「桜玉吉三部作」ついに完結 劇場版『乾物くん』絶賛公開中

2022年05月29日 | オタク・サブカル

 映画『乾物くん 能天気の子と人類創世記』を観る。

 マンガ家の桜玉吉さんが、原作を手掛けた映像作品といえば、まず山崎タカシ監督がメガホンを取った、SF特撮映画である

 『宇宙戦艦スコプ』。

 また、セガ非公認のゲームアクション大作

 『ソニック・ザ・グッホジッヘ』。

 この2つがあるが、ここに名作『乾物くん』も、ついにスクリーンデビューを果たした。

 どちらも、初出時から非常に評価も高く、『スコプ』は、あのライムすター宇多丸さんが、


 「あの伝説のSF映画『スポーツマン山田』を超えたかもしれない……」

 
 と大絶賛。

 また外伝的内容ながら『ソニック・ザ・ヒッチコック』でハリウッド進出も果たしたソニッくなどとくらべて、この『乾物くん』は玉吉さん本人も言うように、

 

 「キャラが立ってない」

 

 ということで映像化は不可能と言われていたが、これでついに「玉吉三部作」が完成することになり、ファミ通で連載していた『しあわせのかたち』時代からのファンである身には、これはなかなかに、感慨深いものがあった。

 ストーリーとしては、おなじみ

 「乾物ランド

 の王子である乾物くんが、家来である

 「するめ」「ほししいたけ」「のり

 で結成された「乾物三人組」とともに、人間界で大活躍する乾物アクションコメディーだ。

 今回の劇場版は話のスケールも大きく、乾物くんが世界の破滅を阻止するために戦うというもの。

 とある事情で家出することになった、主人公の「乾物くん」こと乾物太郎は、フェリーに乗って東京へとやってくる。

 船内では、荷物の中にカナダ映画の傑作『ザ・キャッチャー』のビデオテープが入ってるところなど、さりげなく今後の波乱を予感させて、早くもドキドキするが、物語はまず、乾物くんが一人の少女と出会うところから、動きはじめる。

 このころの日本は異常気象により、「マコンド村か!」と、乾物くんも空にツッコミを入れるほど、もう何年もがやまない天候が続いていた。

 そこで世間では、祈りによって晴天を呼び起こす「天晴女」の都市伝説が流布するが、まさに主人公が出会った女の子ヒナこそがそうだったのだ。

 晴天乾物は相性がいいと、太郎とヒナは意気投合するが、2人の間にはいくつかの壁が存在した。

 なんといっても、彼女ときたら夜はガールズバーで働き、その疲れはスチームサウナで癒やし、立て板に水とよくしゃべるも、その内容はやや我田引水がすぎる。

 そこは魚心あれば水心だと思うわけだが、なにを言っても焼け石に水、蛙の面に小便で、ついにはケンカになり覆水盆に返らず。

 あまつされ、野球の話になれば、

 

 「よく打つチームが好き」

 

 と言ってはばからないのだから、「乾物」くんは頭をかかえるしかない。

 中盤以降の展開は、ネタバレになるので避けるが、最後は結局、世界は大雨の末に水没し、人類は滅亡してしまう。

 もちろん、ヒナの「天晴能力」を使えば、それは防げたかもしれないが、これは使えば使うほど彼女を消耗させ、「人柱」として世界の安定と引き換えに犠牲になってしまうのだ。

 

 「それはムリっしょ」

 「自分を犠牲に世界を救うとか、マジ昭和の発想だよねー」

 

 現代人であるこのカップルはアッサリそう決意し、チキンラーメンなど食べているうちに、いつの間にやら世界は海に沈む。

 だが、それはさすがに後味も悪く、そのことはダシにこだわる「乾物」には少々おさまりが悪いのか、

 

 「人間はいなくなった。でも、世界は終わらない」

 

 乾物くんはそう宣言すると、

 

 「この海の中にボクが溶けこんで、人類創世、いや再生のための新しい《海》になろう」。

 

 なんと乾物くんは、絶滅した人類をふたたび地球によみがえらせるべく、自らがダシとして、その「」になろうという収束。

 最後の場面、無人となった地球の夜で、乾物たちが溶けこんだ《》をかきまぜる、ヒナの後ろ姿で物語は終わる。

 それはまさに、

 「生命のスープ

 の世話をやく、すべての生みの親である「大地母神」であり、カレル・チャペックの古典『R.U.R.』のような深い余韻を残す。

 なかなかに感動的なラストだが、このあたりについて乾物くんは、

 

 「大衆って、結局こういうお涙頂戴がすきなんでしょ?」

 

 主人公らしくない、ドライなことをインタビューなどで語っており、ヒナも、

 

 「ま、世界滅んだけど、映画はもうかってよかったよね!」

 

 こちらもメチャメチャにカラッとしていて、さすがは「晴れ女」の頭に「天」がつくだけある。

 桜玉吉さんのマンガ原作ということで、ポップで楽しいギャグ作品だが、ずいぶんと壮大で神話的なところもあり、まさに「三部作」の完結編に、ふさわしい内容と言えるだろう。

 『妻が干し椎茸だったころ』の中島キョウコさんも大絶賛の『乾物くん』。

 世知辛い世の中で、心が渇いたアナタにも、おススメです。

 

 

 

  記念すべき連載第1回作品

 

 「乾物三人組」初登場の回。

 

   感動の最終回。

 

 

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悪手のジェットコースター・ムービー 藤井聡太vs出口若武 2022年 第7期叡王戦 第3局

2022年05月26日 | 将棋・名局

 叡王戦の第3局はメタクソにおもしろかった。
 
 藤井聡太叡王(竜王・王位・王将・棋聖)に出口若武六段が挑んだ、第7期叡王戦五番勝負。
 
 挑戦者決定戦では「藤井のライバル」候補である服部慎一郎四段を破っての檜舞台で、日の出の勢いの出口だが、開幕からは2連敗。 

 まあ、相手が相手だから、そこはしょうがない(とか本当は言っちゃいけないんでしょうケド)としても、ストレート負けは本人的にも観戦している方としても、これはマズイわけである。
  
 結果はともかくも、まずは1勝しなければ、出てきた甲斐がないというものだが、その想いが通じたか剣が峰の第3局で、出口はすばらしい将棋を見せたのだ。
 
 終盤に入るところでも、両者評価値ほぼ50%と、「名局決定」な力の入り様なだけでなく、その後は出口リードを奪う展開に。
 
 いわゆる「藤井曲線」をくずしたのが、まず「すげえ!」といったところだが、最終盤では勝ちまで見えてきた。


 
 
 
 
 
 すさまじかったのがここで、まだ形勢的にはギリのところだが、後手とくらべて、わかりやすい指し手が見えないという意味では、先手が苦しいようにも見えた。
 
 その証拠に、ここから目が回ることになる。
 
 ▲21飛、△31金打、▲11飛成、△52銀、▲65香、△47銀成、▲75角、△43玉、▲31角成、△同金、▲同竜
 
 
 
 
 

 回転木馬のごとく、目まぐるしく局面が動いたが、信じられないことに、ここまで藤井叡王は悪手疑問手を連発している。
 
 あくまで、中継に映っていたAI基準だけど、▲21飛はまだいいとしても、まで読まれてあわてて指した▲65香は、素人の私が見ても、いかにもパッとしない手だ。
 
 ▲75角も疑問のようで、こう打つなら▲31角成は騎虎の勢いだが、どうも暴発のよう。

 △同金、▲同竜の場面はハッキリと後手に形勢の針はかたむいた。
 
 さあ、ここである。
 
 後手玉は簡単な詰めろだが、先手玉もアヤが多く、いかにも逆転のワザ攻防手がありそう。
 
 解説の藤森哲也五段が指摘する、△57成銀、▲同玉、△75角の王手飛車で竜を抜く筋が見えるけど、竜取ったあとが、先手玉も楽になって、これはむずかしいか。

 単に△75角もありそうだけど、▲35桂、△同歩、▲34金からの王手ラッシュもメチャクチャに怖いなあ。
 
 でも、ここを突破できないようだと、タイトルなんて取れないぞ!
 
 藤井聡太に恨みはないどころか、将棋界のためにもどんどん勝ちまくってほしいが、私は一応関西人であるし、なによりいい将棋はたくさん見たいのだ。
 
 なんで、とにかく、この一局は出口が取れ! 第4局や!
 
 なんて、こちらのテンションもMAXレベルに達したが、惜しむらくは、この場面。

 もし出口六段に残り5分でもあれば、きっと正解手を見つけ出し、シリーズはまだまだ続いたことだろう。
 
 だが、超絶難解な死線をくぐり抜け、さらにまた、次から次へと門番のように立ちふさがる難題難局面を突破するには、1分という時間は絶望的に短かった。
 
 秒に追われて選んだ△42銀が敗着で、これは受けになっていない。

 ここでのAI推奨手は△42角

 

 

 に当てながら▲42金を消し、かつ△86角の飛び出しを見た絶好手だったようだ。

 銀打には、▲22竜と逃げたのが冷静で、△88角の形作りに▲35桂から後手玉は詰み。
 
 これで3連勝となり、藤井叡王が初防衛に成功。堂々と五冠王をキープしたのだった。
 
 いやー、最後は本当に残念だったけど、でも、すんごいおもしろかった。久しぶりに燃えたよ。
 
 このところ、藤井叡王の将棋は勝っても負けても、こういう評価値でんぐり返りなジェットコースター将棋は少なかった。

 王座戦の大橋貴洸六段戦は、終盤にドラマがあったみたいけど、ブレが一瞬すぎて、わけがわからなかったし。
 
 やはり、将棋は悪手こそがおもしろいと考えるタイプの私には、この一局は大満足

 好局だったなあ。出口の出来も良かったし。ホレましたよ。

 泣くな、若武、キミには明日があるで!
 
