なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

この肺炎は何?

2025年02月18日 | 呼吸器疾患

 2月13日(木)内科の若い先生が、その日呼吸器外来に来ていた先生(大学病院から)に肺炎の患者さんの相談をしていた。

 ふだんは高血圧症・気管支喘息で当院の内科外来(別の先生担当)に通院している。年齢はそれほどではないが、知的障害でグループホームに入所している。

 1月30日に発熱と上気道症状が出現した。翌31日に当院の発熱外来を受診して、インフルエンザ・新型コロナの迅速検査は陰性だった。アセトアミノフェンが処方された。

 発熱が続いて、2月4日に内科外来を受診した。5日以上続いているので、胸部X線を撮影していた。両側下肺野に浸潤影を認めて、肺炎と診断された。血液検査はしていなかった。抗菌薬はセフェム系第3世代(CFPN-PI)が処方された。

 解熱して咳も軽快したが、食欲不振・手足のむくみ・腰痛が1週間続くとして、2月12日に内科外来を受診した。胸部X線で前回より陰影の軽減を認めた。両側肺野に陰影が散布しているので、胸部CTでも確認していた。

 血液検査では白血球10100・CRP11.7と炎症反応が中等度に症状していた。その日は抗菌薬投与は控えて、翌13日に相談することにしたようだ。

 相談すると、「セフェム系第3世代内服薬が効くとも思えない、器質化肺炎の自然経過の可能性がある」ということだった。「経過をみて軽快しない時はステロイド投与はどうか」ともいわれた。

 ただ経過は上気道炎症状で発症してその後に肺炎になったとすると、通常の二次性細菌性肺炎というのが典型的だ。セフェム系第3世代は細菌性肺炎の治療として適切ではないが(推奨はAMPCまたはAMPC+AMPC/CVA)、効かないこともないか。

 (外来で診た2名の医師と入院で診ている医師は全部別の先生方)

 

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肛門周囲膿瘍

2025年02月16日 | 外科疾患

 今月末に地域の基幹病院で感染管理のカンファランスがある。そこで発表するので、また2週間分の発熱外来受診者をまとめている。

 発熱があると自動的に発熱外来に回されるので、腹痛・下痢の腸炎症状があっても、とりあえずインフルエンザと新型コロナの迅速検査が行われる。

 2月6日(木)に市内の医院から外科外来に紹介された肛門痛の15歳女性も、微熱があったのでまず発熱外来扱いとなった。結果は(当然)陰性。

 肛門周囲膿瘍と診断されたが、外科医は切開前に単純CTを撮影していた。ふだんあまり見ることがない肛門周囲膿瘍のCT像になる。

 切開排膿後も通院しているが、順調に軽快していた。まれに「クローン病の症状でした」ということもあるが、今のところは違うようだ。

 

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感染性腸炎

2025年02月13日 | 消化器疾患

 2月12日(水)のお昼に医局のラウンジで別の内科の先生と話していた。その先生に検査室から連絡が入った。外来で提出した患者さんのCRPが20.2と高値だった。

 患者さんは40歳代前半の女性で、2月10日夜から発熱があった。翌11日(祝日)に当番医を受診して、インフルエンザと新型コロナの迅速検査は陰性だった。

 12日に市内の医院を受診して、またインフルエンザと新型コロナの迅速検査は陰性だった。11日は発熱だけだったが、その日は下痢と腹痛(間欠的)があり、症状は腸炎のものだった。(鼻汁・咽頭痛・咳の上記同症状はない)

 医院から当院に紹介になって、発熱外来担当のその先生が診察したという経緯だった。白血球10200・CRP20.2と炎症反応の上昇があるが、それ以外(肝機能・腎機能など)は異常がなかった。

 腹部CTでは、回盲部の壁肥厚・周囲脂肪織の炎症像があり、腸管の拡張は上行結腸から横行結腸の口側まであった。感染性、それも細菌性の腸炎と判断される。

 入院希望もあり、個室入院で点滴と抗菌薬投与が開始されていた。高熱先行でその後からの下痢という経過からはカンピロバクターが疑われる。

 

 

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感染症だった

2025年02月10日 | 感染症

 2月7日(金)の午後は発熱外来担当だった。発熱外来は、外来ではなく救急室を借りて行っている。反応が鈍くなったという92歳男性が救急搬入されて、内科の先生が診ていた。

