「羽生マジック」の萌芽 羽生善治vs森信雄 1986年 第45期C級2組順位戦

2022年11月30日 | 将棋・名局

 「藤井聡太五冠の将棋は完成度が高い」

 

 というのは、棋士や評論家の間で、よく聞かれるセリフである。

 過去の名棋士とくらべて、「強さ」や「才能」に関しては、いろんな意見や身びいきがあるだろうけど、こと

 

 「年齢に比べての完成度」

 

 と言われると、これはもう藤井聡太のそれは、谷川浩司羽生善治の若手時代よりも、ハッキリと上回っていると言っていいだろう。

 その理由は簡単で、昔と比較して情報量勉強方法などが、段違いに進化したから。

 谷川浩司九段の若手時代と言えば、インターネットはおろか、安価なパソコンデータベースも存在しなかった。

 他人の棋譜を見ようと思ったら、わざわざ将棋連盟まで足を運んで、自分で探してコピー(下手すると手書きで写して!)を取らなければならなかった。

 ましてや関西所属の谷川など、情報の面では圧倒的不利な状況であり、どうしても将棋の洗練度を上げるのに時間と手間がかかったのだ。

 また羽生がデビューしたころも似たようなもので、平成になるころはデーターベースこそ、かなり充実。

 情報面では進歩を遂げたが、インターネットはまだ出たばかりで、メールすら使っている人はほとんどいない。

 もちろんスマホなどなく、すぐれたAIなども望むべくもない。

 やれることといえば、棋譜並べ詰将棋くらいで、あとはすべて手探り。

 なので羽生も谷川も、序盤戦術では経験豊富なトップ棋士に差をつけられるも、その後に抜群の終盤力でひっくり返す勝ち方が多かった。

 藤井聡太も、もし昭和にデビューしていたら、おそらく、そういう戦い方になっていたことだろう。

 それは、ドラマチックではあるが「荒い」ようにも見えたわけで、藤井聡太は、その時期が短かった印象があるのだ。

 ということで、前回は羽生善治「四段」のデビュー戦を見ていただいたが、今回も、まだ若き「野生時代」における羽生将棋を見ていきたい。

 


 1986年、第45期C級2組順位戦の1回戦。

 森信雄五段との一戦。

 

 「中学生棋士」

 「未来の名人」

 

 としてプロ入りした羽生の順位戦デビュー戦だが、この将棋がいきなり大苦戦でスタート。

 森の振り飛車に、後手番の羽生は急戦で対抗。

 6筋での斥候から、やや振り飛車さばけ形に見えるところ、羽生も美濃囲いの弱点であるに味をつけ、背後をうかがう。

 

 

 

 図は森が▲65歩と打ったところ。

 △63金などと逃げると、▲55歩が死んでしまう。

 かといって△65同銀と取るのも、▲同銀△同金に、▲11角成▲62歩▲63歩と連打してから、▲54銀など好調な攻めが続く。

 すでに後手が困っているようだが、ここで羽生が勝負手を繰り出す。

 

 

 

 

 

 

 △86歩▲同歩△75歩(!)が、おどろきの手順。

 ▲65歩に、どう対応しても不利なら、そもそも無視すればいいじゃん、と。

 まるで「パンがなければケーキを食べればいいのよ」と言い放ったアントワネットのようだが、やむを得ないとはいえ、ここで金取り放置して手を進める度胸も並ではない。

 とはいえ現実に、をなんの代償もなくボロッと取られるのはかなり痛い。

 ▲64歩△76歩▲88角に、羽生は△77桂と、筋悪な手でねばりにかかる。

 

 

 

 一目、変な形だが、飛車を責めながら角道遮断して、ちょっとイヤな手ではある。

 飛車を逃げ回るようでは、後手に挽回をゆるしてしまうが、ここで先手に好手があった。

 

 

 

 

 

 

 ▲65銀とぶつけるのが、いかにも感触のよい手。

 私レベルなら飛車取りにビビッて、反射的に逃げてしまいそうなところだが、

 

 「逃げる手以外に、なにかないか?」

 「今、まるまる金得だから、飛車を取られても、そんなに痛くないかも」

 「それに△69の成桂は重い形だし」

 「△69桂成と取らせれば、▲88にある角道が開通するし、なにかワザがかかりそうだぞ」

 

 なんてことを、あわてて指さないで考えてみることが、アマ級位者が有段者になる道への一歩であろう。

 ▲65銀△69桂成なら、▲54銀が好調子。

 羽生は△65同銀と取るが、▲同飛とさばいて、△77空振りさせて、気持ちいいことこの上ない。

 森は今では『聖の青春』の村山聖九段をはじめ、山崎隆之八段糸谷哲郎八段などを育てた存在として知られるが、かつて1980年の第11期新人王戦決勝に進出。

 そこでも、後に竜王獲得にA級9期とバリバリのトップ棋士に成長する、島朗四段を破って優勝している。

 見事なジャイアントキリングで、その隠れた実力者ぶりを、ここぞとばかりに見せつける展開となっている。

 ますます苦しくなった羽生は、をなんとか突破し、も入手して必死に逆転のタネをまくが、森は乱れず、寄せの網をしぼる。

 むかえたこの局面。

 

 

 

 先手はが強力なうえ、▲54桂も自然な攻めで、玉も左辺が広く、問題なく優勢に見える。

 このあたりの差が、まだ「荒い」と評されたゆえんだが、実は話はここからが本番なのだ。

 続く2手こそが、若き日の羽生将棋の真骨頂だった。

 

 

 

 

 

 

 △93角▲57桂△82金が、すごいがんばり。

 とにかくを追い払って、どこかで△64飛と眠っていた大駒をさばいて勝負ということだろうが、角打ちはともかく、△82金はいかにも異筋

 セオリーにない手で、一目はいい手には見えないが、逆に言えば常識に反している手とは

 

 「相手が読んでいない手」

 

 である確率が高く、そういうサプライズで相手のペースを乱すのが、羽生流の逆転術だった。

 事実、この局面で森が誤った

 △93角には、▲57桂ではなく強く▲84銀と打って合駒すべき。

 また金打にも、▲74竜などゆっくり指せば、先手玉は左辺が広くて攻め手がなく、やはり先手が勝ちだった。

 そのはずが、森は▲42桂成、△同金に▲53竜と一気の寄せをねらう。

 これがまさかの、弟子の糸谷哲郎八段

 


 「なにやってんですか、師匠!」


 

 悲鳴をあげるという暴発で、△同金、▲45桂△41桂と受けて、後手陣は一発ではつぶれない。

 

 


 それでもまだ、先手にチャンスがある終盤だったが、落ち着いて行けばいいところを、勝ちをあせり、前のめりになる姿勢では、羽生少年の圧倒的終盤力に足元をすくわれるのは見えている。

 その後は森の乱れに乗じて、羽生がひっくり返し、最後はなんと△92の地点まで転がっての逃げ切り。

 

 

 