 あと、この将棋でおもしろかったのは、△52銀の局面での最善手が▲22歩だったこと。
 
 
 
 
 
 
 
  これには、藤森五段と木村一基九段も、
 
 
 「いやー、これは人間には指せない」
 
 
 定番のうなり声をあげてましたが、たしかに。
 
 解説でも言ってたけど、この手自体がなんにもないし、次に▲21歩成と成っても、まだなんでもない。
 
 その次、▲31とと取って、はじめて攻めになるんだけど、その間完全な「ゼット」になってしまうというのが、オソロシすぎる。
 
 この2手の間、後手は自陣を見ずに攻めまくれるのだ。
 
 「ゼットからの猛攻
 
 は終盤で、だれもがヨダレをたらす勝ちパターンなのである。しかも、先手は歩切れと来たもんだ。
 
 たしか、似たようなケースで米長邦雄永世棋聖の将棋を、前に紹介したことあるから、よかったらそれも読んでいただきたいですけど、あれより全然、藤井玉は危険だし、相手は終盤力に定評のある出口若武だし。
 
 いやいやいやいや、あれは無理ですわ! こんなの全盛期の大山名人や、羽生さんでも、指せないんでねーの?
 
 藤井聡太といえば、これまで幾度も、
 
 
 「これは人間には指せない」
 
 
 という壁を軽やかに乗り越えてきたけど、ここで▲22歩はさすがに指せなかった。
 
 「完璧超人」というイメージはあるけど、できないこともあるんだなあと、ちょっと不思議な気分に。
 
 でもこれは、逆に言えばまだ「のびしろ」があるということでもあり、
 
 「藤井八冠王
 
 が誕生する一局では、もしかしたら成長の果てに、この▲22歩のような決め手が飛び出して、伝説を作るかもしれない。

 そういうことを考えていると、ますます未来に期待がかかってくるのであって、この青年からは目が離せなくなるのだ。 

 

 ★おまけ 米長邦雄永世棋聖が見せた「ゼット」での踏みこみは→こちら

 

 

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「日本タイトルだけ大賞」をうちの本棚でやってみた

2022年05月23日 | 
 「日本タイトルだけ大賞」という賞がある。
 
 文字通り、本を中身や売れ行きや著者の知名度などまったく度外視して、「タイトルだけ」で選ぼうというもの。
 
 過去には
 
 
 『誰でもなれる! ラノベ主人公 ~オマエそれ大阪でも同じこと言えんの?』

 『桐谷署総務課渉外係 お父さんを冷蔵庫に入れて!』

  『俺が大統領になればこの国、楽勝で栄える アラフォーひきこもりからの大統領戦記』
 
 
 などといった、おもしろそうなタイトルがノミネートされているが、あるとき思いついたことは、
 
 「あれ? これウチの本棚でもできんじゃね?」
 
 本棚をながめると、題名だけでもインパクトある作品というのが、けっこうあるようなのだ。
 
 そこで今回は、中からいくつかチョイスして、ここに並べてみたい。
 
 あと、賞のノミネート作品を見て気になるのが、最初から明らかにタイトルから「ねらってる」ものが目立つことで、こういうのは、
 
 「どう? おもしろいでしょ? インパクト充分で、思わず手に取りたくなるでしょ?」
 
 なんて態度でせまられると、冷めることはなはだしい。
 
 その点、ウチの本棚はそんな、露骨にあざといものは少なく、それでいて作者の言語センスが味わえる良タイトルも多い。 
 
 「おもしろそうじゃん」と、手に取ってみる1冊があれば幸いである。
 
 では、ドン。
 
 
 
 『電波男』

 『不確定世界の探偵物語』

 『宇宙のウィンブルドン』

 『ナウなヤング』

 『悪人礼賛』

 『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』

 『退出ゲーム』

 『ミャンマーの柳生一族』

 『女の子だってRPGしたいんだもん!』

 『神菜、頭をよくしてあげよう』

 『USAカニバケツ』

 『もっさい中学生』
 
 『ブロンソンならこう言うね』

 『愛をひっかけるための釘』
 
 『シュレディンガーのチョコパフェ』

 『冥王星を殺したのは私です』

 『「月給100円サラリーマン」の時代』
 
 『プロレス・スターウォーズ』

  『銀河帝国の興亡も筆の誤り』
 
 
 どれもちょっと変なタイトルですが、中身はおススメのものばかり。
 
 気になった作品があれば、ぜひご一読を。
 
 
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63歳の挑戦者 中原誠vs大山康晴 1986年 第44期名人戦 第1局

2022年05月20日 | 将棋・好手 妙手

 

 

 

 そんなことを言ったのは、『ヒカルの碁』の倉田厚七段だった。

 将棋にかぎらずアスリートの世界では、たとえどんな地位を築こうとも「下から」来た、新時代の旗手との対決は避けられない。

 その「コワイ奴」は若さ勢いに後押しされ「上」の存在を脅かすが、王者もみすみすやられるわけにはいかず、その流れに抵抗し、ときには押し返すこともあるのだ。

 たとえば谷川浩司九段は、一時期は四冠王と隆盛をきわめながら、羽生善治九段にコテンパンに負かされ、まさかの「七冠王」の引き立て役に。

 そのどん底から「竜王名人」を奪い返し、「十七世名人」となって返り咲いたことがある(その将棋はこちら)。

 その羽生善治九段も「永世七冠」をかけた渡辺明竜王との「100年に1度の大勝負」を3連勝からの4連敗で落とし(そのシリーズはこちら)、そこから9年かけて、やはり渡辺を相手にして、宿願を果たしたこともあった。

 かつての大名人である、大山康晴十五世名人もそうで1972年49歳のときの名人戦で「若き太陽」中原誠に敗れる(そのシリーズはこちら)。

 2年後のリベンジマッチでも「往復ビンタ」を喰らったが、1986年の名人戦で、みたび中原への挑戦権を獲得。

 というと、

 

 「あれ? 1972年、1974年ときてからの、1986年って、なんかそれ、数字おかしくね?」

 

 いぶかしむ人も、おられるかもしれないが、その違和感は正しい。

 なんと大山は、このシーズンで御年63歳

 ふつうは60を超えれば、どんな元A級、元タイトルホルダーでも、BクラスやCクラスに落ちてしまうものだが、大山はどーんと名人戦に登場。

 しかも、このときはガンでの休場から、復帰したばかりのシーズン。

 戻ってきたはいいが、まともに将棋を指せるのかすら心配されたところを、A級順位戦では見事な快走を披露。

 なんと、最終戦をむかえたところで6勝3敗(この期のリーグは休場していた大山の参加で11人になっていた)と、加藤一二三九段と並んでトップタイの成績をマーク。

 最終戦こそ落としてしまったものの、加藤も敗れたためプレーオフに突入し、その第1戦では加藤に再び勝利

 続く最終決戦では勢いにのっていた米長邦雄十段・棋聖を、まさかの「飛び蹴り」一発で制し(その将棋はこちら)、63歳での大舞台。

 ちなみに、大山は前年には、早指しのNHK杯優勝し、数年後は66歳棋王戦挑戦者になっている。

 なんなのこの人は? まさに、バケモノとしか言いようのない「将棋の鬼」である。

 ただ、本番の七番勝負は、意外と星が伸びなかった。

 さすがに年齢的にも体調的にも、2日制の番勝負はキツかったのかもしれないが、それよりもやはり、中原の強さと、また相性の悪さもあった。

 大山と中原の対戦成績は、通算で大山から見て55勝107敗

 もちろん中原の強さが別格なのはたしかだが、二上達也(116勝45敗)、加藤一二三(78勝47敗)、内藤國雄(50勝18敗といった強豪相手に、圧倒的に勝ち越していることを考えると、これはあまりに偏っていると言えよう。

 それは第1局から、あらわれてしまう。

 後手の大山が、いつもの振り飛車にすると、中原は居飛車穴熊に。

 今でこそ、イビアナといえば、だれでも指すメジャーな戦法だが、当時では

 

 「邪道な戦い方」

 

 という偏見にさらされており、

 

 「見ていて、つまらない

 「志が低い

 「こんなことをしていては強くなれない

 

 と言われ、場所によっては「禁止令」も出たくらいだから、時代の常識というのは、おそろしいものである。

 もちろん、みながヤイヤイ言ったのは、穴熊が優秀だったからで(今、AIにいろいろ言う人と同じですね)、ここでも中原の戦い方が光った。

 

 

 

 図は中盤戦。大山が△83銀と引いたところ。

 双方、ガッチリと囲って、これからに見えるが、ここで先手からすごい攻め筋があった。

 

 

 

 

 

 ▲74歩と、いきなりタタくのが強手。

 △同銀と取られて、なんでもなさそうだが、そこで▲74同飛(!)と切り飛ばすのが、穴熊流の強襲。

 △同金▲75歩で、金の逃げ場がむずかしい。

 

 

 


 △65金は▲74歩、△51角に▲65銀と取って、△同歩と取り返せない。

 △85金も、やはり▲74歩で、△51角に▲64角で攻めが止まらないし、なにより△85の金がヒドすぎる。

 そこで大山は△65歩と切り返す。

 

 

 これがうまい手で、▲74歩には△46角と、逃げながら角が取れる。

 かといって、▲73角成△同金引がピッタリで、なにをやっているのか、わからない。

 さすがは「受けの大山」と感心するところだが、ここで中原は、さらにこれを上回る手を用意していた。

 

 

 

 

 ▲55銀と出るのが、「次の一手」のような絶妙手

 △同歩は角道が止まるから、▲74歩と取られる。

 △75金と取るしかないが、そこで▲64銀と進軍して、駒損が取り返せる形。

 それでも大山は、先手の攻めは無理筋とみて、なんなり受け止められると読んでいたそうだが、△74金、▲73銀成、△同桂に▲53角と打ったのが好手。

 

 

 

 ボンヤリした手だが、▲31角成▲75銀のような攻めが、存外受けにくく、△43の銀が使えてないのも痛くて、すでに後手が苦しい

 △42銀のような受けにも、▲64角行とつなぐなど、ゆるいようで、これが全然ふりほどけない攻めなのだ。

 

 

 

 これこそ、まさに穴熊の強みである「固い攻めてる切れない」。

 この角には大山も脱帽で、以下中原は穴熊の遠さを生かして、確実に勝利。

 第2局も中原が制し、第3局こそ大山が会心の受けを披露し、一矢報いたが、そこからまたも連敗で復位はならなかった。

 結局、大山は中原から、名人位を奪い返すことはできず、この七番勝負が最後の名人戦となったのであった。

 

 


 (63歳で名人挑戦権を獲得した「大雪の決戦」はこちら

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

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マックス・ミルヌイとアンナ・クルニコワで、美女と野獣と○○人間

2022年05月17日 | テニス

 「あのテニス選手が【特撮ファン】でなくて、よかったよな」

 ある日、唐突にそんなことを言いだしたのは、テニスファンの友人ナカノシマ君であった。

 テニスに特撮が、こんなところでどう結びつくのかと問うならば、

 「それがさあ、ちょっと前に、マックス・ミルヌイ錦織圭のコーチをするってニュースあったやん」

 あったねえ。

 昔は「ミルニー」表記だったけど、マックス・ミルヌイとは、今なにかと話題なロシア元テニス選手

 

 

 

 ダブルスの腕に定評があり、世界ランキングは1位

 グランドスラム複6勝、ミックスで4勝、ロンドン五輪ミックス

 それだけでなく、シングルスでも最高18位で、2002年にはUSオープンベスト8にも入った、すばらしいプレーヤーだけど、それがどした?

