読書日和

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「ラッシュライフ」伊坂幸太郎

2008-03-12 19:45:14 | 小説
今回ご紹介するのは、「ラッシュライフ」(著:伊坂幸太郎)です。

-----内容-----
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。
父に自殺された青年は神に憧れる
女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。
職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。
幕間には歩くバラバラ死体登場―。
並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。
不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。
巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

-----感想-----
「並走する四つの物語、交錯する十以上の人生」とあるように、ラッシュライフではたくさんの人物が登場します。
その人たちにはそれぞれの物語があります。
中心となるのは内容の欄の四つの物語。
これらの物語はそれぞれ関係がないように見えて、意外なところでリンクしたりします。
例えば、「泥棒を生業とする男」がとあるマンションの一室にいるとき、「父に自殺された青年」が隣の部屋にいたり。
四つの物語はほぼ同じ時間軸で動いているので、誰かが何かしているとき、同じ時間に別の誰かは別の場所で何かしています。
それが、あるとき、別々だった物語同士が交錯します。
この交錯の仕方が上手いなあと思います
伊坂幸太郎さんだからこそ出来る芸当ではないでしょうか。
交錯したとき、世間話をしたり喧嘩になったりして、そこで新たな展開が生まれます。
ほんと、伊坂幸太郎さんてすごいと思います。
物語の先が読めませんね。
今回も「重力ピエロ」のときと同じく、ある程度までは展開を読めても、その後の以外な展開に驚きました。
特に、「泥棒を生業とする男・黒澤」と、黒澤の学生時代の同級生・佐々岡とのエピソードが印象に残っています。
二重・三重に張られた伏線にまんまと騙されました(笑)
最初に伏線が明らかになって、「何だそういうことか」と納得したのもつかの間、さらなる伏線が隠れていました。
これはほんとに読んでいて「すごい!」と思いました
この佐々岡という人、「女性カウンセラー」の物語にも関わっています。
また、佐々岡と話したことによって、黒澤と「女性カウンセラー」にも少しだけつながりが出てきます。
そんな感じで、物語同士が少しずつリンクしています。

伊坂幸太郎さんといえば、作品同士のリンクも有名ですね。
今回も、他の伊坂作品とのリンクがありました。
「重力ピエロ」で登場した探偵の黒澤が、実はラッシュライフの泥棒・黒澤だったり。
「チルドレン」の銀行強盗事件がラッシュライフの中でも登場したり。
こういうのって面白いなと思います
「チルドレン」の物語が進んでいるのと同じ時間に、すぐ近くで「ラッシュライフ」の物語が進んでいるということですからね。
人生いろいろという感じがして面白いです。
他にもリンクがあったようですが、まだ読んでいない伊坂作品とのリンクだったようです。
なので、他の作品も自然と読みたくなっていきます。
全部読めば、壮大な世界が見えてきそうですね
次は「死神の精度」を読んでみようと思います。

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