 序中盤での荒削りな部分を、魔術めいたアヤシイ勝負手と、一度ひっくり返せばテコでも動かせない終盤の底力

 それこそが羽生将棋

 デビュー2年目くらいから「順当勝ち」が多くなった藤井五冠とちがって、このハラハラさせるような戦いぶりこそが、昭和から平成にかけての「天才」に頻出する勝ち方だったのだ。

 

 (中村修王将との熱戦に続く) 

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

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「天才少年」のデビュー戦 羽生善治vs宮田利男 1986年 王将戦

2022年11月27日 | 将棋・名局

 羽生善治九段王将戦の挑戦者になったとなれば、ここは当然「羽生特集」を組まねばなるまい。

 羽生と王将戦と言えば、やはり「七冠王フィーバー」が思い出されるので、「七冠王達成」の一局を取り上げようか。

 とは思ったのだが、このときの王将戦七番勝負は谷川浩司王将不調もあって、内容的には残念なことに、あまり見どころがないものであった。

 あらためて並べてみても、4連勝で決着だし、どうもなー。といって、その前年のあと一歩だった「七冠王ロード」はもう書いちゃってるし、どうしたもんか。

 と、そこでふと思い出したのが、羽生と言えばたしか「デビュー戦」も王将戦だったはず。

 調べてみたら、そうでした。はー、なんか色々とがある棋戦なんやねーとか、なつかしくなりながら今回はこの一局と、あとはせっかくなので、いくつかにわけて低段時代の将棋も見ていきたい。

 羽生をはじめとするトップ棋士は藤井聡太五冠について、

 

 「あの年齢にして、完成度の高さがすごい」

 

 そう評することが多いが、羽生の若手時代の戦いぶりと、くらべてみるのも一興ではないでしょうか。

 


 

 デビュー戦というのは、注目を集めるものである。

 藤井聡太四段のように開幕29連勝という、はなれわざを見せる人もいれば、囲碁の中邑菫初段のように、注目を集める中敗れて、悔しい思いをする棋士もいる。

 1986年の王将戦。

 羽生四段は、宮田利男六段と対戦することとなり、これがプロ一戦目。

 プロ入り前から「名人候補の逸材」との呼び声の高かった羽生少年だったが、これは将棋界だけでなく、鼻の利くマスコミにも伝わっていたよう。

 河口俊彦八段の『対局日誌』によると、『毎日グラフ』『フォーカス』といった一般誌も取材にかけつけたというのだから、その注目度も、なかなかのものだったのである。

 将棋は宮田が先手で、相矢倉

 

 

 

 図は先手が▲74銀成としたところ。

 から攻めようという後手だが、が少ないのが悩みどころ。

 角取りでもあり、ただ逃げてるだけでは▲84成銀とか▲82角成といった「B面攻撃」に悩まされそうだが、ここで羽生がキレのいい攻めを見せる。

 

 

 

 

 

 

 △96歩、▲同歩に△98歩と打ったのが宮田が軽視した攻め。

 ▲同香と取って歩切れの後手に手がなさそうだが、そこで△45歩と、こちらの歩を取る手がある。

 ▲同桂△97歩できれいに攻めが続く。

 

 

 盤上を広く見た、リズミカルで気持ちの良い手順だ。

 だが宮田も、かつては王座戦挑戦者決定戦に出たことのある実力者。

 相手の攻めが一段落したところで、▲44歩と取りこみ、△同金に▲24歩と手筋の突き捨て。

 △同銀に▲71角と飛車金両取りに打って、△43金引に▲44歩、△42金引、▲26桂、△33銀、▲45桂

 

 

 

 

 このあたりの宮田の指しまわしは、矢倉戦お手本のような流れ。

 非常に綺麗な手順で、見ていて参考になるところだ。

 を利かすだけ利かして、△92飛と逃げたところで、▲82角行成ともたれておく。

 後手が指せそうだが、勝負はまだ先といったところ。

 おもしろい戦いだが、その後、宮田に一矢あって羽生が優勢になるも、先手も必死に食いついてこの局面。

 

 

 

 ▲41銀が、これまた絶対におぼえておきたい手筋中の手筋。

 後手玉は、次に▲32銀成と取って△同金▲34桂

 ▲32銀成に△同玉は、▲43銀から詰みになる。

 これには「逆転か」の声も出たそうだが、次の手がしぶとく、そう簡単ではない。 

 

 

 

 

 

 △12玉と寄るのが、しのぎのテクニック。

 「米長玉」と呼ばれる形だが、戦いのさなかに、サッと寄るのが玄人の技。

 ここまでの手順が、将棋の基本編だとすれば、これは応用編

 今度はアマ有段者クラスが、参考にする手筋である。

 これで後手玉に王手がかかりにくくなり、絶対に詰まない「ゼット」の形を作りやすく、かなり、ねばりのある玉形なのだ。

 一気の攻めがなくなった宮田は、▲47銀と一回受けるが、羽生は△46馬と取って▲同銀に、△36桂の王手飛車。

 ▲57玉△28桂成▲32銀成、△同金、▲34桂と詰めろが入るが、そこで△33銀と打って盤石。

 

 

 

 宮田は▲72飛と打つが、△48銀、▲47玉、△42歩で攻めは届かない。

 足の止まった先手は、ここで▲55歩

 

 

 

 

 空気穴をあけ、なんとか上部脱出をもくろむが、ここでいい手がある。

 

 

 

 

 

 

 

 △45銀と打つのが、さわやかな決め手。

 ▲同銀には△37飛と打って、▲48玉には△38成桂

 △37飛▲56玉だと△67飛成と取るのがうまい。

 

 

 

 

 ▲同玉に△57金と打てばピッタリ詰み。

 デビュー戦で見事な絶妙手を放った羽生は、さすがのスター性だが、ここでおもしろいのは周囲の反応。

 △45銀に感嘆した河口八段が、島朗五段(当時24歳)に

 


 「羽生君をどう思う?」


 

 訊いたところ、

 


 「みんなたいしたことない、と言ってますよ」


 

 △45銀への反応も、

 


 「いい手ですけどね。あのくらいは……」


 

 まあ、プロレベルなら指せるでしょうと。

 「島研」についてや、のちの独特ともいえる韜晦趣味的発言とくらべると、ずいぶんとトガッていておもしろいが、それだけトップ棋士を意識させているともいえる。

 現代だと、こういう発言は下手すると「炎上」を生みかねないが、それでも血気盛んな若手というのは、時代は変わっても、こんなもんかもしれない。

 今のキャラクターからは想像しにくい、島のこういうつっぱりを、私はどこかほほえましく感じるのである。

 

 (続く

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

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歌おう! 『一発!貫太くん』のオープニング「やるぞ一発!野球道」を

