なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

2025年03月08日 | リウマチ膠原病

 3月6日(木)大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生が、「先生あの患者さんが実は」と教えてくれた。

 

 現在50歳代前半の女性が、4年前から継続するひどい咳で呼吸器外来に通院していた。喘鳴は聴取されず、自覚もなかった。咳喘息としかいいようがないが、気管支喘息の治療をしても難治だった。 

 何度かの入院の最初のころに、入院を依頼されて数回担当した。(その後の入院は別の内科の先生が担当)気管支喘息重積発作に準じてステロイド全身投与で治療すると症状は軽減したが、漸減すると症状が再燃してきた。長い入院は希望されないので、症状が軽減してステロイドをある程度漸減したところで、外来にお返ししていた。

 治療は難治性喘息と同様になり、ICS/LABAとLAMAの吸入を行い、ステロイド点滴静注や内服の屯用も頻回に行われていた。

  

 昨年から両手のPIP関節を主とした多発関節炎が出現して、整形外科の外来にも通院するようになった。関節リウマチのマーカーは陰性だったが、リウマチ膠原病外来(大学病院から月2回)に紹介された。

 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)が疑われて膠原病の検査が行われたが、ANCAは陰性だった。MPO-ANCAはEGPAの70%で陽性なので、陰性でも否定はできない。(呼吸器外来でも以前に疑われて提出されたが陰性だった)

 さらに四肢のしびれが生じるようになった。脳神経内科外来(大学病院から週1回)に紹介されて、多発性単神経炎と診断された。

 ステロイド投与で関節痛としびれが軽快することもわかり、臨床的に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)となった。大学病院に入院して生物学的製剤メポリズマブが導入されるそうだ。

 週1回や隔週1回でも大学病院から専門医に来ていただくのは、大変助かるのだった。

 

 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、気管支喘息・好酸球増加が先行して、その後に血管炎症候群(発熱、関節炎、多発単神経炎など)が出現する。MPO-ANCAが陽性になる(ANCA関連血管炎)。わかってしまうと、経過はまあまあ合っていたことになるが。

 

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膵神経内分泌腫瘍

2025年03月06日 | 消化器疾患

 3月5日(水)に内科再来を受診した60歳代後半の女性は、糖尿病・高血圧症・高脂血症で通院している。話好きでいつも家庭の事情などを勢いよく話してくれる。

 ふだんも家族をするが、その日は夫の病気の話だった。夫が健診で膵臓に腫瘍を指摘されたそうだ。近くの病院(PET-CTを持っている)で検査をして、そこからがんセンターに紹介された。

 膵神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)と診断されて、手術を受けることになった。悪性と良性の中間と説明されていた。(術式は膵頭十二指腸切除術)

 

 長年夫は他県に単身赴任していて、週末だけ帰って来る生活をしていた。夫が定年になってずっと家にいるとストレスだといっていた。娘の夫が気に入っているようで、それに比べてといういい方だが、いわゆる愚痴で仲が悪いというわけでない。

 

 膵神経内分泌腫瘍は以前CTの放射線科読影でそれ疑いとされた患者さんがいて、消化器科の若い先生に相談されたことがある。「がんセンターか大学病院に紹介」といっただけだが。

 症状はないようなので非機能性NETなのかなあとか、画像診断だけなのかEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)もしたのかなあ、などと思いながら伺っていた。(専門医の世界で一生縁がない病気と思っている)

 正確な組織診断によって方針が決まるが、手術でとれない時(血管浸潤疑い)は生検だけする、ともいわれていた。

 