 1年前から次第に食事摂取は柔らかいものを少し食べるようになってきていた。お孫さんが当院で看護師をしている。

 バイタルは体温も含めて異常はなかった。画像検査の結果は、頭部CT・胸腹部CTで特に有意な所見は指摘できない。血液検査では血清クレアチニンが1.37と上昇して、CRPが3.1と上昇していた。尿は特に感染を示唆する所見がなかった。

 希望があれば入院で経過をみるが、どうしますかといつもの丁寧な対応をされていた。10人以上集まっていた家族が相談して、入院はせずにそのまま自宅でみることになった。

 

 翌々日の2月9日(日)に高熱で再度吸入搬入された。肺炎はなったが、白血球23600・CRP21.5と著明な炎症反応の上昇があった。時間外は尿検査は一般のみしかできないが、日直の腎臓内科医は除外診断的に尿路感染症と判断した。血液培養2セットと尿培養を提出(翌日まで保存)して入院としていた。

 本日(2月10日)改めて尿一般・沈査を行われて、赤血球50~99/HPF・白血球50~99/HPF・細菌(+、抗菌薬投与後)と金曜日の所見とは違っていた。まだ発熱は続いているが、抗菌薬が入って効果か、あるいは点滴が入った効果かもしれないが、患者さんの反応が良くなってきていた。

 

 腎臓内科医も最初の搬入の段階では診断しにくいだろう、と記載していた。ただCRPの軽度上昇に意味があったことになる。10日は白血球17000・CRP31.7だった。

 白血球増加・CRP正常/軽度上昇から始まり、治療により白血球は軽減してくるが、3~4日目でCRPがピークに達するという経過だった。このいかにもの経過は、CRPologist(忽那先生の命名)としては、「そうそう、これこれ」と嬉しい。

 

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膿胸の疑い

2025年02月06日 | 呼吸器疾患

 2月5日(水)当院の整形外科外来に、地域の基幹病院整形外科から50歳代後半の男性が紹介されてきた。1月23日転倒して前額部を打撲した後から、両手両下肢のしびれと右手の脱力が生じていた。

 先方で行った頸椎MRIで軽度の頚髄損傷を認めていた。ただし、以前からの狭窄症もあった。いずれ手術になる可能性があるそうだ。

 受診した日に当院で術前検査として血液検査を行うと、炎症反応の上昇(白血球11200・CRP14.7)があった。さらに胸部X線で左胸水らしい陰影があった。(左が当院、右が基幹病院受診時)

 2月6日の内科外来に紹介となった。外来担当の内科の若い先生から、相談されて、画像と血液検査を確認した。1月23日の血液検査は白血球の上昇はなく、CRPは陰性だった。

 普通に考えれば感染症で肺炎・胸膜炎か膿胸になる。発熱は経過を通りしてないらしい。さらにHbが9g/dl前後で横ばいだが、そもそもこの値は貧血だった。(血清鉄低値・血清フェリチン高値でMCVは80台)この期間では慢性炎症と言い難く、以前からMDSでもあるのだろうか。

 とにかく胸部CTで確認しましょう、となった。その日は大学病院から呼吸器科外来に応援医師が来るので相談できる。

 胸部CTでは肺炎というより膿胸疑いの像があった。相談の上、基幹病院の呼吸器内科の外来に紹介(というか戻す)ことになった。

 

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急性心筋梗塞

2025年02月03日 | 循環器疾患

 1月27日(月)、内科外来を診ていた。内科外来担当の看護師さんが、前週の金曜日(1月24日)受診した急性心筋梗塞の患者さんの話をしていた。

 その日、70歳代前半の男性が前日夜から頸部から胸部上部が痛くて眠れなかったという訴えで受診した。症状は持続している。

 高血圧症で当院の内科外来(大学病院の医師)に、膝関節症で整形外科に通院していた。昨年から右肩の痛みもあった。患者さん本人は整形外科を受診するるつもりで来ていた。

 37.5℃の発熱があり、血圧85/51mmHg(脈拍数77/分、酸素飽和度98%)と低下していたこともあり、看護師さんの判断で内科外来に回されていた。

 心電図・胸部X線・胸部CTがオーダーされた。最初に行った心電図で、Ⅱ・Ⅲ・aVFで典型的なST上昇を認めた。そのまま救急室に移動となり、点滴ライン(ソルラクト500mL)を入れて、すぐに地域の基幹病院循環器内科に救急搬送となった。