2022年11月24日 | おもしろ映像

 カラオケで盛り上がる曲は、人様々である。

 今なら、back numberやOfficial髭男dism、女子ならあいみょんが人気。

 われわれ世代だとブルーハーツ爆風スランプの「Runner」。

 の定番だと、くるりの『ワンダーフォーゲル』、シャーベッツ『はくせいのミンク』、

 洋楽ならウード・リンデンベルク『NANA M。パンクからはINUメシ喰うな!』。

 『メシ喰うな!』は、女子高生もいたカラオケ会で歌って、すげえひかれたなあ。

 そんな定番以外では、「内輪ウケ」の曲というのも、盛り上がる。

 アイドルファンの集いや、アニソン特ソンなど「しばり」の入った会だと、外では受け流されても、仲間内では大盛り上がりというケースもあるのだ。

 前回はこの「身内ウケ」の曲として、ゲーム会社セガ社歌若い力を紹介したが、今回もそういう曲を。

 アニメソングというのは場所によって、すこぶるウケることのあるジャンルである。

 ふつうのカラオケだと、ちょっと合わないかもしれないが、アニメや特撮好きの仲間や、子供時代のノスタルジーに浸りたいとき。

 また、明るくてノリのいい男子がいたりすると、意外と合コンみたいな場でも盛り上がる。

 私の友人など、女の子のいる飲み会で『ラ・セーヌの星』を熱唱し、そのまま持ち帰ってしまう手管を「パリ定跡」と呼んでいたが、使いようによってはかなりの威力を発揮するのだ。

 で、そういうときの私的定番は、

 

 『星雲仮面マシンマン』

 『誰がために』

 『ジャンボーグA』

 

 などだが、たまに歌いたくなるのが、『一発!貫太くん』のオープニングやるぞ一発!野球道」。

 私が子供のころというか、今でものようだが、関西ではサンテレビKBS京都古いアニメの再放送をやっている。

 今は『機界戦隊ゼンカイジャー』と『ヤッターマン』だけど、その枠で流れていた『一発!貫太くん』。

 きょうだい8人野球チームを作るという、大家族好きの人には夢の設定(ちなみに9人目の選手は!)ともいえるアニメ作品だ。

 

 

 

 

 

 そのオープニングが、初めて聴いたとき感動したというか、あきれたというか、とにかく一聴忘れがたいものだった。

 まずは聴いてみよう(→こちら)。

 バッターがホームランを打つシーンからイントロに入って、開口一番が、

 

 「ひとつ野球をするものは、球にいのちをかけねばならぬ」

 

 ここまでは、まあふつうである。

 「やるぞ一発!野球道」というタイトル通り、熱血感あふれるものだ。

 ところが、ここからがちと違う。続けて歌詞は、

 

 「それはわかっちゃいるけれど」

 

 急に方向転換だ。

 それはわかっちゃいるけれど

 私のようなボンクラには、実になじみ深いフレーズが入ってくる。

 そして、かわいい声で、

 

 「アラ ズッコケタ マタ スットンダ」

 

 ここからが、すばらしい。

 

 「球はまあるいものだから かけたいのちもすぐすべる」
 
 「いいとこみせたいそのわりに わるいとこだけよくめだつ」
 

 そして締めには間延びしたよう、

 

 「ああ きょうも、いっぱつうちたいな」

 

 これがイイ

 ふつうの野球アニメなら

 

 「かならず打つ」

 「打ってみせる」

 

 になるところを、

 

 「打ちたいなあ」


 
 この脱力感がナイスすぎるではないか。

 そもそもその前の、

 

 「かけた命もすぐすべる」

 「悪いとこだけ、よく目立つ」

 

 これだって、もしまともな野球部なら「言い訳をするな!」「たるんどる!」と体罰のひとつも、いただきそう。

 でも、オレはめちゃわかるよ! 

 ホント、命をかけても空回ることもあるし、いいとこ見せたいときにはズッコけるもんだ。

 それが人生やん! 桜中学で働く坂本なんかの暑苦しい説教より、こっちのほうが全然共感できるわー!

 その証拠に小学生のころ、この曲を友達と銭湯で歌ってたら、それを聴いたオジサンが、

 「坊や、それええ歌やなあ」

 感心したくらいだ。

 子供番組やのに、大人の機微をつくとは、まさに名曲や!

 あと、今見直すと、四男の四郎くんが、お笑いコンビ三四郎小宮くんにそっくりなんだなあ。

 まるで似顔絵みたい。笑っちゃったよ。

 

 

 

 

 

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羽生善治九段が豊島将之九段を破り、藤井聡太王将への挑戦権を獲得

2022年11月22日 | 将棋・雑談

 羽生善治九段が、王将戦の挑戦者になった。

 ここ数年、無冠転落やA級からの陥落など、苦戦の続いていた羽生だが、今期はその力を少しずつ取り戻しつつある様子だ。

 勝率では、いわゆる「2勝1敗」ペースの6割5分以上をマークし、棋王戦では佐藤天彦九段に敗れたものの勝者組決勝まで進出で、まだ敗者復活から挑戦の可能性を残している。

 そして、注目の王将リーグでも若手のホープから、タイトルホルダーに現役A級をなで斬りにして挑戦権獲得

 A級順位戦に匹敵するとも言われる難関リーグを、全勝で駆け抜けたのだから、これはもう文句のつけようのない結果となった。

 これでファンが待ち望み、また話題性もバツグンな

 「藤井聡太羽生善治

 のタイトル戦が実現。

 ただ、七番勝負の展望はと言えば、まあこれはハッキリ言って「藤井有利」であって、これは羽生さんがどうより、今の藤井五冠ならだれが出たってそうなってしまう。

 それに、私は今さら羽生さんの記録とかにもこだわっておらず、というか、「永世七冠」をかけて戦っていたときですら、もし永世竜王を取れないまま終わっても、別にそれはそれでいいと思っていた。

 羽生さんのデビュー時から見ていた身としては、その強さと熱い将棋を(特に「羽生-佐藤康光」と「羽生-久保利明」というカードは本当にハズレがない)十分以上に堪能させてもらった。

 なんで、なにかと取り上げられる「タイトル100期」も、それこそ渡辺明名人棋王が、

 

 「羽生さんは、100期とかこだわってないんじゃないかなあ。もう実績的には充分すぎるし、単にゴロがいいかどうかだけの問題でしょ」

 

 ドライなことをおっしゃっていたけど、私もこれに近い。

 もちろん、羽生さんは勝つつもりで挑むんでしょうけど、負けても、それはそれでという感じかなあ。

 少なくとも「100期ならず」みたいな残念感はない。いい内容の将棋は見たいけど。

 ただ、ひとつだけ贅沢な望みを言えば、双方3勝3敗最終局に突入すれば最高の展開。

 それこそ、まさに「最後の戦い」ということになって、どっちが勝っても激アツではないか。

 願わくば、ぜひその一局を眼に焼き付けたいものだが、あれ、そういや私は「囲碁将棋チャンネル」に入ってないから見れないわ。

 うーむ、羽生さんは試練を乗り越えたのに、こっちにはまさか貧乏という大敵がまっていようとは。

 となれば、あとは一縷の望みを違法アップロードにたくしたいところで、ぜひ倫理観の低い将棋ファンのみなさまがたに、よろしくお願いしたいところだ(←最低の結論だよこの人)

 

 

 

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遠すぎた橋 中原誠vs森内俊之 2003年 第16期竜王戦 挑戦者決定三番勝負 第2局