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ヘモクロマトーシス

2025年03月04日 | 消化器疾患

 3月3日に消化器病センターのある専門病院から50歳代後半の男性が紹介されてきた。もともと当院の消化器科で先方の病院に紹介した患者さんだった。

 2024年6月に右側腹部痛で当院の内科外来を受診した。上行結腸憩室炎だった。入院は希望せず、外来で連日抗菌薬の点滴静注が行われて軽快治癒した。

 CTで肝脾腫が指摘されていたことと、肝機能障害があり(AST 50・ALT 66・ALP 86・GTP 99・LDH 158)、消化器科に紹介となった。

 アルコール摂取やB型・C型肝炎はなく、抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体は陰性だった。初診時に血清フェリチンも測定していて、4462と著明な高値だった(再検で9522まで上昇)。

 それらのことからヘモクロマトーシスを疑っていた。地域の基幹病院消化器内科は肝臓専門医の退職後の新任がまだなく、肝疾患の精査は受けていない。肝臓内科のある専門病院へ紹介していた。(大学病院でもよかったと思う)

 肝生検でヘモクロマトーシス・肝硬変と診断されて、月1回の瀉血が始まった。しかし血清鉄・血清フェリチンの改善が十分ではなく、瀉血回数を2週間に1回に増やすことにしたそうだ。

 そうなると先方の病院への通院が大変ということで(病院での手間もあるか)、当院に瀉血の依頼が来た。紹介した消化器科医は2月に急逝されたので、当方に診察依頼がきたという経緯だった。

 中央処置室で瀉血(1回500mL)に対応できるか確認した。瀉血の経験のある看護師はいなかったが、臨床工学士(ME)で経験のある方がいて、対応してくれることになった。瀉血1回500mLは15~20分で行われて、バイタルの変化は特になかった。

 ヘモクロマトーシスは有名な疾患だが、それを診たり瀉血をすることになるとは、思ってもみないことだった。

 

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叔母の葬儀

2025年03月02日 | 呼吸器疾患

 24日(火)に叔母が亡くなったと、妹から連絡がきた。母親の妹に当たり、母親は4姉妹でこの叔母が一番下だった。

 親戚でも近しい人たちは限られている。この叔母夫婦には子供の時から会うことが多かった。叔母は明るい性格で、さらにその夫は輪をかけて明るい人懐こい方で、親戚の集まりでも場を盛り上げる係だった。

 転倒して脊椎(おそらく腰椎)圧迫骨折を来して、近くの病院に入院したそうだ。そのから誤嚥性肺炎を起こすようになり、最終的には経口摂取ができずに点滴だけになっていたそうだ。

 入院した病院を訊くと、当方の大学の同級生が院長をしている同族病院だった(3兄弟が医師で科目がそれぞれ違う)。狭い業界なので、何かしら知っている人がいたりするものだ。

 自宅近くの有名な(店舗数が多い)葬儀社で通夜・告別式が行われた。高齢になると、関係のあった親戚・知人も少なくなっている。告別式は外来のない日だったで休みをとって、妹(当方の)といっしょに出かけた。叔母の息子娘とその子供たち(孫)以外の列席者は少なかった。

 ひとり暮らしになってしまう叔母の夫も、歩行器で歩いていた。娘(いとこ)が頻回に実家に行って世話をしていたそうだ。

 

 叔母の夫はかつての国鉄職員で、仕事に行くときは「役所に行く」という言い方をしていた。職場の旅行で、叔母がバスガイドをしているバスに乗ったのがきっかけで、見初めて仲良くなった。夫の実家からは結婚を反対されて、長男だったが家を継がなかった。

 当方の車でいっしょに行った妹は午後から仕事があったので、出棺までいて失礼した。今どきは棺に家族や列席者で花を敷き詰めるのだった。(釘打ちは今はないそうだ)

 

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低ナトリウム血症

2025年02月28日 | 水電解質・輸液

 2月25日(火曜)に70歳代半ばの男性が家族に連れられて受診した。以前から尿をもらすことはあったらしいが、それがひどくなった。また会話の内容が変で、また立っていられないという。

 ふだんは糖尿病で外来に通院している。1~2か月前から右膝痛で整形外科に通院を始めたところだった。内科の診察室に入ってくると、足を引きずっていて膝が痛くてと言っていた。

