今回ご紹介するのは「ゴールデンスランバー」(著:伊坂幸太郎)です。
-----内容-----
仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。
昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。
訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」
「金田はパレード中に暗殺される」
「逃げろ!オズワルドにされるぞ」
と、鬼気迫る調子で訴えた。
と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた―。
首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?
精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界、伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成。
第5回本屋大賞受賞作。
-----感想-----
これは本当に伊坂作品の集大成のように思いました。
今まで読んだ伊坂作品の中で一番面白かったです
首相がパレード中に暗殺されるという、衝撃的な事件が起こります。
そして国家的陰謀によりその事件の犯人に仕立て上げられてしまったのが、青柳雅春です。
事件の直後、謀ったかのように青柳雅春と森田森吾の前に現れる警官たち。
さらに、最初から拳銃を構えているという異常事態。
必死に逃げる青柳雅春に、警官たちはためらうことなく発砲してくる。
最初から殺そうとしているかのような状況です。
事件初日は何とか逃げきった青柳雅春ですが、次の日になると、状況が一変します。
警察が「犯人は青柳雅春」と発表し、テレビでも特集が組まれて放送されています。
これで完全に一般市民にも「犯人は青柳雅春」と印象づけられてしまいました。
さらに、青柳雅春を陥れるための情報が次々と放送されました。
見に覚えのない店で食事をしている姿がカメラに映っていたり、同じく見に覚えのないラジコン屋でラジコンヘリを買っている姿が映っていました。
これらは全て、青柳雅春にとって都合の悪い、事件の犯人と疑われてしまうようなことばかりです。
さらに、警察が発砲したことも、「青柳雅春が発砲した」と放送されていました。
警察は全ては青柳雅春の仕業ということにしたいようです。
とてつもなく巨大な、実体の見えない何かに陥れられている状況です。
金田首相の暗殺を企てた人たちは、相当な準備をしていました。
それは昨日今日の話ではなく、ずっと前から計画されていたようです。
青柳雅春そっくりに整形した偽者を用意し、その偽者を使って事件の犯人と疑われそうな行動をさせ、それを防犯カメラに写す。
そして事件が起きたら、それら防犯カメラの映像を次々とテレビに流す。
これでは、「犯人は俺じゃない」と言っても、誰も聞き入れてはくれません。
助かる道はただ一つ、逃げること。
警察は最初から、青柳雅春に余計なことを喋られる前に口封じしてしまおうと考えています。
見つかれば、問答無用で射殺される可能性が高いです。
本来こんな捜査は違法もいいところなのですが、この事件に対し警察は極度に強硬な姿勢を見せています。
何かを、闇に葬ろうとしています。
それはやはり、この事件の真犯人のことなのでしょう。
政治的な陰謀、それどころか国家的な陰謀、警察がこの陰謀に協力していることから見ても、とてつもなく大きな権力が動いているのだと思います。
本来市民を守るべき警察が、事件の真犯人を守り何の罪もない市民たちを傷つけるという矛盾した状況。
青柳雅春が逃げる中で、多くの一般市民たちが警察によって危害を加えられました。
青柳雅春の学生時代の友達たちも、警察によって厳しいマークを受けます。
暴行を受け重症を負った人もいました。
恐ろしいことに、それらも全て「青柳雅春の仕業」とされてしまいます。
果たしてこんな状況下で、青柳雅春は逃げ切ることができるのでしょうか…
500ページに及ぶ長編で、息つく暇もない展開が続きます。
そして今作でも、伊坂幸太郎さんの作風は健在でした。
時間軸が進んだり戻ったり、意外な人物同士が思わぬところでつながったり、あっと驚くような仕掛けがたくさんありました
直木賞を辞退したことでも話題になったこの作品、内容は直木賞に十分相応しいと思いました。
伊坂さんは、「落ち着いて作品を書きたい」ということで、辞退したようです。
色々と事情もあるのでしょうし、伊坂さんが決めたことなのだから、それで良いのではと思います。
久しぶりに図書レビューを書けて、良かったです
記事も、気合が入ったものを作ることが出来ました。
男性作家では伊坂幸太郎さん、女性作家では三浦しをんさんのレビュー記事を書くときが、一番気合が入ります。
ゴールデンスランバー、興味を持たれた方は読んでみてください
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
-----内容-----
仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。
昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。
訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」
「金田はパレード中に暗殺される」
「逃げろ!オズワルドにされるぞ」
と、鬼気迫る調子で訴えた。
と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた―。
首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?