2022年11月19日 | 将棋・名局

 前回の続き。
 
 2003年の第16期竜王戦で、挑戦者決定三番勝負に進出した、中原誠永世十段
 
 ここで森内俊之九段に勝てば、本人のみならずファンも熱望した、


 
 「中原誠vs羽生善治」


 
 というタイトル戦が実現するのだ。
 
 ただ、当時の森内はすぐ後に、棋士人生最大ともいえる大爆発を起こすことになるほど絶好調で、まさに今の王将リーグにおける羽生と豊島将之と同じく、公平に見て「年配者不利」な予想は自然な流れだった。
 
 その通り、初戦森内が順当に取るが、そこはを期待するギャラリーからの


 
 「空気を読め」


 
 という無言のには悩まされたようで、精神的には大変な戦いだったよう。
 
 その「ホーム」の利もあったのか、第2戦では中原が逆襲を見せる。
 
 得意の相掛かりから、中原らしい軽快な手が各所に見られて、おもしろい将棋になる。

 
 
 

 図は森内が、△62飛と転換して、先手の玉頭をねらったところ。
 
 手番をもらった先手は、なにか先攻したいところだが、の打ちこみもなく、具体的には手が見えない局面だ。
 
 だが、相掛かりのスペシャリストである中原は、目のつけどころがちがうのだ。

 

 

 


 
   
 
 
 
  ▲95歩、△同歩、▲93歩が意表の手作り。
 
 ふつう、相居飛車の端攻めと言えば、▲15歩とこちらを突き捨てるものだが、中原流はこっちから。
 
 たしかに、△同香▲85桂から手を作れそう。

 △同桂も好機に▲94歩と打たれると、タダで取られそうとなれば、この歩は相手にしにくいが、それにしても見えないところだ。
 
 森内は無視して、△66歩、▲同歩、△同飛、▲67歩、△62飛と、歩を補充して手を渡すが、そこで▲25飛が、また軽快なゆさぶり。


 
 
 
 
 
 
 次に▲35飛から、飛車に使って暴れていこうということで、このあたりは横歩取りなど、空中戦にも強みを発揮する中原の腕の見せどころか。
 
 後手は△33銀と形を整え、▲35飛△65歩と横をシャットアウトする。
 
 中原はかまわず▲65同桂と取るが、△44銀で飛車がせまい。

 

 
 
 
 
 
 飛車を逃げるようだと、▲65がいつかタダで取られることが確定しており、先手が苦しいが、中原はここでワザを披露するのだ。

 

 

 


 ▲53桂不成と捨てるのが、ハッとする勝負手。

 △同銀でタダだが、ヨコのラインが開いたことで、▲85飛と大きくさばいていく。
 
 
  
 
 駒損の攻めなので手順としてはやや強引だが、これで飛車の働きに差があるため、先手が指せるという読みだ。
 
 流れは中原にあるが、森内も△63角と先手でしのいで、▲83飛成△64桂と反撃。


 
 

 

 先手はこそ作ったが、▲81竜のような暴れまわる手がないと、一気の攻略はむずかしい。

 こういうとき、あせりは禁物で、ここで中原は渋い指しまわしを見せるのだ。

 

 

 

 

 


 
 
 ▲22歩、△同金、▲77銀が落ち着いた対応。
 
 ここは一発▲22歩とタタくのが、筋中の筋という手。
 
 △同金壁形を強要させてから、▲77銀と一転、自陣に手を戻すのが絶妙の呼吸。
 
 この2手は、アマ高段クラス以上なら、おそらく一目であろうが、まさに緩急自在で「強い人の指す手」という感じ。

 この局面、△64の桂で銀を取られると丸々銀損になるのだが、それで先手もやれるという大局観がすばらしい。
 
 リズム的にも美しく、中原の充実度がうかがえるというところだ。


  
 
 
 
 最終盤のこの図をみれば、▲22歩のタタキが、いかに効果的かわかろうというものだろう。
 
 大強敵の森内を、得意の軽妙なさばきから押しこんでタイに戻し、見ている方は、


 
 「これは来たんちゃう?」


 
 期待はますます高まったが、残念ながら中原の進撃もここまでだった。
 
 第3局では、得意の落ち着いた指しまわしを見せ、森内が横歩取りの激しい戦いを制する。
 
 結局、中原は期待された羽生とのタイトル戦を、一度も実現することはできなかった。
 
 大声援を受け、図らずも敵に「アウェー」の戦いを強いたこの竜王戦は、ある意味では最大のチャンスだったかもしれないが、終わってみれば森内の精神力の強さが光った形となった。

 その後、森内は4連勝羽生から竜王を奪うと、王将戦名人戦でも、やはり羽生から奪取

 一気に三冠王を達成するのだから、森内にとっても大きな勝利となったわけで、皆が必死な中「空気を読め」とかホント「余計なお世話」なんだなあとか、思ったものであった。

 

 

 ■おまけ

 (中原誠、渾身の名人防衛劇はこちら

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

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王位継承の儀式 中原誠vs森下卓 1995年 第53期A級順位戦プレーオフ

2022年11月18日 | 将棋・好手 妙手

 前回の続き。
 
 羽生善治九段豊島将之九段のあいだで、挑戦者争いが白熱する、今期の王将リーグ
 
 とよぴーには申し訳ないけど(私もファンだし)、世論はやはり


 
 「藤井聡太と羽生善治のタイトル戦」


 
 を期待している人が多いと思うが、私のような平成初期ごろの将棋界を知っているファンからすれば、よりその気持ちは強くなってしまう。

 それはおそらく、
 
 
 「中原誠と羽生善治のタイトル戦」
 
 
 これが結局見られなかった「やり残し」感が、思い出されるからだ。
 
 将棋界の「王者」というのは、それぞれの時代にはいるもので、かつては木村義雄大山康晴
 
 昭和中期からは中原誠で、谷川浩司がいて、羽生善治の時代に突入。
 
 渡辺明がいて、その後は藤井聡太につながって今に至る。
 
 名人になっていることと(藤井はまだだが、すでに「予約済」であろう)、タイトル数からしてこのあたりの面々は異論がないところだろうが、私にとっての「王者」と言えば、中原谷川だった。
 
 私が将棋を見始めたのが「羽生四段」デビューの年からだが、そのときの名人が、なにを隠そう中原誠だった。

 名人15期をふくむ、タイトル獲得64期。棋戦優勝28回。A級在籍29期

 永世名人永世十段永世王位名誉王座永世棋聖の称号も持つ、昭和の大レジェンドだ。
 
 その後、中原は谷川と名人を取ったり取られたりするが、やはり羽生善治(とその同世代棋士たち)が天下を取るには、


 
 「打倒中原&谷川」


 
 というのが、ひとつの目安であったのだ。
 
 このうち谷川は、羽生世代と8歳くらいしか違わないので、タイトル戦などで何度も戦っているが、中原は意外なことに、そうでもなかった。
 
 あらためて見ると、羽生、佐藤康光森内俊之郷田真隆丸山忠久藤井猛といった面々は皆、谷川とタイトル戦を戦っているのに、対中原というのは一人もいないのだ。
 
 彼らがデビューして勝ちまくっているとき、まだ中原は名人だけでなく、棋聖とか王座なんかを持っていて、三冠王とかだった時期もあったのに、なぜか縁がない。
 
 唯一、この世代に近いところとやっているのが、屋敷伸之九段だけ。

 今では藤井聡太五冠の持つ


 
 「史上最年少タイトルホルダー」


 
 という称号を屋敷が得たのが、なにを隠そうこの中原-屋敷の棋聖戦からだった。
 
 なので、当時の空気ではなんとなく、「羽生時代」の到来は、


 
 「中原誠とタイトル戦を戦って完成」


 
 そうなったら、物語的にはきれいだなあ、みたいなノリが出来上がっていた。

 かつて、木村義雄大山康晴に名人位を明け渡したとき、

 

