3月6日(木)大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生が、「先生あの患者さんが実は」と教えてくれた。
現在50歳代前半の女性が、4年前から継続するひどい咳で呼吸器外来に通院していた。喘鳴は聴取されず、自覚もなかった。咳喘息としかいいようがないが、気管支喘息の治療をしても難治だった。
何度かの入院の最初のころに、入院を依頼されて数回担当した。(その後の入院は別の内科の先生が担当)気管支喘息重積発作に準じてステロイド全身投与で治療すると症状は軽減したが、漸減すると症状が再燃してきた。長い入院は希望されないので、症状が軽減してステロイドをある程度漸減したところで、外来にお返ししていた。
治療は難治性喘息と同様になり、ICS/LABAとLAMAの吸入を行い、ステロイド点滴静注や内服の屯用も頻回に行われていた。
昨年から両手のPIP関節を主とした多発関節炎が出現して、整形外科の外来にも通院するようになった。関節リウマチのマーカーは陰性だったが、リウマチ膠原病外来(大学病院から月2回)に紹介された。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)が疑われて膠原病の検査が行われたが、ANCAは陰性だった。MPO-ANCAはEGPAの70%で陽性なので、陰性でも否定はできない。(呼吸器外来でも以前に疑われて提出されたが陰性だった)
さらに四肢のしびれが生じるようになった。脳神経内科外来(大学病院から週1回)に紹介されて、多発性単神経炎と診断された。
ステロイド投与で関節痛としびれが軽快することもわかり、臨床的に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)となった。大学病院に入院して生物学的製剤メポリズマブが導入されるそうだ。
週1回や隔週1回でも大学病院から専門医に来ていただくのは、大変助かるのだった。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、気管支喘息・好酸球増加が先行して、その後に血管炎症候群(発熱、関節炎、多発単神経炎など)が出現する。MPO-ANCAが陽性になる(ANCA関連血管炎)。わかってしまうと、経過はまあまあ合っていたことになるが。