 (胸部X線とCTは中止になったので、心不全の所見を呈していたかはわからない。下壁梗塞だと右室梗塞を併発する可能性がある。)

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化膿性脊椎炎

2025年02月01日 | 感染症

 1月29日(水)は内科外来に出ていた。再来を診ながら新患もみることになっている。60歳代前半の男性が新患として受け付けされていた。

 3日前からの頸部痛で整形外科外来を受診した。血圧が203/112mmHgと高く、高血圧症を指摘されているが、治療はしていなかった(高熱で普段より上昇したらしい)。体温が39.1℃と高熱があり、発熱外来に回された。

 システム上、外来を受診して発熱があると発熱外来に回される。(呼吸器症状の有無に関わらずなのが問題ではある)発熱外来では新型コロナとインフルエンザの迅速検査(抗原定性)検査が行われる。

 新型コロナかインフルエンザが陽性の場合、特に外来治療で問題なければ、そのまま発熱外来で処方が出て帰宅となる。病状が悪くて、画像検査や血液検査が必要な時は発熱外来の診察室で対応する。

 陰性の結果だと、外来(大抵は内科外来)に回される。迅速検査が疑陽性の可能性もあるので、罹患者(特にコロナ)をそのまま外来に入れてしまうという問題はある。

 発熱外来担当(内科)は整形外科の外来だけではなく、内科外来も受けつけるよう、指示していたのだった。(頸部痛と発熱は別と考えたか)

 

 内科外来の看護師さんは、昼近くになっても患者さんが回されてこないので、整形外科外来に問い合わせていた。症状からみて、化膿性脊椎炎が考えられるので、整形外科で完結して内科には回ってこないかもしれないと伝えた。

 整形外科外来では高熱・頸部痛という症状から、血液検査と頚椎CTをオーダーしていた。白血球9200・CRP21.1と炎症反応の上昇があった。頸椎CTでは予想通り異常は指摘し難い。頸椎の造影MRIがオーダーされた。

 その日の午後に当方は内視鏡的胃瘻造設があり、消化器科医といっしょに行った。終了後に、午後に行われたMRIの結果を画面で確認した。頸椎5・6の所見を炎症と示唆する所見を認めていた。

 翌日に血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出された。おそらく黄色ブドウ球菌だろう。当院整形外科入院で治療することになった。

 

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慢性閉塞性肺疾患+喘息

2025年01月30日 | 呼吸器疾患

 1月26日(日)の日直の時に、もうひとり60歳代後半の男性が呼吸苦・喘鳴で救急外来を受診した。

 市内の内科医院に高血圧症・糖尿病で通院している。喫煙者だが、これまで息切れ・喘鳴などはなかった。12月の半ばからずっと咳・痰が続ていたが、発熱はなかった。

 受診前日の夜から呼吸苦・喘鳴があった。酸素飽和度の低下(80%台)があり、酸素吸入2L/分を開始した後の血液ガスが、PaO2 79.9・PaCO2 49.1・pH 7.350だった。高二酸化炭素血症がある。酸素量は1L/分に下げて、酸素飽和度94%を越えないようにした。

 聴診では呼気時に喘鳴が聴取された。血液検査では炎症反応の上昇はなかった。胸部X線・CTで気腫性変化があるが、肺炎像はなかった。

 もともと慢性閉塞性肺疾患(COPD)があり、喘息症状を伴って、それが悪化したということだった。気管支喘息発作に準じた治療を開始して入院とした。

 デキサメサゾン8mg/日の投与と気管支拡張薬を使用して、翌日には喘鳴は軽減していた。デキサメサゾンは8mg2日間→4mg2日間→2mg2日間の予定とした。1月29日には酸素吸入なしで酸素飽和度92%になった。

 入院3日からICS/LAMA/LABAの吸入を開始した(ビレーズトリ)。テオフィリン・モンテルカスト内服・ツロブテロール貼付を使用していたが、ツロブテロールテープは中止する。