 「よき後継者を得た」

 

 との言葉を残して引退した(木村はセルフプロデュース能力に長けた棋士だった)けど、そういった小説の1シーンみたいな場面が実現しないかと期待していたわけだ。
 
 最初のチャンスが、1994年度前期(当時の棋聖戦は年2回開催)の第64期棋聖戦だが、ここは谷川に敗れた。
 
 話題性から言えば、次が大きな勝負となったが、同年開始の第53期A級順位戦で7勝2敗の成績をおさめ、同星の森下卓八段プレーオフに。
 
 ときはまさに「羽生七冠王フィーバーのまっただ中。

 それどころか、1週間後には勝てば七冠王達成」という谷川との王将戦第7局を控えており、名人戦という舞台といい、

 

 「谷川を倒して【七冠王】→名人戦で中原と対決し勝利→羽生時代到来」

 

 となる、これ以上ない最高演出がなされていたが、このときの森下は充実著しかった。

 

 

 

 

 中盤戦、先手の中原が▲56金とくり出したところ。

 角が逃げるようでは、▲55歩▲45金、また▲74飛▲64角などを組み合わせて、先手から百裂拳が次々入りそうなところ。

 なら、ここはいっちょ引かずに暴れてみようか、となりそうなところで、先手陣にはおあつらえむきのキズがあるのだが……。

 

 

 

 

 

 

 △37角成、▲同桂、△75銀が、森下の実力を見せた好手順。

 ここは一目、銀を取ったあと△67銀と飛車金両取りに打ちたくなるが、これは中原が用意した誘いの

 銀打には▲74飛と出て、△56銀成を取れば▲71飛成

 △73歩なら、▲64飛△63歩▲54飛と切って、△同銀▲45金とハンマーをぶつけていけば、先手の駒も目一杯働いている。

 

 

 

 

 後手は△67△59と金が、1手遅れている印象だし、歩切れなのも痛い。

 そこを見破った森下は、飛車のさばきを押さえることこそが急務と、△75銀▲同角、△同歩、▲同飛に△73歩

 

 

 

 

 

 意外なことに、これで存外に先手から手がない。

 受け一方なうえ手番を渡すため、中原はこれを軽視したようだが、ここをじっとして自分のペースと判断できるのが、森下の強さだ。

 以下、から暴れてくるのを丁寧に応対して、後手が快勝。森下が初の名人挑戦を決めた。

 この将棋は森下が相当に強い内容で、この結果を見て、こちらとしては、ふと思うわけだ。


 
 「あれ? この森下とか、あと谷川に、森内とか、佐藤康光、郷田なんている中で、タイトル戦に出るのって超ムズくね?」


 
 当時中原は、最後のタイトルだった名人を失って無冠だった(称号は「永世十段」)。
 
 年齢も40代後半で、今の羽生と同じく全盛期は過ぎてしまった感はあった。
 
 その状態から、他の棋士たちを蹴散らしながら、台風イナゴの襲来のごとき勢いで暴れまわる「羽生世代」に谷川森下屋敷といった面々の壁を突破するのは、いかな中原でも、ちょっと苦しくなってきているのではないか。
 
 その懸念は現実となった。
 
 1996年棋王戦では、またも羽生棋王への挑戦者決定戦に進むが、森下に再度はばまれてしまう。
 
 中原はその後、タイトル戦とは縁遠くなり、A級からも陥落
 
 フリークラスにも転出し、事実上「引退」といってもいい状態になっては、とうとう夢の実現もついえたか。
 
 と思われたが、ここでただ終わらないのが「大名人」だった中原の凄味か。
 
 なんと2003年の第16期竜王戦では、2組準優勝決勝トーナメントに進出。
 
 そこでも準決勝佐藤康光棋聖を破って、とうとう挑戦者決定三番勝負までコマを進めたのだ。
 
 最後の関門として立ちはだかるのが、森内俊之九段
 
 この強敵を打ち破れば、ついに待望の「中原羽生」のタイトル戦が実現するところまで、こぎつけた。

 「4度目の正直」をねらったこの大一番は、「森内有利」の予想の中、世論の大声援もあり、中原が力を発揮しての激戦となるのだった。 
 
 
 (続く

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藤井聡太王将への挑戦者は羽生善治か? それとも豊島将之か?