 再び問うならば、友は、

 「じゃあさあ、マックスの現役時代のニックネームっておぼえてる?」

 おいおい、玄人のテニスファンをなめてもらっては困る。

 そんなもん「野獣」。英語やと「ザ・ビースト」って呼ばれとったなんて、常識やないか。

 バシッと答えてやると友は、「さすがやな」ニヤリとすると、

 「でもさ、じゃあなんで【野獣】って呼ばれてるかの、理由はわかるか? 実は俺も、こないだたまたま知ったんや」

 え? そう言われたら、なんやったっけ?

 まあ、ふつうに考えたら気が強いとか、荒々しいんだけど、そこまでだったかなあ。

 たしかに、アスリートなんだから、気は強いんだろうけど、獣だったらもっとラケットを破壊しまくるとか、審判に暴言をはくとか、記者会見で差別発言を連発とか、そういうキャラの方が似合うのではないか。

 そういうのは、どちらかといえば、同胞のマラト・サフィンの方が合ってるよね。今なら、ダニール・メドベージェフかな。

 ということで、今回あらためて調べてみると、このニックネームの由来が2000年USオープンにあるのでは、という説を発見した。

 この大会で、レイトン・ヒューイットと組んでダブルスを優勝したマックスは、ミックス・ダブルスでも準優勝と大活躍。

 で、このときのパートナーがアンナ・クルニコワ

 

 

 

 

 当時大人気だった彼女が「美女」なら、そのパートナーは当然「野獣」しかなかろう、ということだそうな。

 だから「ザ・ビースト」。

 なるほどねえ。彼のキャラとか以前に、こうの史代先生の名作『夕凪の街 桜の国』で、「石川」さんが、とりあえず「五右衛門」と呼ばれていたように、

 「それしか連想しようのない」

 というのが理由ということだ。

 そういえば、私の知り合いの「健一」君は例外なく「けんいちうじ」と呼ばれていたものだ。

 その流れで「服部」君は文字通り「ハットリ君」もしくは「忍者」。

 そういや、将棋の近藤誠也七段は「聖闘士星矢」ってアダ名を提案されて、嫌がってましたっけ。同世代くらいが、ゴメイワクをおかけしました。

 なんか、ほとんどダジャレというか、「じゃないほう芸人」あつかいというか、いわば「もらい事故」のようなもんだったか。

 なるほど、それを聞いてナカノシマ君が、

 「特撮ファンじゃなくてよかった」

 と言った意味を理解した。

 なんたって、それだったらニックネームは野獣じゃなくて、間違いなく「液体人間」になっちゃうもんねえ。

 

 

 

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「怒涛流」痛恨の▲71角 大内延介vs中原誠 1975年 第34期名人戦 その2

2022年05月14日 | 将棋・ポカ ウッカリ トン死

 前回の続き。

 名人3連覇中の「棋界の太陽」中原誠名人(十段・王将・王位)に、「怒涛流」大内延介八段が挑んだ、1975年第34期名人戦

 3勝3敗(1千日手)のタイでむかえた最終局は、中原の軽率な手を大内が見事にとがめて、序盤で挑戦者が圧倒的優位に立つ。

 

 

 

 ふつうに見て先手優勢、いや下手すると必勝とも言えるの局面だが、名人をかけた一戦となれば、ここで投げてしまうわけにもいかない。

 後手は飛車を△31に転換し、△35歩から美濃囲いのコビンをうかがってチャンスを待つが、駒の数や働きなど勢力差がありすぎて、焼け石に水といったところ。

 

 

 

 一方、盤上を制圧した大内は、ここから「名人へのプレッシャー」との戦いだ。

 この一番はとにかく有名で、昔の本や雑誌などで何度も取り上げられているが、夜、大内が緊張で眠れないでいるところ、中原の部屋の明かりが目に入り、

 


 「名人も眠れないんだな」


 

 また中原も、名人を失うかもという恐怖にまんじりともできなかったが、やはり大内の部屋に明かりがついているのを見て、

 


 「大内さんも寝られないのか……」


 

 敵だって苦しんでいるんだと、崖っぷちながら勇気がわいたとか、このあたりの様子は一級の心理小説のようでもある。

 長く、苦しい一夜が明け、勝負は再開。

 相変わらず、大内必勝は変わりないが、将棋は意外なほど長引いている。

 大量失点こそあったが「あと1点でコールド」というところで、中原は必死にふんばり、なかなか決め手をあたえないのだ。

 だがそれでも、さすがに差がありすぎて、少々盛り返したところで、やはり大内勝ちは動かない。

 そして、クライマックスとなったのが、この場面。

 

 

 

 先手玉は相変わらず安全だが、後手玉はすでに相当危険な形。

 逃げ出そうにも、▲24が右辺を封鎖していて、身動きが取れない。

 ここで先手に決め手があり、5手1組の好手順で、後手玉は寄り。

 「大内名人誕生!」

 だれもがそう確信したとき、まさかというドラマが起こった。

 

 

 

 

 ▲71角と打ったのが、まさかのうえに、もうひとつ、まさかのつく大失着。

 ここでは、▲45歩と突き、△同銀、▲44歩、△同銀と、下ごしらえをしてから▲71角と打てば、それで「大内名人」だった。

 

 

 しかも、大内はそれを、しっかりと読んでいた。指すつもりだった。

 にもかかわらず、▲45歩と突こうとしたところで、なにかに魅入られたよう、先に角を打ってしまったのだ。

 この場面のこともまた、様々な人が書いているため、私のように観てもいないのに、流れをおぼえている人も多いのではあるまいか。

 ▲71角が放たれると、中原はしばらくして席を立った

 その姿が消えたところで、大内は思わず、

 


 「ばかな」


 


 そう口走り、なんと立会人である塚田正夫九段に、

 


 「しまった、先に▲45歩と突くんだった。それで決まってたでしょ」


 


 公式戦で、しかもタイトル戦の終盤戦で、対局者が立会人に意見を求めるなど(大内は思わず言ってしまったのだろうが)、絶対にありえない光景である。

 もちろん、塚田もおどろいたが、平静を装って無言

 大内は茫然。このシリーズは、この一瞬のために存在したといっても過言ではないほどの、濃密なやりとりだった。

 将棋はここから、まだまだ続くのだが、実質ここで終わりなのは、しばらく、ひとりで盤にむかっていた大内も理解していただろう。

 ▲71角には△24銀と、押さえのをはずせるのが大きく、▲82角成△65歩、▲同銀、△37歩成▲66玉△34玉

 

 

 

 大海に泳ぎだして、これで後手玉はつかまらない形に。

 角を打ってからこのかたの、大内の気持ちは、いかばかりだったろう。

 この「中原の離席」は有名な習性で、おそらくは勝負術でもある。

 相手が悪手を指した瞬間、浮足立たないよう、一回手洗いに立って気を静める。

 これは単に、よろこんで浮ついた手を指さないよう、インターバルを入れるのみならず、残された方は自分の指した悪手と、一人対峙させられるという効果もある。

 将棋と言うのは不思議なもので、見落としポカは、このときの大内のよう指したその瞬間、まさに、駒から指が離れるか離れないか、というタイミングで、

 

 「あ!」

 

 となるものなのだ。

 そこで、待ってましたと目の前から消えられると、「やらかした」方からすれば、もう地獄の時間である。

 無人の対面から、こう突きつけられるのだ。

 

 「よく見ておけ。お前は今、取り返しのつかないヘマをやらかしたんだぞ」

 

 こんなことをされては、とてもその後を、まともな状態で戦えるわけもない。

 「反省タイム」なんて、軽い言葉では表現できないほどの、まさに拷問である。

 圧勝のはずの将棋を、持将棋で逃げられた大内は(棋譜はこちら)、再決戦となった第8局を落として、九分九厘手中に収めていたはずの名人位を逃す。

 この第8局はおかしな将棋で、子供のころ棋譜を並べたとき、素人目にも覇気が感じられなかった。 

 投了図もな形で、とても名人を決める一番とは、思えなかったのをおぼえている(棋譜はこちら)。

 

 

 第8局の投了図。大内が力を発揮できなかったのが、姿焼き状態の穴熊や、△31に取り残された銀などに見て取れる。

 

 

 それだけ、あの「▲71角」のショックが、尾を引いてしまったのだろう。

 大内自身の言葉によると、

 


 「なんか魔力につかれたというか、自分自身でも想像もつかない、どう理解していいか判らない現象が起きた。魂も何もない抜け殻が一手指したという感じだ。そして指した瞬間、ビシャーッという氷のような冷たい汗が出て我に返った」


 

 その後、大内は棋王獲得や、全日本プロトーナメント(今の朝日杯)で、中村修王将を破って優勝するなどすばらしい成績を残すが、名人戦には縁がなかった。

 ものの本によると、

 

 「これで大内は、自分は名人になれないと、運命を悟ってしまったのだ」

 

 みたいなことが書かれてたりして、本当に大内がそう思っていたのかはわからないが、この「運命」という考え方が、昭和の名人戦に大きくかかわっていたことは否めない。

 これが現代なら、大内は敗れたことに大きなショックを受けただろうが、それでもしばらくすれば持ち直し、もう一度名人戦に登場したのではあるまいか。

 そしてそのとき、ふたたびこのシリーズのような将棋を披露できれば、充分に「大内名人」の可能性はあったはず。

 現代で、豊島将之九段木村一基九段が失意の底から、はい上がったように。

 そうならなかったのは、やはりどこか周囲もファンも、なにより大内本人すらも、

 

 「名人は神様に選ばれた者だけがなれる」

 

 という無言の縛りに、とらわれていたからではないか。

 そう考えると、もったいないような、でもそれが将棋史の神秘性に寄与する「物語」としてはうまく機能しているような、なんとも複雑な気分になってしまうのである。

 

