「現在」があるのは「過去」があるから。かつての政治の舞台裏があぶり出されたとき、いま見える風景の印象は、まったく違ったものになる。場合によっては、「現在」に大きなインパクトを与える
▼1954年の第五福竜丸事件後、米国が日本人の反核・反米感情を抑えるため、原子力技術協力を加速させた過程が明らかになった(24日付本紙)。唯一の被爆国が原発を受け入れた源泉とも言えそうだ
▼国務省の文書には、日本人は核に「無知」で、技術協力こそが「最善の治療法」と記されているという。原子爆弾を二発も落とした記憶などすっかり忘れてしまったような大国の高慢。まぎれもない日本への「無知」な態度が浮かぶ
▼「最善の治療」によって発展した原子力政策は、大震災で大きく揺らいでいる。新たな被ばくの恐怖という「副作用」に脅(おび)える日本。元をたどれば米国の協力があったわけだ。原発を推進した政治家や研究者は米国の真意をどう受け止めるのだろう
▼国務省の文書は、思い起こせばケビン・メア氏の「ゆすり」発言の源流とも言えないか。日本や沖縄への変わらぬ蔑みや偏見がいまなお脈々と流れているように映る
▼日米の間で見え隠れする信頼と疑心。「過去」に照らしてみれば、「トモダチ」の輪郭はかすみがちだ。(平良哲)
▼1954年の第五福竜丸事件後、米国が日本人の反核・反米感情を抑えるため、原子力技術協力を加速させた過程が明らかになった(24日付本紙)。唯一の被爆国が原発を受け入れた源泉とも言えそうだ
▼国務省の文書には、日本人は核に「無知」で、技術協力こそが「最善の治療法」と記されているという。原子爆弾を二発も落とした記憶などすっかり忘れてしまったような大国の高慢。まぎれもない日本への「無知」な態度が浮かぶ
▼「最善の治療」によって発展した原子力政策は、大震災で大きく揺らいでいる。新たな被ばくの恐怖という「副作用」に脅(おび)える日本。元をたどれば米国の協力があったわけだ。原発を推進した政治家や研究者は米国の真意をどう受け止めるのだろう
▼国務省の文書は、思い起こせばケビン・メア氏の「ゆすり」発言の源流とも言えないか。日本や沖縄への変わらぬ蔑みや偏見がいまなお脈々と流れているように映る
▼日米の間で見え隠れする信頼と疑心。「過去」に照らしてみれば、「トモダチ」の輪郭はかすみがちだ。(平良哲)