 家族としては脳卒中ではないか、ということだった。会話したところではふだんとあまり変わらないようではある。ただこの患者さんはふだんの通院では、血糖のことをきくとさっさと帰ってしまう。

 見当識障害はなさそうだ。自分の症状も伝えられる。右膝痛があって下肢の所見をとりにくいが、上下肢に粗大な筋力低下や左右差はなかった。明らかな運動失調もなく、パーキンソン症状もない。

 血糖確認のためもあり、血液尿検査を提出して、頭部MRIを行った。MRIでは出血も梗塞もなかった(放射線科の読影レポートも異常なし)。

 血液検査で血清ナトリウムは113と著明に低下していた。この方はふだんも血清ナトリウムは126~120で推移していた。当院は2011年から新病院になって、処方と検査はオーダリングシステムなので、結果は確認できる(電子カルテは2016年から)。

 その頃からずっと血清ナトリウムはそのくらの軽度低下はあった。担当医が代わっていて当方で5人目になるが、歴代の担当医は(症状もないので)気にしていなかったらしい。

 むしろ悪い血糖コントロールをどうするかで困っていたはずだ。経口血糖降下薬では血糖コントロールがつかず(HbA1c10%代)、インスリン導入を勧めては断られるというのを繰り返していた。

 当方になってもインスリン導入を勧めていて、あまり毎回いわれるせいか、受けれいてくれた。経口血糖降下薬はそのままにして、持効型のトレシーバ1日1回を追加した(BOT)。血糖は8%台と改善したが、空腹時血糖は正常域なのでBOTだけでは難しい。その後、GLP1受容体作動薬も受け入れてくれて、Hb7%台になった。

 低ナトリウム血症に関しても、外注検査でホルモン測定をしてみたが、原因不明だった。症状がないので、気になるが経過観察としていた。

 血清ナトリウム113は急激に発症したら、意識障害になるはずだが、慢性(慢性+急性?)のためか、ちょっと変くらいでおさまっているのか。

 高張ナトリウムを使用する前に生食(初日1000ml/日、その後500ml/日)での補正を行って、連日の検査で113→118→122→124と上昇してきた。最近GLP1受容体作動薬トルリシティをGIP・GLP1受容体作動薬のマンジャロに変更していた。副作用に低ナトリウム血症も頻度は少ないがあるらしいのでいったん中止とした(週1回の製剤なので1週間効いてしまうが)。

 低ナトリウム血症の原因として、これまでの外来検査ではわからない。鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症(mineralcorticoid response hyponatrenia of the elderly:MRHE)しか残らないので、フロリネフ少量を開始した。

 

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インフルエンザだけではなかった

2025年02月26日 | インフルエンザ

 2月22日(土)は当直だった。午前3時ごろに発熱の高齢女性が発熱・体動困難で救急搬入されて、迅速検査で新型コロナ陽性だった。入院する個室はなかった。病棟で日勤帯になってからベット移動して、個室を確保する手配をしてもらうことにした。

 これで終わりかと思ったが、救急隊から午前8時過ぎに30歳代後半の女性の発熱・呼吸苦の搬入依頼がきた。搬入された時は、23日(日)の日勤帯に入っていた。その日の日直は常勤の内科医なので、外来治療であれば申し送れる。

 救急車が到着してすぐに、インフルエンザと新型コロナの迅速検査を行うと、インフルエンザA型陽性だった。酸素飽和度は過呼吸になっていて100%(室内気)だった。

 高熱で頻呼吸になっていることによる呼吸苦(の訴え)ならば、が外来治療で対応できる。(病棟は入院できる個室がもう確保できなかった)

 患者さん臥位だと呼吸が苦しいので、座位になっていた。会話すると嗄声が目立つ。開口してもらうと咽頭発赤はあるが、扁桃の腫脹はない。

 聴診すると、頻呼吸で最初分かりにくかったが、吸気時に上気道で喘鳴(stridor)が聴取される。肺野には呼気時の喘鳴(wheeze)はなかった。上気道狭窄があると判断される。