2022年11月17日 | 将棋・雑談

 藤井聡太羽生善治のタイトル戦は実現するのか。
 
 というのが、今期王将リーグを舞台に大いに盛り上がっている。
 
 羽生善治九段と言えば、昭和後期から平成の将棋界において圧倒的な王者として君臨してきた大棋士。
 
 ところが、竜王広瀬章人八段に奪われ無冠に転落したあたりから、その棋神のごとしだった強さが鳴りを潜めてしまった。
 
 タイトル戦や棋戦優勝から遠ざかり、竜王戦で挑戦者になるも、豊島将之竜王1勝4敗と完敗。

 順位戦でもA級から陥落。1期での復帰を期待されたB1でも、早々に4敗目を喫するなど、思わぬ苦戦を強いられている。
 
 年齢的に棋力が下り坂になるのは、どんな棋士でもさけられない運命で、さすがの羽生でもそれに対抗するのは、むずかしいよう。
 
 このままだと、昔のような存在感もなくなっちゃうかもなあ、とか心配してたら、あにはからんや。

 まず棋王戦では、佐藤康光九段広瀬章人八段伊藤匠五段を破って勝者組決勝に進出(まさに今、佐藤天彦九段戦を観戦中)。
 
 王将リーグでも快進撃を見せ、服部慎一郎五段近藤誠也七段糸谷哲郎八段永瀬拓矢王座渡辺明名人棋王を次々破って、土つかずの5連勝
 
 若手のホープから、現役のA級タイトルホルダーをつるべ打ちしてこの成績だから、すばらしいの一言。
 
 最後に残った豊島将之九段戦に勝てば文句なしで挑戦者
 
 負けても3戦を残している豊島九段が1敗でもすれば決定。
 
 仮に羽生相手もふくめて3連勝しても、まだプレーオフがあるという、羽生にとっては断然有利な星勘定となったのだ。
 
 ただ、そこは天下の豊島将之のこと。
 
 そう簡単に「どうぞお通り」というわけにはいかず、服部五段と渡辺名人を破って最終戦に希望を残す。
 
 こうなると、勝負はわからなくなってきた。
 
 藤井-羽生のタイトル戦は観たいけど、必死で戦っている人に


 「空気を読め」


 
 というのは、冗談でもあまり言いたくないので、もうあとは見守るだけ。
 
 私は羽生ファンであるが、同時に豊島ファンでもあるので、まあここは


 
 「どっちが勝ってもオレの勝ち」


 
 というスタンスで行くしかないわけだが、それでもやはり、羽生さんに少しばかり肩入れしてしまうのは、たぶんちょっとした歴史的な「忘れ物」感があるから。
 
 まず、そもそもの話、今回の王将戦は私だけでなく、多くの人が藤井-羽生戦を期待していると思われる。
 
 それはまあ、単純に話題性ということもあるが、人によっては、そこまででもないという声も、あるかもしれない。
 
 これが、仮に「羽生王将」に「藤井挑戦者」が挑んで、それで防衛なり奪取なりすれば、


 
 「新旧交代の戦い」


 
 として盛り上がるが、藤井聡太はすでに五冠を保持する第一人者。
 
 A級でなく、タイトルも持っていない今の羽生との「格付け」は、対戦成績もふくめて、とっくに終わっているのではないか。
 
 その意味では、やはり豊島や永瀬、渡辺や糸谷のような「」をバリバリで戦う棋士か、近藤や服部のような次代を担うニューフェイス(棋王戦の伊藤匠五段とか)が出たほうがいい。

 という声もそれはそれで一理あるわけだが、それでもやはり、


 
 「今回は羽生さんに……」


 
 と考えてしまうのは、特に昭和後期から平成の将棋界を知っている私が、
 
 
 「結局最後まで、あの大棋士と羽生善治のタイトル戦が実現しなかった」
 
 
 というモヤモヤを、なんとなく思い出したりしているから、なのかもしれない。
 
 
 (続く
 
 
 

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『セガガガ』以前に大合唱! セガの社歌『若い力』の酔狂礼賛

2022年11月14日 | おもしろ映像

 やはり、「身内カラオケ」で『若い力』はハズせない。

 カラオケで盛り上がる曲は、人様々である。

 今なら、優里『ベテルギウス』やYOASOBI、Adoの『うっせぇわ』などが人気。

 われわれ世代だと、スピッツにドリカム。

 私が歌うのはミッシェルガンエレファント『バードメン』『リリィ』に、筋肉少女帯『サボテンとバントライン』。

 ザハイロウズ『不死身のエレキマン』とか『木枯し紋次郎』の主題歌『だれかが風の中で』といったところか。

 そんな定番以外では、「内輪ウケ」の曲というのも楽しい。

 アイドルファンやアニソン特ソンなど「しばり」の入った会だと、外では受け流されても、仲間内では大盛り上がりというケースもあるのだ。

 私の場合、この「身内ウケ」の曲が「若い力」。

 といっても、知っている人はコアなゲームファンだけだと思われるが、これはゲーム会社セガ社歌

 これぞまさに「身内ウケ」ゲーム『セガガガ』で有名になったが、これが友人とのカラオケ会では、まあハネるハネる。

 作曲は歌謡曲から、『ハングマン』『世界名作劇場』に『ヒカルの碁』と幅広いジャンルで活躍されていた若草恵氏。

 曲の方は、社歌らしく、いわゆる甲子園で流れる校歌みたいな感じなのだが、その大仰な歌詞やメロディーが、カラオケという舞台に妙にハマる。

 では、なぜにてセガの社員でもないわれわれが、「若い力」を熱唱するのかと問うならば、これが話は高校時代までさかのぼる。

 当時、某文化系クラブに入っていた私は、そこできわめて気の狂……個性的な先輩たちと出会い、かわいがっていただいた。

 そのメンツというのが、ゲーマーがいて、SFファンミスヲタがいて、特撮ファンがいて、TRPGゲームマスターがいるという、文化系オタク男子の梁山泊だった。

 そういう系の部活ではなかったし、女子部員のほうが多いキャッキャした環境なのに、なぜにてそんな人選がかたよっていたのか今でも謎だが、ともかくも私のようなボンクラ生徒にはメチャクチャに楽しい部室であったのだ。

 そらまあ、部室で『ダンジョンズ&ドラゴンズ』やったり、テレビとビデオデッキ持ちこんで、稽古の合間に『特攻野郎Aチーム』とか『フルハウス』観てたもの。

 そういや、オレの青春ってこんなんだったなあ。

 でだ、そこによく遊びに来ていた、ナガホリ先輩という人がいたわけだ。

 ゲーマー担当だったナガホリ先輩は大学進学の準備をしながらも、プログラムの知識も深く、あわよくばそのままゲーム業界に就職しようと、たくらんでいたのだ。

 その流れで、何人か業界人とも接触したそうだが、そこでなぜかもらってきたのが、「若い力」のカセットテープ(!)。

 これが、部室で大ウケにウケた

 さもあろう。まだネットなどギリない時代。こういうレアなアイテムは手に入らないどころか、存在自体知りようもない時代だ。

 今のような、検索でポンという天国でないころ、こんな「業界っぽい」ものが見られるとなると、興味津々である。

 で、聴いてみると、これが予想以上にいい味である。

 聴いてみましょう(→こちら

 

 「世界の創造、命に代える」

 

 という歌詞に、ゲーム業界らしいブラックなノリを見、

 

 「人社一体、みなぎる闘志」

 

 に社畜風味を感じる。実にそれっぽい。

 これ以降、われわれはカラオケに行くと、かならずこの「若い力」を全員で合唱するのが決まりになった。

 当時は機械に入ってないから、仕方なくアカペラだが、それがまた「愛社精神」(!)を高める感じで心地よい。

 周囲からすれば、セガの社員でもないのに、なんでそんなもん歌っているのか謎だったろうが、

 

 「こんな変なもん持ってくるナガホリ先輩の、イカれた人生を超リスペクト!」

 

 という意思の表明であり、つまりはこの後も、われわれに死ぬまでつきまとうであろう「酔狂」という心意気への、賛歌の証なのである。

 

 

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最高峰の横歩取り 丸山忠久vs谷川浩司 2001年 第59期名人戦 第7局

2022年11月11日 | 将棋・名局

 前回の続き。

 横歩取り「中座流△85飛車戦法」の出現は衝撃的だった。

 画期的な新戦法は常にそうであるが、出た当初はなかなか理解されず、

 

 「これでホントにうまくいくの?」

 「こんなやり方に負けるわけない」

 

 なんて甘く見られたりしがちだが、逆に言えばそのスキを突いて白星を稼げる「ブルーオーシャン」が広がってるケースも多く、使いこなせば大きな武器となるのだ。

 そんな△85飛車戦法が、まさに棋界の最高峰である「名人」を決定づける一番で登場したのだから、本当に出世したものだった。

 しかも、前回「珍形」として紹介した△55飛角筋に回る指し方だ。

 

 

 

