みう と 青

みうと青の共同ブログ。
知ってる人には言えないけど、知らない誰かの通り過ぎる場所で呟きたい独り言があるのです。

サウルの息子@HTC有楽町

2016年01月27日 23時31分20秒 | みう・映画とか本とか音楽とか
こんばんにゃ

「サウルの息子」見てきた。
ゾンダーコマンドという存在を初めて知った。

アウシュビッツのホロコーストって、ドイツ人がやっていると思ってたけど、実際には自分達の手を汚したくないナチが一部のユダヤ人に、その他大勢のユダヤ人をガス室に入れさせて、死体は燃やさせて、灰を川に流させていたんだと。
(ちなみに、ユダヤ教では死体は生きてた時の姿のまま葬らないと復活できないそうで、燃やすなんてありえないことなのだそう)

そして、ホロコーストの証拠を残したくないナチは、生き証人を残さないために、ゾンダーコマンド達も数ヶ月働かせたら殺してたそう。

そのゾンダーコマンド達が必死で残した記録(写真やメモを瓶に詰めて埋めたり)をもとに作られてる映画。

ちなみにハンガリー映画です。
ハンガリーは当時、ナチに協力していた国だそう。
んで、監督はハンガリー生まれパリ育ちのユダヤ人で、母方の祖父母はアウシュビッツで亡くなったのだそう。

テーマも背景もこれ以上ないほど重い。

同胞を殺し、同胞の死体を最も尊厳のない方法で処理し、最後は自分もそうなる事が決まっているゾンダーコマンドのサウルを主人公に、「逃走中」みたいなカメラワーク、長回しメイン、見たくないものを見る時みたいな背景ぼかし、音は逆にやたら鮮明…という演出で、ドキュメンタリーとも違う異様な臨場感。

物語はある意味、切り取って貼り付けただけとも言えるような作りで、キーとなる謎にもハッキリとした説明はされないし、因果応報とか伏線回収的な「流れ」とか「まとまり」とは無縁。
ゆえに、いわゆる戦争映画らしいカタルシスは全く無い。
「これ見せられてどーしろと?」ってくらい。
だけどグイグイ引き込まれる。

エンドロールが始まって最初に思ったのは「泣くもんか。泣いてスッキリなんかするもんか」ってこと。
そもそも感動的な映画ではないけど「感動してる場合じゃない」って思った。

見た後は友達と小洒落たカフェで語り合ったりなんぞせず、衝撃にやられて、ずっと一人で抱えっぱなしにするのがお似合いな映画かなと思うんだにゃあ