 肺炎確認の胸部X線と、上気道狭窄の確認で頸部X線を行った(つかまれば立位はできる)。肺炎はなく、喉頭蓋炎の所見はなかったが、喉頭の腫脹があるように見える。CTで確認したい。

 患者さんに臥位になれるか訊くと、短時間ならできそうだという。夜間睡眠時は横臥できていて、呼吸苦は朝方から始まっていた。上気道狭窄があると臥位が禁忌になることもある。

 慎重に臥位になってもらい、苦しい時はすぐに座位に戻すことにして、頸胸部のCT撮影を行った。やはり肺炎はなく喉頭蓋炎もなかったが、喉頭(声門周囲)の腫脹が疑われる。耳鼻咽喉科で評価がほしい。

 地域の基幹病院に以前訊いたところでは、耳鼻咽喉科は救急対応(オンコール体制)になっていないということだった。ダメもとで確認のため、先方の病院の内科系担当医に連絡すると、その日の外科系担当がたまたま耳鼻咽喉科医だという。

 診てもらえますよ、といわれた。搬送したいと伝えると、搬入を受けてくれた。直接耳鼻咽喉科医に連絡しなくてもいいのかと思ったが、ありがたく搬送させてもらった。

 

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総胆管結石・急性胆管炎

2025年02月24日 | 消化器疾患

 今月初めに消化器科の先生が急逝された。当方が当院に赴任してから20年間いっしょに仕事をしたが、常に忙しく診療されていた。

 

 2月の2週目から3週目にかけて、若い消化器科医が手伝いに来てくれていた。何でも、勤務されていた病院から別の病院の勤務に代わることになり、その間のフリーの期間だったそうだ。

 2月14日(金)に消化器科の外来に通院していた70歳代後半の女性が発熱で受診した。血液検査では、炎症反応の上昇と肝機能障害を認めた。腹部CTで総胆管結石があり、総胆管結石・急性胆管炎だった。

 3年前に総胆管結石で地域の基幹病院消化器内科に紹介された。結石除去が困難で胆道ステントが留置された。その後ステントが詰まって胆管炎を来して、ステント入れ替えが行われた。詳しい経過はわからないが、ステントは抜去されていたようだ。

 腎結石もあり、炎症のためか右腎臓の萎縮して形態がわからなくなっている。先方の病院の報告書では十二指腸と右腎臓の瘻孔ができた時期もあった。

 これまでの経過を確認して、基幹病院に紹介搬送としていた。勤務最後の日の仕事となった。短い期間だったが、その間にいっしょに内視鏡的胃瘻造設を行ったりした。性格も穏やかで技術もしっかりしたいい先生だった。

 

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間質性肺炎

2025年02月22日 | 呼吸器疾患

 2月20日(木)の呼吸器外来(大学病院の医師担当)に、地域の基幹病院呼吸器内科から間質性肺炎の80歳代半ばの男性が紹介されてきた。

 虚血性心疾患・高血圧症などで市内の内科医院に通院していた。息切れの症状があり、2024年9月基幹病院循環器内科に紹介された。肝動脈CTでは冠動脈3枝に著明な石灰化はあるが、治療対象になるものではなかった。

 CTの肺野条件で両側肺野に間質性肺炎像を認めて、11月に循環器内科から呼吸器内科に紹介となった。特発性肺線維症/UIPと診断されて、12月から抗線維化薬のニンテダニブエタンスルホン酸塩が開始された。

 処方開始で特に大きな有害事象はなく、6分間歩行試験で酸素飽和度が90%を下回らないので、在宅酸素療法の適応はないとなっていた。(実際は歩行すると、休み休みにはなる)