 2001年、第59期名人戦第7局

 丸山忠久名人と、谷川浩司九段の決戦。

 この△55飛はもともとは、浦野真彦八段が感想戦で、

 

 「こんな手も考えてんけど」

 

 と示したものだという。

 この将棋は丸山も、別のすごい手を披露しており、それがこの局面。

 

 

 

 

 先手の谷川がを打って、を作りに出たところだが、ここで丸山が指したのが、度肝を抜かれるシロモノだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 △45桂と飛ぶのが、おどろきの一手。

 ただを捨てるだけでなく、先手の桂馬を▲45好位置に跳ねさせる、お手伝いに見えるからだ。

 当然の▲45同桂に、△46角と打って、▲58金△19角成を取る。

 

 

 

 これで駒損は回復できたが、相手のをさばかせておいて、自分はこんな働いてないを取るのは、なんとも率が悪く見える。

 この手順に丸山は、名人位をかけたのだ。

 谷川は相手の構想を逆用すべく、▲23歩△31銀▲33桂打▲45を土台に反撃。

 激戦だが、ここはうまく先手が手をつなげたようで、「谷川優勢」の流れとなったが、丸山もただ引き下がるわけにもいかない。

 

 

 

 

 図は▲35銀と打って、にアタックをかけたところ。

 先手は△22が不安定なのを見越して、馬を責めながら、うまく飛車を成りこんでいきたいところ。

 だが、次の手が谷川や控室で検討していた佐藤康光九段など、並み居る面々が気づかなかった1手だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 △23香と打ったのが、丸山が名人位に懸けた乾坤一擲の勝負手

 ここでは△24歩と打つのが自然だが、それでは弱いと見ての香打。

 この手に意表を突かれた谷川が、ここで間違えてしまった。

 ▲24歩と打ったのが、自然に見えて疑問で、ここでは飛車取りにかまわず、▲44銀と取るのが谷川「前進流」で正解だった。

 以下、△25香飛車を取るのは、攻め駒が後手玉に近すぎてとても持たないから、△44同飛とするが、▲35飛△34歩と止めたところで、▲53桂成と成り捨てるのが、取られそうな飛車にする好手。

 

 

 

 

 △同銀▲75飛と軽やかに展開し、△64銀打▲45歩△54飛▲74飛と飛車を助けておけば、先手優勢をキープできるのだ。

 ▲24歩と打たせて、先手の攻めを渋滞させることに成功した後手は、そこで△45馬と桂馬を取り、▲23歩成△65桂打と反撃。

 

 

 

 激しい攻め合いとなるが、最後は丸山が勝って防衛

 かくして、この中座流△85飛車戦法は、その革新性によって従来の将棋観をゆるがし、様々な新手新手筋を生み出してきた。

 こういうのを見ると、ホントに将棋というのは、いろんなアイデアがあるもんだと、楽しい気分になってしまう。

 今、AIの出現によって、中堅以上のプロが困惑しているという話をよく聞く。

 けどまあ、皆さんも若いころ、「藤井システム」や「中座飛車」の新手でベテラン勢を、

 


 「異次元の感覚が理解できない」

 「情報社会の今にはとてもついていけない」

 


 なんてボヤかせ、

 


 「今の将棋は知識ばかりが優先されてつまらなくなった」

 


 とかブツブツ言うのを冷たく聞き流していたんでしょうから、まあ、こういうのは、おあいこなんじゃないでしょうか。

 

 

 ■おまけ

 (「丸山名人」の名人初防衛劇はこちらから)

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

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横歩取り「中座流△85飛車戦法」の隆盛 松尾歩vs木村一基 1999年 王座戦

2022年11月08日 | 将棋・好手 妙手

 「自分では絶対に思いつかない手」

 これを観ることができるのが、プロにかぎらず、強い人の将棋を観戦する楽しみのひとつである。

 藤井聡太五冠の見せる、終盤のあざやかな寄せもすばらしいが、様々なクリエイター型棋士が見せる序盤戦術での新構想にも、シビれることが多い。

 前回までは升田幸三賞も受賞した「鈴木(大介)式石田流」のヘンテコな将棋を紹介したが、今回もまた歴史を変えた画期的な戦法について。

 世代的にやはり、もっともおどろかされたのが

 

 「藤井システム」

 

 これにつき、もうひとつ同じくらい「丸山忠久名人」や「渡辺明竜王」など、多くの棋士の運命を変えたであろう、

 

 「中座流△85飛車戦法」

 

 このインパクトもすさまじかった。

 藤井猛中座真が生み出したこの2つこそが、平成将棋界を引っ張ったビッグウェーブであって、抜きにしてこの時代のことは語れないのだ。

 

 1999年の王座戦。

 木村一基五段松尾歩四段の一戦。

 

 

 

 このころ大流行を超えて、ほとんど居飛車後手番マスト戦法に近かった「中座飛車」。

 とにかく猫も杓子も採用していたため、当然のごとく新手が続出し、とんでもない進歩を見せることに。

 ここから後手は、先手の陣形によっては、飛車の横利きを生かして△75歩と仕掛けたり、△25歩と先手の飛車を押さえたり。

 △54歩から△55歩と玉頭をねらったり、あるいは△86歩から横歩を取りに行くなどが考えられるところ。

 だが、ここで松尾が指した手が、目を疑うものだった。

 

 

 

 

 

 

 △55飛とまわるのが、のけぞるような異形の感覚。

 あるベテラン棋士が、これを見て

 

 「図面が間違ってるよ」

 

 と指摘したそうだが、その気持ちはよくわかる不思議な手だ。

 

 

 

 

 そもそも、この「中座流」自体が、初めて出現したとき、検討していた棋士たちが皆、

 

 「指がすべって、△84に引くはずの飛車を間違えたのかと思った」

 

 そう口をそろえるほどの違和感なのに、さらに「えー!」という手が飛び出すとは。

 相手のの利きに飛車を置くなど、まったく意味不明に見えるが、▲同角△同角▲88銀△44角打が、飛車取り△88角成の両ねらいで「オワ」。

 

 

 

 木村は▲58金と固め、▲29飛と引いて強襲にそなえるが、松尾は一回△54飛と引き、△75歩△35歩とゆさぶりをかけてから、好機に△65桂と飛び出していく。

 

 

 

 結果は木村が勝ったが手としては有力で、とかく受け身になりがちな居飛車後手番で、主導権を取って攻めることができるのが大きかった。

 この戦型はタイトル戦など大一番でも定番となり、特に「丸山忠久名人」誕生の大きなカギになったことが、将棋史的にもっとも語られるべきところであろうか。

 

 (丸山忠久が名人をかけた横歩取りの将棋はこちら

 

 ■おまけ

 (「中座流」登場前の古典的な横歩取りはこんな感じ)

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

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初形遊戯 久保利明vs森内俊之 2007年 第55期王座戦 挑戦者決定戦

2022年11月05日 | 将棋・好手 妙手

 前回に続いて石田流のお話。

 このところ、石田流の話題が続いて、それもふつうの美濃に囲う振り飛車ではなく、居玉で華々しく切り合う大乱戦のものばかり。

 そこで今回も、

 