 (【63歳】大山康晴、最後の名人戦編に続く→こちら

 

 

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名人位は「選ばれる」のか「勝ち取る」のか 大内延介vs中原誠 1975年 第34期名人戦

2022年05月13日 | 将棋・ポカ ウッカリ トン死

 「名人は将棋の神様に選ばれた者だけがなれる」

 かつての将棋界には、そう言われていた時代が、たしかにあった。

 今でこそ「名人戦」というのは、八大タイトル戦の中では、

 「ちょっと、特別感のあるビッグタイトル」

 くらいの位置づけだが、昭和のころと言うのは、この認識とはくらべものにならないほどの、重み権威があった。

 それには、まず江戸時代から続く「名人」という存在の、歴史的価値がひとつ。
 
 もうひとつは、今の「実力制名人」の戦いの中で(かつての名人は「終身制」だった)、生まれることになった名人たちの希少価値にあった。

 1935年にはじまった実力制名人戦は「神様に選ばれた」と、だれもが認めた羽生善治1994年、名人になるまでの52回で、わずか8人しか名人を生み出してこなかった。

 

 木村義雄(8期)

 塚田正夫(2期)

 大山康晴(18期)

 升田幸三(2期)

 中原誠(13期)

 加藤一二三(1期)

 谷川浩司(4期)

 米長邦雄(1期)

 羽生善治

 

 しかも、木村義雄が8期、大山康晴が18期、中原誠が15期と、ほぼ8割を3人で独占

 その後、谷川は5期、羽生は9期まで在位年数を伸ばすが、升田の2期、加藤一二三と米長邦雄の1期は、その実力を考えれば少ない印象だし、そもそも取るまでに大変な苦労を強いられている。

 加藤一二三は20歳で名人挑戦という偉業を成し遂げ、升田は三冠王、米長は四冠王にまで輝いているが、名人戦では不遇をかこっているのだ。

 つまり、昭和の将棋界では、不動の名人になるには棋力以上に、

 「だれもが認めたナンバーワン、ただ一人のみ」

 しか就くことができないという、空気感が出来上がってしまい、これは棋士たちや、将棋ファンの「願望」と言い換えてもいいかもしれない。

 「名人」はそう簡単になれるものではない。神に選ばれた、本当に一握りの人のみが登れる頂点。

 それ以外の者は、努力し、悩み苦しみ、劣等感にさいなまれ、それでもはいずり戦い続けて、はじめて到達できるかもしれない。

 それくらい名人とは「特別」なのだという「同調圧力」に、多くの才能ある棋士たちが屈してきたのだ。

 あるトップ棋士は、自分が名人になれないと自覚してしまった夜、おでん屋で泣いたという。

 また別の棋士は、


 「3日でいいから名人になりたい。将棋をやめてもかまわない……」

 
 他のタイトル戦の主催者はいい顔をしないだろうし、私自身タイトル戦の序列とか割とどうでもいいとか思ってるタイプではある。

 けど、この「名人」を「棋聖」や「王座」に置き換えることはできないし、それは「序列1位」とされる「竜王」すら同様。

 棋士は「王位」になれないと慟哭しないし、「棋王」になれれば将棋をやめていいともならない。

 少なくとも、昭和の将棋界とは、そういうところだったのだ。

 こうして名人位とは、「神様に選ばれた」(と周囲から認められた)者にとって、もちろん当人なりの苦労はあろうが、わりとスムーズに若いころのチャンスを生かして安定期を築き、そうでないものは、もがき苦しむことになる。

 その説をさらに強固なものにした事件として、1975年の第34期名人戦があった。

 3連覇中だった中原誠名人(27歳)に挑戦したのは、これが名人戦初登場の大内延介八段(33歳)。

 戦前の予想では、中原が有利。

 中原はこのとき、長く棋界に君臨していた大山康晴から名人を奪うと(そのシリーズはこちら)、2年後のリベンジマッチにも勝利(その将棋はこちら)。

 名人をふくめて四冠(十段・王将・王位)を保持する大棋士となるが、そもそもが奨励会時代から

 

 「将棋の神に選ばれた者」

 

 との評価が揺るぎない男だった。しかも、大内には6連勝中。

 その実績と「神話」の前には、いかな勢いある大内といえども分が悪いと感じるのは当然で、中原が危ないと見ていたのは、作家の山口瞳さんくらいであったのだ。

 ところが、このシリーズで大内は、その「怒涛流」の剛腕を存分に発揮する。

 そのころは、まだ「邪道」と迫害されていた振り飛車穴熊を武器に、「若き太陽」と互角以上に戦う。

 ひとつ千日手をはさんで、3勝3敗のタイになり、勝負は最終局までもつれこむことに。

 そこで事件が起こった。

 大内の中飛車に、急戦策を挑んだ中原だったが、序盤に軽率な手が出て、早くも大きなリードを奪われてしまったのだ。

 

 

 

 △86歩、▲同歩、△同飛と、飛車先の歩を交換したところに▲75歩が、振り飛車党なら、ぜひ指におぼえさせておきたい機敏な手。

 △同歩には▲74歩と打って、△85桂と逃げると▲95角で飛車を取られてしまう。

 中原は△84飛と桂頭を守るが、やはり▲95角が好感触で、△81飛、▲74歩と気持ちいい取りこみ。

 後手は△65桂とする。

 

 

 

 これが封じ手の局面で、なんとここではすでに、先手が大優勢

 たしかに後手は桂の自爆ジャンプを余儀なくされ、先手からすれば、▲74の相性がバツグン。

 いいタイミングで▲82歩、△31飛、▲73歩成とでも突破すれば、後手は駒をボロボロ取られないよう、総退却するしかないではないか。

 実際、控室の検討陣も結論づけていた。

 


 「大内優勢、新名人誕生」


 

 中原自身も、のちの「運命の局面」については、存外そうでもなかったらしいが、ここに関しては、

 


 「封じ手の局面は、まいったと思いました」


 

 とにかく、どうやっても振り飛車勝ちという局面で、どれを選ぶかかえって迷うという、「うれしい悲鳴」が聞こえてきそうなほどなのだ。

 大内は慎重に読んで、▲65同桂と取り、△85飛、▲62角成、△同金、▲77桂打、△81飛、▲73歩成、△52金右、▲83歩と進める。

 

 

 

 角と銀桂の二枚替えなうえに、と金も作って、後手の飛車も封じこめて、自陣も固い。

 後手は次に△15歩と、定番の嫌がらせをしてくるが、これだって、どこかで左辺の厚みに逃げ出せば、この玉は寄りようがないという、まさに盤石の態勢だ。

 ところが、この局面から簡単には終わらないというのだから、将棋と言うのはむずかしいものであり、いにしえの名人が持つ「重み」もまた、恐ろしいのだ。

 

 (続く

 

 

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ゴールデンウィーク日記 スーパータイガー黄金作戦 チャットモンチー カルロス・アルカラス ディック・フランシス 長濱ねる スタンリー・キューブリック 登場

2022年05月10日 | 日記

 ■5月 某日 あるゴールデンウィークの日記

 
 朝8時起床。休日の起き時間としては奇蹟的に早い。

 ちょっと損した気分なのは、寝坊チャンスを一回フイにしたから、とか考える私は、きっと死ぬまで出世に縁がない。

 黄金の日々ということで、ちょっと贅沢に朝風呂。本当は銭湯に行きたいけど、混んでるだろうから家のせまいバスタブで我慢。

 ゆっくり湯につかりながら鼻歌を歌う。曲は『ギャランドゥ』。

 それもヒデキではなく、昔『ヤンタン』でダウンタウン松っちゃんがやってた、へたくそなモノマネ版。われながら、どういうチョイスなのか。

 風呂上がり、うちわであおぎながら濃いめのカルピス。極楽。起床後40分で、すでに仕上がっている模様。すばらしいスタートダッシュだ。

 朝食は紅茶にチョコクロワッサン、はちみつ入りのヨーグルト、ネーブルオレンジ、豆乳。

 BGMにGO!GO!7188『月と甲羅』。チャットモンチー『真夜中遊園地』。Peachy『スーパージェットシューズ』など。

 わが家では昔うさぎを飼っていたので、「あたしはピンクロックなうさぎになる」という歌詞を聴くたび、ほえーっとなる。うさぎはかわいい。うさなら、なおのこと。

 食べながらスマホをチェック。戦争のことは陰鬱になるので、スポーツを中心に。テニスのことなどあれこれ。

 カルロス・アルカラスの大爆発について、地元の先輩ダビド・フェレールがほめまくり。

 今期はリオに、マイアミバルセロナのビッグタイトルも獲得して、世界ランキングは9位。すげえなー。プレーも見たけど、こりゃ本物だ。今後に、期待大。

 現れるものがいれば、去る者もいるということで、35歳のケビン・アンダーソンが引退。

 ビッグサーバーで、派手さはない選手だったけど、ウィンブルドンUSオープンの準優勝はすばらしい戦績。こうしてまた、時代はめぐる。

 午前中は映画を観る。今日はスタンリー・キューブリックの『バリー・リンドン』。3回目くらい。

 スタンリーの中では比較的マイナーというか、長いこともあって賛否両論だけど、私は大好き。

 歴史ものでは、『スパルタカス』がイマイチだったんで、期待してなかったけど、これは大当たり。『博士の』『2001』『時計じかけ』あたりにも負けていない。

 絵がすばらしいし、世界史好きなので退屈と言われがちなストーリーも楽しめた。ダスティン・ホフマンの『小さな巨人』といい、うさんくさい人物の評伝が好きなのかも。

 なんとなく網戸をそうじして、昼食。

 オリーブオイルを熱して、ナス、唐辛子、アスパラガス、その他冷蔵庫のものをテキトーに放りこんで、トウバンジャンと炒める。

 そこに、ゆでたスパゲッティをイン。SF作家の田中啓文さんオススメの簡単スパ。

 食事のBGM代わりに、YouTubeで満州帝国を紹介する動画を見る。

 昭和レトロは楽しい。いーなー、満州帝国を観光したいなー、あじあ号乗りたいぞ。

 そこで殺人事件が起こって、名探偵である私が美人助手と、その謎を解決するのだとか妄想してしまうのが、ミスヲタのサガ。

 助手にはぜひ、長濱ねるさんでお願いします。たまたま見たNHKの「SDGs日記」って番組で、ポーっとなっちゃったよ。メチャクチャかわいかったなあ。

 午後からはコーヒーを飲みながら、ひたすら読書

 私は本さえあれば無限に時間をつぶせる人間なので、人生で退屈というのを味わったことがない。

 ルートヴィッヒ・リース『ドイツ歴史学者の天皇国家観』。
 
 明治時代、東京帝国大学で教鞭をとった、いわゆる「お雇い外国人」の著者が、当時の日本を政治的視点や、人物の評伝、庶民の風俗など様々な角度から描いたもの。

 一時期、われらがバックパッカーの大先輩、イザベラ・バード姐さんの影響で、明治大正の日本を「外国人視点」で書いた本をあれこれ読んだけど、これもその一冊。

 偏見などを極力抑えた、非常にクレバーな文章が並び、それだけでも読んでいて心地よいし、勉強になる。

 夕方は買い物がてら、少し散歩。近所の商店街でお祭りをやっていたので、少し冷やかす。

 子供のころ、祭というのは不思議な魅力があり、友達とたいして美味くもない焼きそばや、りんご飴を食べながらそぞろ歩いたものだが、そんな姿が妙にキラキラと、美化されて思い浮かぶ。イメージはレイ・ブラッドベリ