精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界、伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成。
第5回本屋大賞受賞作。
-----感想-----
これは本当に伊坂作品の集大成のように思いました。
今まで読んだ伊坂作品の中で一番面白かったです

首相がパレード中に暗殺されるという、衝撃的な事件が起こります。
そして国家的陰謀によりその事件の犯人に仕立て上げられてしまったのが、青柳雅春です。
事件の直後、謀ったかのように青柳雅春と森田森吾の前に現れる警官たち。
さらに、最初から拳銃を構えているという異常事態。
必死に逃げる青柳雅春に、警官たちはためらうことなく発砲してくる。
最初から殺そうとしているかのような状況です。
事件初日は何とか逃げきった青柳雅春ですが、次の日になると、状況が一変します。
警察が「犯人は青柳雅春」と発表し、テレビでも特集が組まれて放送されています。
これで完全に一般市民にも「犯人は青柳雅春」と印象づけられてしまいました。
さらに、青柳雅春を陥れるための情報が次々と放送されました。
見に覚えのない店で食事をしている姿がカメラに映っていたり、同じく見に覚えのないラジコン屋でラジコンヘリを買っている姿が映っていました。
これらは全て、青柳雅春にとって都合の悪い、事件の犯人と疑われてしまうようなことばかりです。
さらに、警察が発砲したことも、「青柳雅春が発砲した」と放送されていました。
警察は全ては青柳雅春の仕業ということにしたいようです。
とてつもなく巨大な、実体の見えない何かに陥れられている状況です。
金田首相の暗殺を企てた人たちは、相当な準備をしていました。
それは昨日今日の話ではなく、ずっと前から計画されていたようです。
青柳雅春そっくりに整形した偽者を用意し、その偽者を使って事件の犯人と疑われそうな行動をさせ、それを防犯カメラに写す。
そして事件が起きたら、それら防犯カメラの映像を次々とテレビに流す。
これでは、「犯人は俺じゃない」と言っても、誰も聞き入れてはくれません。
助かる道はただ一つ、逃げること。
警察は最初から、青柳雅春に余計なことを喋られる前に口封じしてしまおうと考えています。
見つかれば、問答無用で射殺される可能性が高いです。
本来こんな捜査は違法もいいところなのですが、この事件に対し警察は極度に強硬な姿勢を見せています。
何かを、闇に葬ろうとしています。
それはやはり、この事件の真犯人のことなのでしょう。
政治的な陰謀、それどころか国家的な陰謀、警察がこの陰謀に協力していることから見ても、とてつもなく大きな権力が動いているのだと思います。
本来市民を守るべき警察が、事件の真犯人を守り何の罪もない市民たちを傷つけるという矛盾した状況。
青柳雅春が逃げる中で、多くの一般市民たちが警察によって危害を加えられました。
青柳雅春の学生時代の友達たちも、警察によって厳しいマークを受けます。
暴行を受け重症を負った人もいました。
恐ろしいことに、それらも全て「青柳雅春の仕業」とされてしまいます。
果たしてこんな状況下で、青柳雅春は逃げ切ることができるのでしょうか…
500ページに及ぶ長編で、息つく暇もない展開が続きます。
そして今作でも、伊坂幸太郎さんの作風は健在でした。
時間軸が進んだり戻ったり、意外な人物同士が思わぬところでつながったり、あっと驚くような仕掛けがたくさんありました
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直木賞を辞退したことでも話題になったこの作品、内容は直木賞に十分相応しいと思いました。
伊坂さんは、「落ち着いて作品を書きたい」ということで、辞退したようです。
色々と事情もあるのでしょうし、伊坂さんが決めたことなのだから、それで良いのではと思います。
久しぶりに図書レビューを書けて、良かったです
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記事も、気合が入ったものを作ることが出来ました。
男性作家では伊坂幸太郎さん、女性作家では三浦しをんさんのレビュー記事を書くときが、一番気合が入ります。
ゴールデンスランバー、興味を持たれた方は読んでみてください
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※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。