 「え? これって元々は振り飛車だったの?」

 

 という珍局(?)をご紹介したい。

 

 2007年、第55期王座戦挑戦者決定戦

 森内俊之名人と、久保利明八段の一戦。

 先手になった久保が、▲76歩、△34歩、▲75歩△85歩▲74歩と突く「鈴木(大介)」を採用。

 

 

 

 森内も△同歩、▲同飛に、△88角成、▲同銀、△65角

 後手は△85歩の代わりに、△62銀とでもしておけばおだやかなのだが、そこをあえて突っ張るのは、この変化に自信ありとの宣言とも言える。

 飛車が逃げれば△47角成で後手優勢だから、久保も定跡どおり▲56角と打ち返す。

 

 

  

 

 「升田幸三賞」も受賞したスゴイ角打ちだが、これが有力だというのだから、その発想力には恐れ入ります。

 この将棋は、ここからも難解な応酬が続いて、正直なにがなにやら、サッパリわからない。

 たとえば、少し進んだこの局面。

 

 

 

 

 そもそも、先手も後手もここからどうやればいいのか1手も見えないが、まあ次の手も、なかなか当たらないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 △53飛と打つのが、なんかもう、よくわかんない手。

 研究家の森内だから、もしかしたら想定内なのかもしれないけど、まあAI的な評価値や好手悪手の判断が、あまり意味のない局面であることはわかる。

 そこからさらに進んで、これとか。

 

 

 

 

 端攻めなどで、香車飛車の2段ロケットなんてのはよく見るけど、飛車飛車のロケットなど見たこともない。

 しかもそれが玉頭で、中飛車。ハラホレヒレ。

 ただ、見ていてメチャクチャおもしろい局面であることは間違いない。指してるほうは、大変だろうけど。

 この将棋は、終盤でも見せ場があった。

 

 

 

 

 すでに先手優勢で、△87歩もさほど怖い手ではないが、ではここでどう指せばいいだろう。

 筋のいい方なら、

 

 「そりゃ、こういうところは▲77銀と、ぶつけりゃいいんだよ」

 

 

 

 

 

 たしかに働きの弱い自陣のを、敵の攻め駒にぶつけて交換をせまるのは一目である。

 △同金なら▲同桂で、自玉の脅威を緩和させながら桂馬も活用できて、これはいかにも味がいい。

 お見事、それが正解で実際に久保もそう指したのだが、もうひとつやってみたい手は思い浮かばないだろうか。

 に出られる銀を、あえてこちらに……。

 

 

 

 

 

 

 ここで▲79銀と引くのも、おもしろい手だった。

 これでなんと、先手陣は大駒以外、すべて初形に並ぶのだ。

 これはなかなかの珍形で、ましてやプロの将棋では前代未聞だろう。

 『千駄ヶ谷市場』でこの将棋を取材した先崎学九段によると(改行引用者)

 

 


 対して久保は筋よく▲77銀とぶつけたが、ここは、▲79銀と初形に戻せば、本当に後手はやる手がなかった。

 嘘のようなホントのはなしである。

 私はふと、▲79銀とすれば、森内は投げるのではないかと思った。例えようもなく華麗な投了図である。

 まさか、そんなことは実際にはないだろう。

 だが、本局の珍形は、そのような妄想すら、人に浮かべさせるものがあったのだ。


 

 

 (横歩取り△85飛車戦法「松尾流」編に続く)

 

 ■おまけ

 (久保のさわやかで軽妙な寄せはこちらから)

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

 

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悪口言う人見たことないぞ! 「口コミ打率10割」の観光地について その4

2022年11月02日 | 海外旅行

 前回に続いて、悪口を聞いたことのない地域について。
 
 ハワイのような遊んで良し、買い物して良し、癒されるも良しのようなオールラウンドプレーヤーもいれば、ラオススロバキアのように、
 
 
 「なにもなくて、のんびりする」
 
 
 という「まったり志望」な土地もあるもの。
 
 私も安宿ユースホステルで仲良くなった旅行者に、そういった場所を聞くことが多い。

 そこで今回も、旅行者の間で「悪口を聞いたことがない」という国や地域を紹介してみたい。
 
 
 「10割バッター」その10 台湾
 
 今さらここで紹介するまでもないメジャーどころ。
 
 物価が安くないことと、大陸とくらべてもやや地味ということで、バックパッカー的人気はそれほどでもないが、一般旅行者には魅力がいっぱいのところ。
 
 かくいう私も2度行ったが、すこぶる好印象で故宮博物院など見どころも多いし、中華系地域は食事には困らないしと、たいそう楽しめたもの。
 
 なにより、台湾と言えば日本人友好的なことで有名で、
 
 
 「台湾へようこそ。楽しんでください」
 
 「日本語を勉強しています。いつか日本へ行きたいです」
 
 
 なんて道端で(!)急に話しかけられたりと、その「日本ラブ」なところも、あれこれ味わったりしたものだった。
 
 
 
 「10割バッター」その11 ニュージーランド
  
 NZは行ったことないけど、話を聞くと特に何があるわけでもないけど、いいところらしい。
 
 特にパリで会ったカメラマン志望の女の子からは、
 
 
 「カンボジアとニュージーは本当に良かった。ぜひ行きなよ!」
 
 
 猛プッシュされたもの。
 
 そこまで言うならと、ではその魅力はどこなのかと問うならば、 
  

 「だれも家に鍵をかけないくらい治安がいい」


 「なにもないけど、町並みは、すこぶるきれい。なにもないけど」


 「なにもないけど、芝生がとにかく目に鮮やか。なにもないけど」


 「なにもないけど、ゴルフやアウトドアをやるなら最高。ホンマにナーンにもないけどな!」


 ということなので、「なにもないところマニア(いるのか?)には垂涎の物件のようだ。
 
 たぶん、真面目な女の子がワーキングホリデーとかで行くには最高だと思う。

 なんのかの言って、やっぱ海外体験は得難い人生の財産になると思う。

 なので、もし「行きたい」というお子様がいらっしゃったら、心配かもしれませんが、ぜひ、行かせてあげてください。
 
 
 「10割バッター」その12 トルコ
 
 出ました。これこそが、「悪口言う人聞いたことない」国のエース4番
 
 魅力的な観光名所、うまいメシ、リーズナブルな物価、個性的で親切な人々、比較的良好治安、適度な発展途上感
 
 などなど、「楽しい旅行先」のエッセンスをこれでもかと詰めこんだのが、トルコという国。
 
 一時期はボッタクリ店が幅を利かして、評判を下げていたこともあったり、ガチで戒厳令が出たりとか色々あったけど、やっぱりそれでもいいところ。

 トルコについては以前、熱く語ったこともあるので、ぜひ読んでみてください。

 

 ■おまけ

 (台湾一の観光スポット故宮博物院についてはこちら

 (『三国志』の関羽がなぜか祀られている、台湾の龍山寺訪問記はこちら

 (世界の旅行者を魅了するトルコについてはこちらから)

 (ゆかいで親切なトルコ人との交流についてはこちらからどうぞ)


 

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