 子供のころに嫌な思い出とか、そんなにない割には「昔に戻りたい」とかあまり思わないタイプだけど、こういうとき少しだけ、気持ちがわからなくもない。

 もっとも、これは本当の昔ではなく、「のこの気持ち」で彩られたテーマパークのようなものに、戻りたいと錯覚してるだけなんだろうけど。

 きっと、映画とか撮る人って、こういうのがモチベーションになるんだろう。「幻想」に彩られた、本当には存在しない「現実」を再現する。

 存在しない「恋」、存在しない「家族」、存在しない「愛」、存在しない「正義」、存在しない「古き良き時代」……etc.

 夕食は海鮮丼

 スーパーで半額になった刺し身を買って、ご飯を炊いて、そこにわさびと、冷たいだし汁をたっぷり注いで、ノリふって、あとはぶわっさぶわっさとかきこむ。豪華なんだか、貧乏くさいんだか、よくわかんないや。

 食後はパソコンを開く。お茶しながら、YouTubeやラジオなど。

 山田五郎さんの美術講義。もともと美術音痴だったのが、「へー、絵っておもしろいんだなあ」と思わせてくれたのが、山田さんの『知識ゼロからの西洋絵画入門』。

 西洋の美術を、ロジックゴシップで読み解いていく山田さんの手法は興味深くも、実はそれが「正統派」な王道鑑賞法。マジで美術館に行きたくなる。

 寝る前に少し読書。ディック・フランシス『興奮』。

 夜寝る前に、オモシロ本を手に取ってしまうのは悪手なんだけど、ここでもやらかしてしまった。

 ミスヲタのくせに、「競馬シリーズ」は恥ずかしながら初めてなんだけど、いやもう、ストーリーはいいしキャラもシブいし、も読みやすいわで、文字通りの「興奮」でやめられない止まらない。

 やっちまったよと夜も更けるが、明日も休みなので問題なし。

 徹夜本に、なにはばかることなく、どっぷり浸れる幸せ。嗚呼、ゴールデンウィーク万歳! 終わらないでほしかったよ。

 

 

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伝説の▲96歩 中原誠vs大山康晴 1974年 第33期名人戦 第7局

2022年05月07日 | 将棋・好手 妙手

 「自分にとって本当にコワイ奴は下から来るんだ」


 

 そんなことを言ったのは、『ヒカルの碁』の倉田厚七段だった。

 

 

 

 

 かつて、渡辺明五段王座戦で、タイトル戦に初挑戦したときのこと。

 最終局で羽生善治王座が、詰みの場面で手が震えて駒が持てなくなるというハプニングがあった。

 

 

 2003年、第51期王座戦第5局。羽生善治四冠と渡辺明五段戦。

 渡辺にとっての初タイトル戦だが、挑戦者本人も認める「羽生有利」の評をくつがえして、2勝1敗とリードを奪う。

 そこから逆転され、初タイトルならずも大いに評価を上げ、その後の竜王獲得などのブレイクにつながった。

 最終盤、羽生の手が大きく震えて、1手指すのも苦労していたことや、頭金まで指した渡辺の無念など、語り継がれるシリーズとなった。 

 

 

 あのメンタル面でも弱さの見られない羽生ほどの男が、

 

 「下の者に抜かれる

 

 というピンチを味わったとき、体の制御が利かなくなるほど、追いつめられるのだ。

 それほどに、「コワイ奴」が王者を恐れさせるのは、自分もまた

 

 「上のものをブチ抜いてきた

 

 からに他ならない。

 そのときの「王者」の姿が、フラッシュバックするのだろうか。

 



 1974年の第33期名人戦は、中原誠名人に、大山康晴十段(今の「竜王」)が挑戦。

 大山といえば、つい数年前までは「無敵の名人」として棋界に君臨していた。

 1952年に名人を獲得してから5連覇

 その後、ライバル升田幸三に奪われるも、2年後に復位し、そこから13連覇

 その間、フルセットになったのすら2度しかないという、怒涛の勝ちっぷりで、

 

 「大山が強すぎて、おもしろくない」

 

 とまで言われるほど、圧倒的な存在であったのだ。

 そんな大山だったが、1972年の第31期名人戦で、24歳の中原誠相手に激戦の末失冠したところから、風向きが変わり出す(そのシリーズはこちら)。

 世は「中原時代」に舵を取りはじめるが、そこで黙っている大山ではなく、2年後にはA級順位戦を勝ち上がって挑戦権を獲得。

 

 「大山、カムバックなるか」

 

 ということで、これは2年前よりも、さらにファンの注目を集めたそうで、その期待通り、七番勝負はまたもフルセットにもつれこむ激戦に。

 最終局は、後手番の大山が三間飛車に振ると、中原は▲45歩早仕掛けで挑む。

 序盤の駒組で大山が損をしたせいで、中原優勢になるも、そこから決死のねばりで土俵を割らない。

 それでも形勢はなかなか好転しないが、中原にあせりも出て、雰囲気がアヤシクなってくる。

 むかえた、この局面。

 

 

 大山が△61香と打ったところ。

 局面は、まだ先手がいいようだが、圧倒的優勢だったのが、この局面になったことを考えると、精神的には中原も相当苦しいだろう。

 後手玉も固く、まだまだ長引きそうなところだが、次の1手が伝説的な名手だった。

 

 

 

 

 

 ▲96歩と突くのが、歴史に残る一手。

 といっても、これだけ見れば、なんのこっちゃ。

 たしかに「端玉には端歩」の格言通りで、玉のフトコロも広げてるけど、こんな悠長な手を選んでいていいの?

 もう、終盤戦に入るところなのに、敵玉は固いんだから、もっと攻める手をやりたいけどなあ。

 というのは、すべてごもっともで、たしかにこの手自体は次に、なにか鋭いねらいがあるわけでもない。

 だがむしろ、その「ない」ところが、すごいのだ。

 名人を決める一番で、大優勢の場面をここまで追い上げられて、その極限状態で、

 

 「次にねらいのない端歩で、相手に手を渡せる

 

 この落ち着きが、超人的なのだ。

 心身が押しつぶされそうなところ、それを受け止めて、飲みこんで、平静に心を整えることができた。

 

 「アンタがなにをやってこようと、オレは惑わされることなどないんだぞ」

 

 そう盤上で宣言したようなもの。

 その証拠に、後手から△54歩と催促されても、じっと▲43桂成

 

 

 

 これも、一見遅いようだが「あせってない」ことを示す手だから、後手は継続手がむずかしい。

 そもそも、不利だったり難解だったりする局面で、パスのような手を駆使して相手をゆさぶるのは、まさに大山自身の得意とするところ。

 それを、こうも見事にお株を奪われるとは、盤の前で歯噛みする思いだったのではあるまいか。

 現にその後、ねばってミスを誘うはずだった大山が、あせって逆に転んでしまう。

 技術のみならず、大山の土俵であったはずの駆け引き精神力でも上まられた形で、先崎学九段いわく、

 


 「この将棋に負けて、大山先生は名人に復位できないと覚悟したところもあったんじゃないかな」


 

 こうして「コワイ奴」にたたきのめされた大山は、しばらく名人戦の舞台に立てなくなり、中原の長い名人独占を、ゆるしてしまうこととなるのだ。

 

 (大内延介との名人戦に続く→こちら

 

 

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誇大への情熱 妄想『レディ・プレイヤー1』大発表会4

2022年05月04日 | オタク・サブカル

 前回(こちら)に続いて、『レディ・プレイヤー1』を自分流にアレンジする『妄想プレイヤー1』大座談会。

 

 ■登場人物

 

1.ベットウ君。通称「マリーエンケーファー」。

 後輩。戦隊ヒーローアニメマンガプロレスが得意ジャンル。

 中2病語録は「僕は30歳で死ぬ」。

 

2.ホンドウ君。通称「クーゲルシュライバー」

 ゲームバカ映画が得意ジャンル。

 中2病語録は、自己啓発セミナーの自己紹介で「将来の夢、世界征服」

 

3.ワカバヤシ君。通称「シュタウプザウガー」

 元関東人。オタクではなく、映画文学哲学などにくわしいインテリ

 中2病語録は「ボクには音楽が《見える》ことがある」

 

4.ドイガキ君。通称「キュールシュランク」

 洋楽猟奇系武道など、オタクというよりサブカルの人。美少年も好き。

 中2病語録は「生まれ変わったら凡人になりたい」

 

5.カネダ先輩。通称「ヴィンケルメッサー」

 SFミステリ映画ゲームなどが専門。

 中2病語録は「まったく、愚者を演じるのも一苦労だな」

 

6.私。通称「ゼーヴェーレ」。

 特撮SFミステリ映画あたりが専門。

 中2病語録は「将来はモナコに住むつもり。稼ぎすぎても、あそこなら税金が有利だから」

 

 

 

 ■その10

 大ボスの怪獣、あなたならなにを選ぶ?