 「今回症状がひどかったので、禁煙します」とはいっていた。今回は当院で診られそうだったので診ているが、もっとひどい時や経過が思わしくない時は地域の基幹病院呼吸器内科に紹介になります、と伝えた。

 

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気管支喘息だけではない

2025年01月28日 | 呼吸器疾患

 1月26日(日)は日直だった。当院が当番医になっていた。ふだんの日曜日は基本的に、市内の当番医+当院の2医療機関体制になる。

 当番医からの紹介を受けたり救急対応をするので、本当は当院は当番医には入れないでほしいが(当院のみの診療になるので)、医師会の事情があるようだ。発熱外来は20名の受診があり、直接受診の患者さんや救急対応をしながらなので、結構大変だった。

 

 市内の内科クリニックに高血圧症と気管支喘息で通院しているという60歳代後半の男性が、呼吸苦を訴えて受診した。付き添いの妻の話では夜間に喘鳴がきこえるそうだ。聴診すると、呼気時にwheezeというよりいびきのような音が軽度に聴こえる。

 発熱はなく、酸素飽和度が95%(室内気)で完全な正常域ではないが、さほど問題はなさそうだ。日中は動いても息切れはない。

 夜間に横臥すると、息苦しくなって起き上がってしまうという。ただその後に歩き回ったり、外に出て行ったりするというのは、喘息で苦しいという以外に心因性の問題があるようだ。

 昨年新型コロナに罹患して、治癒後も落ち着かない状態が続いて、安定剤(ロフラゼブ酸エチル=メイラックス)がクリニックから処方された。それを朝夕ではなく、寝る前だけ内服してた時は症状が軽快していた。

 血液検査で炎症反応は陰性だった。50歳代までの喫煙歴があり、胸部CTでは軽度に気腫性変化(COPD)があるかもしれない。

 CTの検査中(ドームに入った時)に息苦しいといって、いったん休止となった。また点滴室で点滴を開始すると、その部屋は暑くて息苦しくなると、妻のいる廊下に出てきてしまった(実際は暑くない)。

 気管支喘息の処方はテリルジー吸入(ICS/LAMA/LABA)だけだが、吸入の仕方がまずかった。薬剤を吸って、息止めしないでそのまますぐに吐き出していた。

 息を吐いてから薬剤を吸って、息止めをしないと気管支内に薬剤が沈着しない(息止め後に吐く時も勢いよくではなく、そっと吐く)。何度かやり方を説明した。

 気管支喘息発作に準じて、ネオフィリン250mgとデキサメサゾン8mg(6.6㎎)の点滴をして、翌日からプレドニン30mg/日を内服とした。テオフィリンの内服とモンテルカストも追加した。

 夜間に喘息の症状があるだけではなく、心因性の要素もある。なによりご本人が安定剤の処方を強く希望したので、合わせて処方した。

 1月29日の外来で症状を確認する。

 

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尿管結石+肺炎

2025年01月26日 | 泌尿器科疾患

 1月24日(金)の午後に右下腹部痛の60歳代後半の女性が救急搬入された。3日前から間欠的に痛んでいたそうだ(1回の痛みは20~30分くらい)。外科の非常勤医が救急を診ていて、入院があれば常勤医に依頼する日だった。

 1週間前から微熱・咳があり、新型コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。胸腹部CTで見ると、右尿管結石があり、腹痛はその症状だった。

 さらに右肺下葉に淡い陰影が散在していた。感冒をこじらせて肺炎を来しているようだ。痰が絡むがうまく喀出できない。

 救急を診ていた先生から連絡を受けて、見にいった。白血球17800・CRP4.5と炎症反応が上がっていたので、尿管結石による急性腎盂腎炎だと閉塞性腎盂腎炎として泌尿器科emergencyになると思ったが、肺炎もあると話は違ってくる。

 尿検査では赤血球50-99/HPF・白血球10-19/HPF・細菌(1+)だった。尿路感染症を伴っている可能性もあるが、肺炎もあり、泌尿器科紹介とはし難い。

 体調不良であまり食べていなかったらしく、BUN 43.2・血清クレアチニン1.73と急性腎障害を伴っていた。

 搬入後に腹痛は軽減して、鎮痛薬の投与はまだしていなかった。急性肺炎・尿管結石(尿路感染症否定できず)・急性腎障害として当院入院で経過をみることにした。

 

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