んだ魚のような目になって言うのだ。
「フランス語なんか、取らんかったらよかった……」
失敗の巻である。
ではなぜ彼らが、一様にフランス語選択を後悔しているのかといえば、まあ単純に学習するのにむずかしい。
他の言語(たとえばラテン語とか)とくらべて、格別難解ということでもないはずが、まあ英語に苦戦したのと同じくらいには、またしんどい思いはしなければならない。
他の選択肢があるのに、あえてわざわざ、フランス語を取る意味はない。もっと楽な道はある。
にもかかわらず、なぜ彼らはフランス語を選んでしまうのか。
それはズバリ、
「オシャレそうだから」
フランス語選択者は、まあたいていが、この理由で選んでいる。
もちろん、「サルトルやカミュを原語で読みたい」みたいな殊勝な人はいるかもしれないが(いないか)、そういう人は元々仏文科に行くであろう。
先も言ったが、外国語学習というのは大変である。
英会話学校のCMのように、
「趣味感覚で」
「外国の人に道を聞かれたときに困らないように」
くらいのモチベーションでは、まず続かないといっていい。
語学学習に必須なのは、「大変」の壁を超える「必要」か「好き」。
これが、すべてなのだ。
勤勉で教育レベルも高い日本人が外国語を苦手なのは、学校教育がどうとか以前に、この「モチベーション」に劣るところがあるから。
ここを解消しないかぎり、授業をどういじくっても大同小異。
元大阪市長の橋下徹さんが、
「大阪府民の英語力アップ」
をさかんに喧伝してたけど、「うまくいかんやろうなあ」と思ってて、実際そうだったのも、たぶんここに根本がある。
「必要」も「好き」もない人に、こんなめんどくさいことをやらせる、というのに無理がある。
これを英語でなく
「大阪府民の物理学力アップ」
「大阪府民の図形問題証明力アップ」
に言いかえると、文系の人なら、そのゲンナリ感がわかるだろう。
よく「買い物するのに微分積分はいらない」という数学嫌いがいるけど、それは語学も同じなのだ。
「外国人に道を聞かれたとき」のために、人はTOEICで高得点を目指さない。
英語だろうがフランス語だろうが、
「今のところ、日本で日常生活を送るのに、まったく必要がないし困らない」
という現状がある以上、政治家がほえようがオリンピックをやろうが、そんなに変わらないと思う。
かように、モチベーションなきところに、楽しい外国語学習なし。
それを「フランス語はオシャレ」で2年もやらされた日にはアータ、待っているのは苦難の道である。
こうしてフランス語選択は学園生活に大きな被害をもたらし、楽しいキャンパスライフの大きな重しになるのである。
もう一度言うが、大学の勉強で役に立つのは、教授やカリキュラムじゃなくて「自主性」と「図書館」。
あとネット環境があれば、いつでもだれでも勉強はできる。
そのためにも、「必要」「好き」でないかぎり(逆に「ある」なら、どんなに大変でも迷わず選びましょう)、無駄にしんどいフランス語はやめておきましょう。
実際にフランス語やってた連中が、軒並み言ってるんだから、まず間違いなし。
フランス語の先生方すいません、正直あんまりおススメできません。
(ロシア語編に続く→こちら)