 

 ベットウ「ミンスク仮面

 ホンドウ「ドルアーガ

 ワカバヤシ「ツチノコ

 ドイガキ「アンゴルモアの大王

 カネダ「クトゥルフ

 私「ジャンボキング

 

 ホンドウ「ノストラダムスは遠くなりにけり、か」

 ベットウ「でも、五島勉の本は今でも、再販されて、また売れてるらしいですよ」 

 ワカバヤシ「詐欺師とストーリーテラーって、紙一重なんだなあ」 

 「昔、オウム真理教の道場に行っとき、似たような話、死ぬほど聞かされたよ」

 カネダ「似たようなというか、五島勉が元ネタやから。てか、そんなとこ、行くなよ」

 「好奇心旺盛な友だちに、誘われたんです。オレの友達、変なヤツばっかや」

 ベットウ「ところで、ジャンボキングって、タイラントじゃないんスね」

 「タイラントは、ベタ中のベタやから」

 カネダ「ベタでもええやん。ジャンボキングって、ネーミングもすごいよな」

 ワカバヤシ「ジャンボキングって、なんかの怪獣?」

 ベットウ「あ、それは警察きますよ」

 「逮捕やな。【将棋を打つ】とか【潜水艦が沈む】と一緒やで。逮捕や。死刑な」

 ドイガキ「警察が処刑するって、どんな無法国家なんや」 

 「法で裁けん悪は、それ以上の【正義の暴力】で制圧するしかないんや」

 カネダ「ダーティハリーやな」

 ワカバヤシ「それ、ネットでヘイトや言葉狩りに、大暴れしてる人と同じな気もするけどなあ」

 ベットウ「でも、ジャンボキングは、顔がカウラっていうチョイスも、どうかしてますよね」

 「ふつうはガラン、バキシム、ドラゴリーやんな。ここ、デットンかどうか、迷ったけどな」

 カネダ「たしかに、着ぐるみヘタリ怪獣って萌えやなあ」

 ベットウ「再生エレキングとかね」  

 

 

 

 

  

 ■その11

 それに対抗するあなたメカヒーローは? 


 ベットウ「ジェットアローン宇宙刑事ギャバン

 ホンドウ「プロジェクトグリズリーのスーツとPL時代の清原和博

 ワカバヤシ「ゴルゴングオシシ仮面

 ドイガキ「ロボコンジャンボマックス

 カネダ「ジャイアント・ロボユン・ピョウ

 私「ジェノバジャンボーグA

 

 

 ベットウ「一番の見せ場やけど、案外むずかしい」

 「だって、原作と映画で、もう先に言われてるもん」 

 カネダ「ジェットジャガーとかレオパルドンを封じられたら、これはツラい」 

 ドイガキ「でも、さすがに、ジェノバは出えへんかった」

 「あの映画の主演は、杉作J太郎でやるべきやんな」

 ドイガキ「森崎ウィンより、竹内義和やろと。あ、主人公やなくて、ノーランが竹内アニキでもいいかも」

 「『サイキック青年団』聴いてると、そうなるわ」

 ベットウ「ヒーローも、自分が変身せなあかんと考えたら、変なん出せないんスよね」

 カネダ「バロム1とか、ダサいもんなあ。その意味では、プロジェクトグリズリーのスーツはいいな」

 ホンドウ「そうでしょ。バカっぽいけど、ちょっと着てみたいっていう」

 ワカバヤシ「ジェットアローンて何?」

 ベットウ「ほら、エヴァに出てきた炉心融解の」

 ホンドウ「めっちゃ、ガシャガシャ歩くやつな」

 「オレ、本放送のときにベットウにすすめられて見たエヴァが、よりにもよってこの回やってん」 

 カネダ「タイミング悪いなあ」

 「全然おもんないやん! ってなって、ちょっとケンカしたもんね」

 ベットウ「でも、再放送で見たら、おもしろかったでしょ?」

 「せやねん。だから、めぐり合わせってあるよな。人の出会いなんて、ちょっとのことで移ろいゆくのよ。だから、世界にはこういうスレ違いで出会えなかったカップルとか、一杯おるんやろうなあって、切なくなったわ」

 ワカバヤシ「なんだか、しんみりしてるけど、要はハズレ回見てキレただけの話でしょ(笑)」

 

 

 

 

 

 ■その12

 あなたにミッションを課す「ハリデー」の正体は?

 


 ベットウ君「宮内洋

 ホンドウ君「松岡修造

 ワカバヤシ君「マルクス・アウレリウス・アントニウス

 ドイガキ君「中島らも

 カネダ君「千石イエス

 私「安田均

 

 

 カネダ「宮内洋って、ハリデーと全然イメージ違うやん」

 私「明るいよなあ。てか、あの人やったらよそに頼らんと、自分でなんでも解決できそうや」

 ベットウ「それがええんですやん。『ジャッカー電撃隊』みたいに、ボーッとした主人公なんか、全然食ってほしい」

 ドイガキ「それもう、ちがう映画になってるやん」

 ワカバヤシ「松岡さんも、そうじゃないの?」

 「松岡さんは意外と陰あるから」

 ホンドウ「そうそう。ケガとか多くて、苦労人やし。センスが狂ってるだけで」

 私「ナンシー関が、松岡さんと長嶋一茂が同じって言うてたけど……」

 ホンドウ「全然違うって! 松岡さんはハリデーやけど……」

 「一茂はそうじゃないもんな。直美さん、違うよって。てかむしろ、ヤスキンさんも宮内洋側や」

 ベットウ「あの人も陽性ですもんね。でも、ボスに着いて行きたい気持ちはわかるッス」

 カネダ「『D&D』やって、『ロードス島』読んで、『ソード・ワールド』やって、SF読んでの世界やからな」

 ワカバヤシ「世代的に、らもさんはドンピシャだね」

 「ウチら世代のお笑い芸人が、みんなダウンタウンの影響受けたみたいに、文化系人間は、らもさん読んでる」

 ドイガキ「そう考えたら、これが【正解】かもしれへんね。それで言うたら、カネダ先輩は何?」

 カネダ「あれ? おぼえてない? イエスの方舟」

 ワカバヤシ「おぼえてますけどね。あの人出てきて、がんばってイースターエッグ探そうと思います?」

 カネダ「思うやろ。だって、クリアしたら【セックス教団】の教祖になれるんやで。死ぬ気で、がんばるっしょ!」

 全員「ああ! たしかに!」

 

 

 

   

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止められるか、俺たちを 妄想『レディ・プレイヤー1』大発表会3

2022年05月03日 | オタク・サブカル

 前回(こちら)に続いて、『レディ・プレイヤー1』を自分流にアレンジする『妄想プレイヤー1』大座談会。

 

 ■登場人物

 

 1.ベットウ君。

 後輩。戦隊ヒーローアニメマンガプロレスが得意ジャンル。

 ネットにあがる違法動画は、絶対に見ないというエライ人。ちゃんとお金を払うため、いつも金欠。

 

 2.ホンドウ君。

 ゲームバカ映画が得意ジャンル。

 女の子がいるお店で絶対に「チェンジ」をしないというポリシーがあり、「エロは一期一会」という名言(?)を残した。

 

3.ワカバヤシ君。

 元関東人。オタクではなく、映画文学哲学などにくわしいインテリ

 最近おもしろかった本はトマス・ピンチョン『重力の虹』。読むのはいいけど、ススメてこないで!

 

4.ドイガキ君。

 洋楽猟奇系武道など、オタクというよりサブカルの人。美少年も好き。

 夜中に泣きながら「さみしい……」と、友人に電話しまくるメンヘラさん。

 

5.カネダ先輩。

 SFミステリ映画ゲームなどが専門。

 昔、オリックスがチーム名を募集していたとき、考えて送ったのが「オリックス・ススメイチオクヒノタマズ」。

 

6.私。

 特撮SFミステリ映画あたりが専門。

 最近興味があることは、各国レーション(軍隊食)のメニュー。

 

 

 ■その7

 失恋相手にダンスを申し込む場面で舞台となる、映画と流れている音楽は?


 ベットウ「『ロケッティア』とSSTバンド

 ホンドウ「『シベリア超特急』と【閣下音頭】」

 ワカバヤシ「『小さな恋のメロディ』と【シンドバッドのぼうけん】」

 ドイガキ「『天井桟敷の人々』とセックス・ピストルズ

 カネダ「『時計じかけのオレンジ』とワンダバ

 私「『イントレランス』の古代バビロンとミッシェル・ガン・エレファント




 「『ロケッティア』あったなー。みんなで、映画館に観に行ったね」

 ベットウ「ボクとシャロンさんとカネダ先輩で、タダ券もらったから」

 カネダ「おもしろかったけど、見終わったあと、ひとつも頭に残ってない」

 「さいとう夫婦の『バックパッカーパラダイス』ってマンガによると、あれ南米で大ヒットしたんやて」

 カネダ「らしいね」

 「上映中も大盛り上がりやねんけど、でも最後にロケッティアが星条旗をバックに決めポーズ撮ったところで、一斉にシラケるっていう(笑)」

 ワカバヤシ「アメリカって、嫌われてるんだねえ」

 ドイガキ「あんま、言わんといてほしいけどなあ(←アメリカ留学経験あり)」

 「とかいいつつ、オマエ、フランス映画選んでるやんけ! アメリカ映画観ろや、この非国民!」

 ドイガキ「ボクとシャロン君は、映画の趣味が全然合えへんねん」

 「フェリーニにウッディ・アレンに、エリック・ロメール。はー、ちゃんちゃらおかしいで」

 カネダ「あー、イヤやな。ジム・ジャームッシュとか、そういうのやろ?」

 「そうそう、そういうのんですわ。ドアホ! オマエは『ロケッティア』を観ろ、バカ者!」

 カネダ「そうや。『デス・レース』も観ろ!」

 ホンドウ「『片腕カンフーと空飛ぶギロチン』もや!」

 ワカバヤシ「『悪魔の毒々おばさん』も、お忘れなく」

 ベットウ「『アカシア』を観ずして、アントンと映画を語ってほしくないっスね」

 ドイガキ「え? なんでオレ、こんなに責められてるの?」

 

 

 

 


 ■その8

 水晶の鍵ゲットのためにクリアしなければならないゲームは?