 当院の呼吸器外来で治療継続となるが、診療情報提供書には「超高齢者(正確には超ではない)で精査加療の適応は乏しく、今後は経過観察および増悪時の緩和的入院対応が必要になると予想する。高次医療機関の当院ではなく、貴院での対応をお願いさせていただきたい。」とあった。

 家族がそれでよければ問題ないが、家族への説明の有無は記載されていなかった。

 

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悪性リンパ腫

2025年02月20日 | 血液疾患

 2月18日(火)に内科の若い先生が、悪性リンパ腫だと思いますがと、CT画像を見せてくれた。

 患者さんは93歳男性で、高血圧症・糖尿病・脳梗塞後遺症で内科外来に通院していた。1月半ばの受診時は特に変わりがなかった。

 2月14日(金)に93歳男性が1週間前からの食欲不振と体動困難で内科外来を受診した。37℃台の発熱もあった。血液検査で白血球5600・CRP5.6と軽度の炎症反応上昇がある。肝機能検査でLDHが677と上昇している。

 1週間の経過なので、まずは肺炎などの感染症を疑ったらしい。胸腹部CTで右肺の下肺野背側に浸潤影と思われる陰影があり、肺炎だろうと判断していた。

 ただ問題は腹部にあった。まず肝脾腫が目立ち、そして大動脈周囲のリンパ節腫脹を認めた。消化管では胃の体上部の壁肥厚が疑われるが、ここはCTでは判読し難い。(肺門縦隔リンパ節腫脹はない)

 入院として肺炎の治療を開始していた。腫瘍マーカーとして可溶性IL2受容体抗体も提出(外注)していて、20500と著明な高値を呈していた。傍証だが悪性リンパ腫でいいようだ。

 腹部由来の悪性リンパ腫だと、可能性としては胃原発疑いとして上部消化管内視鏡検査を行う必要がある。しかし家族にその旨を説明したところ、内視鏡検査もしなくていいといわれたそうだ。

 確かに精査・治療は超高齢であることから、行う必要はないのかもしれない。後はいったん退院できるかどうか、になる。入院後は食事摂取できるようになってきたので、うまくいくと退院にできるかもしれない。

 

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この肺炎は何?

2025年02月18日 | 呼吸器疾患

 2月13日(木)内科の若い先生が、その日呼吸器外来に来ていた先生(大学病院から)に肺炎の患者さんの相談をしていた。

 ふだんは高血圧症・気管支喘息で当院の内科外来(別の先生担当)に通院している。年齢はそれほどではないが、知的障害でグループホームに入所している。

 1月30日に発熱と上気道症状が出現した。翌31日に当院の発熱外来を受診して、インフルエンザ・新型コロナの迅速検査は陰性だった。アセトアミノフェンが処方された。

 発熱が続いて、2月4日に内科外来を受診した。5日以上続いているので、胸部X線を撮影していた。両側下肺野に浸潤影を認めて、肺炎と診断された。血液検査はしていなかった。抗菌薬はセフェム系第3世代(CFPN-PI)が処方された。

 解熱して咳も軽快したが、食欲不振・手足のむくみ・腰痛が1週間続くとして、2月12日に内科外来を受診した。胸部X線で前回より陰影の軽減を認めた。両側肺野に陰影が散布しているので、胸部CTでも確認していた。

 血液検査では白血球10100・CRP11.7と炎症反応が中等度に症状していた。その日は抗菌薬投与は控えて、翌13日に相談することにしたようだ。

 相談すると、「セフェム系第3世代内服薬が効くとも思えない、器質化肺炎の自然経過の可能性がある」ということだった。「経過をみて軽快しない時はステロイド投与はどうか」ともいわれた。

 ただ経過は上気道炎症状で発症してその後に肺炎になったとすると、通常の二次性細菌性肺炎というのが典型的だ。セフェム系第3世代は細菌性肺炎の治療として適切ではないが(推奨はAMPCまたはAMPC+AMPC/CVA)、効かないこともないか。

 (外来で診た2名の医師と入院で診ている医師は全部別の先生方)

 

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