 ベットウ『マイケル・ジャクソンズ・ムーンウォーカー

 ホンドウ『イーガー皇帝の逆襲

 ワカバヤシ『ヘルメット

 ドイガキ『バルーンファイト

 カネダ『クルードバスター

 私『アイドル八犬伝

 

 カネダ「『マイケル・ジャクソン』は基本やなあ」

 ベットウ「いいっスよね。ボク、これきっかけでマイコーのCD買うようになったんで」

 ホンドウ「吉田戦車いわく《セガはこのゲームを作るために生まれてきた》」

 ワカバヤシ「ボク、ゲームはくわしくないんだけど、『クルードバスター』ってなに?」

 ベットウ「メガドライブのゲームっス」

 「ベットウとカネダ先輩は大のセガファンなのよ。その影響で、オレもメガドラはやったなあ」

 ベットウ「ソフトの貸し借り、したッスよね。『バトルゴルファー唯』とか」

 カネダ「でも、昔は変な縛りプレーとか、ようしてたよなー」

 ホンドウ「どんなゲームでも、絶対にレベルはマックスにしますよね」

 ベットウ「【魔法なし】クリアとか、基本でしょ」

 「『ラングリッサー』の一面で、イルザックだけで勝つまで延々ねばったり」

 ホンドウ「『ドラクエ3』は全員レベル99にして」

 「やってたねえ」

 ホンドウ「『ファイナルファンタジー4』も全員レベルマックスにして」

 「たいしたもんや」

 ホンドウ「で、シャロン君に、どっちもセーブデータ吹っ飛ばされてんなー」

 「【切腹】【死んでおわびする】っていう文化は、こういうときにあるんやなーと、しみじみ思ったね、あれは」

 ホンドウ「でも、セーブデーター消えても、1からやり直したり、元気やったなあ」

 ドイガキ「なんで、あんなにヒマやったんやろうね」

 カネダ「RTA動画とか見てたら、昔の自分を思い出すもん」

 「ワシらが言うのもなんやけど、その時間でデートとかバイトでもした方が、絶対いいけどね」

 ベットウ「でも、こっちの人生も、楽しいっしょ!」

 「うーん、それも否定できへんから、困りもんやねんなあ(苦笑)」

 

 

 

 

 

 

 ■その9

 劇中で使われる、あなたにとっての「手榴弾」は?

 


 ベットウ「コルトパイソン.357マグナム

 ホンドウ「ストームブリンガー

 ワカバヤシ「ボタンパンチ

 ドイガキ「オルゴン・エネルギー

 カネダ「ライトンR30爆弾

 私「バリツ

 

 

 ドイガキ「フロイト流にゆうたら、ここは大事やね」

 「パンツァーファウストとか」

 カネダ「カシナートの剣」

 ベットウ「メイプルリーフクラッチ」

 ワカバヤシ「秘剣電光丸」

 「てか、ワカバヤシはキルケウィルスやないんや」

 カネダ「『虹色定期便』な。あれくらいからか、NHKがオタク巣窟って知られだしたん」

 ベットウ「露骨にプロレスネタとかやってましたし。痛いなあ、思ってましたわ」

 「オルゴン・エネルギーって、なんやったっけ。ヴィルヘルム・ライヒか」

 ドイガキ「筋肉少女帯の『機械』聴いてたから、これやろと」

 ワカバヤシ「マッドサイエンティストって、なんであんな中2ゴコロをくすぐるんだろう」

 「そういや、カネダ先輩の友達に、趣味で爆弾作ってる人いましたよね」

 カネダ「なんか、近所の工事現場で爆発させたらしいけど、ちょっとした騒ぎになって」

 ベットウ「リアル昭慶爆発か。よう、捕まりませんでしたね」

 カネダ「他にも、自分は大阪のヤンキー100人をたばねる総長やって、ずっと嘘ついてた奴とか」

 ホンドウ「みんな、いろいろ、やらかしてるなあ」

 ドイガキ「若気の至りって、おそろしいよな」 

 「これ、昔から疑問やってんけど、ボタンパンチって、ミヒャエル・エンデの原作にあんのかな」

 カネダ「ないやろ。あったら、エンデは天才やで。てか、おまえ独文科出身やのに、読んでへんのか?」

 「うーん、なんかエンデは苦手なんです。心きれいな人が好きそうですやん」

 ホンドウ「シャロン君はヨゴレやもんな」

 「ボタンパンチないんかー、エンデ全然わかってへんやん。アイツ、たいしたことないな」

 ワカバヤシ「それ、どういう視点からのダメ出し?(笑)」

 

 

 

続く

 

 

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ドリュー・バリモアならこう言うね 妄想『レディ・プレイヤー1』大発表会2

2022年05月02日 | オタク・サブカル

 前回(こちら)に続いて、『レディ・プレイヤー1』を自分流にアレンジする『妄想プレイヤー1』大座談会。

 

 ■登場人物

 

 1.ベットウ君。

 この中では後輩。戦隊ヒーローアニメマンガプロレスが得意ジャンル。野球も好きだが、高校野球は大嫌い。24時間テレビもキライ。

 

 2.ホンドウ君。

 ゲームバカ映画が得意ジャンル。2002年のワールドカップでロシア戦の後、警備を強行突破して、2人で狂乱の道頓堀橋を見に行った思い出あり。

 

3.ワカバヤシ君。

 元関東人。オタクではなく、映画文学哲学などにくわしいインテリ。飲み会で西田幾多郎やヘーゲルについて語りだし、女子を置いてけぼりにする暴れん坊。

 

4.ドイガキ君。

 洋楽猟奇系武道など、オタクというよりサブカルの人。美少年も好き。酔うと電話越しにギターをかき鳴らしながら、自作のラブソングを熱唱するアレな人。

 

5.カネダ先輩。

 SFミステリ映画ゲームなどが専門。免許もないのに、やたらと車にくわしいが、本人曰く「モテるために暗記した」らしい。

 

6.私。

 特撮SFミステリ映画あたりが専門。ドラマ『ミニチュア作家』を録画しそこなって、このところ落ちこみ中。

 

 

 

 

 ■その4

 

 レースの邪魔をする2匹モンスターはなんですか?

 


 ベットウ「次藤洋早田誠

 ホンドウ「REX巨大松坂慶子

 ワカバヤシ「いじわるばあさん海原雄山

 ドイガキ「エド・ゲインアンソニー・パーキンス

 カネダ「トリフィドと『クレイジー・クライマー』のゴリラ」

 私「グエムルハングラー

 

 ベットウ「ここはふつう、怪獣ちゃいますのん?」

 ワカバヤシ「海原雄山は怪獣でしょ?」

 ホンドウ「まあ、味皇のほうは大阪城を壊してたけど」

 「当時はあれ破壊したいうたら、アンギラス、ゴモラ、味皇やもんな」

 ベットウ「じゃあ怪獣かー」

 ワカバヤシ「なんだか、ミルクボーイの漫才みたい」

 ドイガキ「この巨大松坂慶子って何?」

 ホンドウ「知らん? 『さくや妖怪伝』。安藤希がええのよ」

 「オレ、ホンドウにDVD借りて観たけど、衝撃やったなあ。あれは怪獣や。いい意味でのB級」

 カネダ「コイツ、『REX』といい『シベ超』といい、変な映画ばっかり観てるなあ」

 ドイガキ「『REX』は観たとき、みんな《これ、やってんなー》て思いましたよね」

 ワカバヤシ「なんでみんな、覚醒剤をカレーに入れるんだろうね」

 ホンドウ「味とか匂いを、ごまかせるからちゃう?」

 「『さくや』の巨大怪獣は今やったら、えみちゃんにやってもらうのがエエかも」

 ベットウ「【漫才で笑わせ、司会でうならせ、今度は演歌で泣かせます】、でしたっけ?」

 ワカバヤシ「最後は特撮で暴れます、か。これは、人気出そうだね」

 「YouTubeチャンネルで、やってほしいよね」

 

 

 

 

 

 

 

 ■その5

 あなたが戦うノーラン・ソレントの正体は?

 


 ベットウ「坂本金八

 ホンドウ「桔梗屋利兵衛

 ワカバヤシ「宮脇健

 ドイガキ「ゲーリー・オールドマン

 カネダ「金子信雄

 私「ウルトラ・スーパー・デラックスマン

 

 

 「坂本は大ボスの器かなあ」

 カネダ「やられキャラの方が似合いそう」

 ドイガキ「ヒドイこと言うてるなあ。オレは好きやけどな」

 ワカバヤシ「ボクもキライじゃないよ。ま、このメンツと相性が悪いのは、たしかかもしれないけど」

 ベットウ「山田洋二とかも、苦手なんスよねー」

 カネダ「なんとなくやけど、ファン層はカブってそうやな」

 「山田は『息子』とか『学校』とか、学校の課外授業で見さされて、全然刺さらんかったなあ。『小さいおうち』は良かったけど」

 ワカバヤシ「あれは、原作がウェットじゃないから」

 ドイガキ「逆に、ケンちゃんはモロに悪者キャラやな」

 ホンドウ「ドラマのスタッフ正座させて『キミとキミ、クビ』とか、おもしろ半分に切り捨ててたらしいやん」

 「素敵やなあ。マコーレ・カルキンやん」

 ドイガキ「好きな女の子に、どう告白したらええかわからんから、札束積んだっていう」

 「その理由が『それを見たら、両親が大喜びするから、彼女もそうかと思った』っていう」

 ホンドウ「すげえ、おもろい話やけど、切なすぎて笑えんわ」

 ベットウ「ボクはこういう悪役は、梶原一騎とか劇画のイメージなんスけど……」

 カネダ「スピルバーグは、そっちじゃないよな」

 ワカバヤシ「ティム・バートンもそうだけと、敵はスポーツマンのヤッピーだよね」

 「ティムの《ボクはスポーツマンが嫌いだ。彼らは笑いながら、ボクをドブにたたき落とした》ってセリフが、好きで好きで」

 ホンドウ「今思いついたけど、主人公のアバターを、つのだ版大山倍達にしてさあ」

 ワカバヤシ「はいはい」

 ホンドウ「敵のラスボスを、本物のマス大山にするってのはどう?」

 全員「それいいね!」

 

 

 

 

 

 

 

 ■その6 

 ノーランを助ける凄腕女秘書フレーナは?


 ベットウ「志穂美悦子

 ホンドウ「24周目のシルビア

 ワカバヤシ「茂森あゆみ

 ドイガキ「デミ・ムーア

 カネダ「ドリュー・バリモア

 私「クロエ・モレッツ

 

 ドイガキ「ここは全然、ヒロインと入れ替え可やもんな」

 ホンドウ「『バトル・ロワイヤル』の宮村優子とか」

 ワカバヤシ「『ふたりの王女』の姫川亜弓とか」

 「『東への道』のリリアン・ギッシュとか」

 ドイガキ「でも、ドリュー・バリモアとかクロエ・モレッツって、悪役のイメージないけどなあ」

 「あー、そんなん関係ない、ない。オレはただ、ヒットガールに蹴り殺されたいだけなんや」

 カネダ「オレはバリモアから、ヒップアタックやな」

 ワカバヤシ「お二人とも、人生楽しいでしょ。あ、これホメてないですよ」

 ベットウ「まあ、理想の死にざまではありますけどね。ボクは実写版の『鋼鉄天使くるみ』でお願いします」

 ドイガキ「そういや、シャロン君って、ドリュー・バリモアが主人公の小説か、お芝居を企画してなかったっけ」

 私「あー、あったなー。ドリューが男の様々な悩みを、結婚することによって解決していくヒューマンドラマ」

 カネダ「タイトルなんやったっけ」

 「たしか、《ドリュー・バリモアのアタイが結婚してあげる!》やったかな」

 ワカバヤシ「それ、ちょっと読みたいかも」

 ホンドウ「ドリューは悩めるダメ男と、気風よく結婚してくれる、メチャクチャいい女やねんな」

 ドイガキ「そういやここ、芦田愛菜ってどう?」

 「あー、それは、強敵やなー。勝てる気せえへんねえ」

 ワカバヤシ「完璧超人だから」

 ベットウ「ボクらなんか、あっという間に支配されそうですねー」

 「『パシフィック・リム』は最後、菊地凛子やなくて、愛菜ちゃんが戦ったらよかったのに」

 ドイガキ「愛菜ちゃんが負けたら、滅ぶ方も、あきらめつきそうやな」

 ベットウ「芦田愛菜はともかくとして、ボク、あの映画ダメですわー」

 「なんで? サイコーにゴキゲンな映画やん」

 ベットウ「だって、世界を救ってくれるのはええけど、その2人がつきあってたら、見てるほう冷めますやん」

 ワカバヤシ「それは別にいいでしょ(笑)」

 ドイガキ「ゴメン、オレ、学生時代に運動部のキャプテンで、女子部員とつきあって、全国目指してたわ。そういうこと?」

 ベットウ「それです、男子校出身のボクに土下座してください」

 ワカバヤシ「なんて、わかりやすいルサンチマンなんだ」

 カネダ「オレも、ちょっとシラケる派かも。まあ、愛菜ちゃんはしっかりしてるから、その辺、公私混同もせんやろ」

 ホンドウ「いやあ、ああいう子が不良とか好きになるのは、お約束でしょう」

 ワカバヤシ「みんな、あの子のなにを知ってるんだ(笑)」

 「オレが気になるのは、デミ・ムーアやな。『G.I.ジェーン』がすごいよね」

 ドイガキ「最高やろ」

 カネダ「あー、あれか。腕立てのシーンで、死ぬほど笑ったなあ。」

 私「あそこだけで、肉体改造に1億円かけた甲斐はあったよ。若者たちにも、観てほしい」

 ホンドウ「デミは大マジメで、やってたんやけどねえ」

 

 

 

 

 

続く

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オレにもっと語らせろ! 妄想『レディ・プレイヤー1』大発表会

2022年05月01日 | オタク・サブカル

 ゴールデンウィークである。

 長期休みは、積読になっていると、たまっている映画を消費する予定。

 完全にオフってるし、どうせ連休に人なんて来ないので、いつも以上にタレ流し記事になる模様。

 将棋にネタに関しては、これまでバラバラに書き散らかしていたのを、年表形式にまとめようかと画策中。

 地味な作業なんで、結構時間がかかりそうというか、ふつうに挫折しそうだけど、コツコツやっていきます。できるかなあ。

 ということで、連休脱力企画第一弾は、完全に身内ネタということで、『妄想レディ・プレイヤー1』のメイキング。

 これは、みんな大好き映画『レディ・プレイヤー1』の登場キャラクターを自分好みに置き換えて、「脳内上映」を楽しもうという貴族の遊び(詳細はこちら)。

 私はボーッとした人間なので、学校の先生やバイト先の仲間からよく

 

 「なにを考えてるのか、よくわからない」

 

 とか言われがちですが、まあ、だいたい、こういうことを考えているんです。

 

 ■登場人物

 

 1.ベットウ君。

 先輩を立ててくれる、いい後輩。戦隊ヒーローアニメマンガプロレスが得意ジャンルだが、プロレスの話をしてくれる人が少なくてさみしい。

 

 2.ホンドウ君。

 ゲームバカ映画が得意ジャンル。その独特の発想で「鬼才」と呼ばれることも。不思議なカリスマ性で、コミュ力爆高のモテ男

 

3.ワカバヤシ君。

 元関東人。オタクではなく、映画文学哲学などにくわしいインテリ。比較的常識人のようだが、深く付き合うと奇人だとわかってくる。

 

4.ドイガキ君。

 洋楽猟奇系武道など、オタクというよりサブカルの人。美少年も好き。

 

5.カネダ先輩。

 われわれを『D&D』『ソードワールド』など、TRPG沼(ここにいるのは、皆そのメンバーなのです)に引きずりこんだ戦犯。SFミステリ映画ゲームなどが専門。

 

6.私。

 特撮SFミステリ映画あたりが専門。アニメ、マンガ、ゲーム、プロレス、アイドルなど、王道オタク趣味には意外とウトいけど、そういう人の話を聞くのは大好き。

 

 


 ■その1

 あなたのアバターと、カーレースに参加する乗り物はなんですか?

 


 ベットウ「剛球超人イッキマンサイドマシン

 ホンドウ「サンソン大門軍団のスーパーマシン」

 ワカバヤシ「怪盗ジゴマローラースケート

 ドイガキ「サファイア王女ポケバイ

 カネダ「岸部シローの沙悟浄とジェットモグラ

 私「快獣ブースカ犬ホームズのベンツ」

 

 

 カネダ「これ、どの項目もそうやけど、答えって無いようなもんやよな」

 「無限に出てくるから、キリないんですよね」

 ベットウ「空飛ぶパトカー、ズバッカー、マシンドルフィン」

 ホンドウ「グラタンにメカブトン、ラリーX」

 カネダ「小松崎茂の架空SF戦車とか」

 ワカバヤシ「一堂零が乗ってた、ジャングラー号の自転車は欲しかったなあ」

 ベットウ「キーワードは【バカカッコイイ】でしょ」

 ホンドウ「わかる。監督やってなかったら、新庄剛志でもよかったもん」

 「たしかに、バカでカッコイイ。昭和のノリ」

 ベットウ「ヒーローものって、基本的にそういうところあるでしょ」

 ドイガキ「音楽でいえば、フレディ・マーキュリーとかかな」

 ワカバヤシ「小林旭とか」

 カネダ「ファッションが、中2病やったりするねん」

 ベットウ「グラサンかけてたり、スカーフまいてたり、背中にギター担いでたり」

 ホンドウ「それこそ、ビッグボスが似合うやん」

 「ちゅうか、『怪傑ズバット』リメイクするなら、ビッグボスで決まりやろ」

 ホンドウ「オレは昔から、『藤岡弘探検隊』を継ぐのは松岡修造しかないと思ってるで」

 ワカバヤシ「キミたち、ふだんから、そんなことばっかり考えてるんだね(笑)」

 

 


 


 ■その2 

 あなたが恋に落ちるヒロイン「アルテミス」のアバターは?

 


 ベットウ「雪子姫

 ホンドウ「真野妖子

 ワカバヤシ「日高のり子

 ドイガキ「バーバレラ

 カネダ「さびしんぼう

 私「森永奈緒美

 

 

 ベットウ「ここはノンとメッチャ迷いました!」

 「能年ちゃんやなくて、郷の方ね」

 ワカバヤシ「どっちにしても、気の強い女性が好きなんだね」

 カネダ「クールビューティーとツンデレ。難問やわな」

 ドイガキ「ボクはここ、宍戸留美でもよかった」

 ベットウ「エルピー・プルとか」

 ホンドウ「アクビ娘はすてきな子!」

 ワカバヤシ「仁藤優子」

 「谷本重美のおっこらせ日記」

 ドイガキ「カネダ先輩は、ホンマに昔から変わりませんねえ」

 ベットウ「学生のときから、ずーっと一択らしいですやん。あの伝説のセリフなんやったっけ?」

 「カネダさんが大富豪やとして、そこに、さびしんぼうがあらわれて」

 ホンドウ「『あなたの財産が欲しいから、遺言書いて、これ飲んで』って毒杯渡されたら……」

 ドイガキ「1ミリもためらわずに飲み干すってやつね」

 ワカバヤシ「ソクラテスみたいだなー。それ、今でも変わらないんですか?」

 カネダ「変わらんね」

 全員「スゲー!」

 

 

 


 ■その3

 心ゆるせる相棒「エイチ」のアバターは?

 

 ベットウ「レンタヒーロー

 ホンドウ「ジェイガン

 ワカバヤシ「ノッポさん

 ドイガキ「野村義男

 カネダ「Aチームのコング

 私「岸田森

 

 

 ドイガキ「濃いメンバーやなあ(笑)。中身、女の子やのに」

 「プレーヤーが女子なら萌えるっていう視点やと、レンタヒーローかな」

 カネダ「メトロイドみたいにか。あれはシャレてたな」

 ベットウ「なんなんでしょうね、あの男が着てると思いこんでたバトルスーツから、美人が出てきたときの衝撃度」

 ホンドウ「それこそ、【メトロイド現象】とか、名前ついてるんちゃう?」

 「ジェイガンの正体が美女って、メチャクチャええわ。最高!」

 ホンドウ「まあ、シャロン君もオレも『ファイアーエムブレム』に人生捧げてるから」

 ワカバヤシ「あ、シンプルに、ミギーっていうのもあったかも」

 ドイガキ「ねずみ男とか」

 ベットウイガラシ慎二なんてどうッスか?」

 カネダ「ところで、岸田森って、坂田モータースとSRIのどっち?」

 「それは決められへんから、あえてボカしてるんです。いやー、どっちもええなー」

 カネダ「『怪奇』のほうやったら、その子、メンヘラなんちゃう?」

 ベットウ「狂気人間やったりして」

 ワカバヤシ「『蘇る金狼』だったら、イヤだよねえ」

 

 

 

 

 (続く

 

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