なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COVID-19肺炎治療後

2024年12月12日 | COVID-19

 12月7日に記載したCOVID-19肺炎の80歳代半ばの男性のその後。

 11月27日に発症して、11月29日に発熱・酸素飽和度低下で入所している施設から救急搬入された。白血球9100・CRP7.9と炎症反応の上昇があった。胸部CTで肺野に淡い陰影が散在している。酸素吸入2L/分と、レムデシビル点滴静注(5日間)と抗菌薬(セフトリアキソン)で開始した。

 12月3日の検査で解熱はして、酸素吸入量は同程度で経過は悪くないかと思ったが、白血球7700・CRP21.4とぐっと上昇した。胸部CTで確認すると、両側肺野にすりガラス陰影と浸潤影が広がっていた。

 もともと施設では嚥下調整食3を食べていて、嚥下は良くない。喀痰がからみ、頻回の吸引を要した。両側下肺野の陰影は誤嚥性肺炎の可能性があり、抗菌薬をゾシン(PIPC/TAZ)に変更した。

 すりガラス陰影はコロナそのものの肺炎像に見える。呼吸器外来に来ている先生(大学病院感染症内科で、COVID-19を多数診ている)に相談して、デキサメサゾン8mg(6.6mg)/日を使用開始した。

 ゾシンへの変更だけで白血球6600・CRP7.4となっていたので、細菌性肺炎の要素が多かったことになるか。デキサメサゾンは8mgを5日間使用して、その後は4mg(1.65mgX2)に漸減した。酸素吸入は漸減中止できた。

 12月11日には白血球9900(ステロイド投与による)・CRP2.2と改善していた。胸部CTではすりガラス陰影・浸潤影の軽減を認めた。

 デキサメサゾンは8mgを5日間、4mgから2mgに漸減する予定だった。予定はそのままだが、全体で予定の10日間よりは少し長くすることにした。

 肺炎は改善したが、嚥下障害で経口摂取が難しい。そもそも姿勢は首が後屈して嚥下し難い。STさんに頼んでいるが、経口摂取は難しいかもしれない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺血栓塞栓症

2024年12月11日 | 循環器疾患

 12月6日(金)の当直の時に、7日午前2時過ぎに70歳代後半の女性が救急搬入された。トイレに行って戻る時に倒れたということだった。救急隊到着時に血圧が70/50mmHgと低下していた。

 搬入中に血圧が170mmHgまで上がったというが、搬入時は107/87mmHgだった。酸素飽和度は92~94%(室内気)。意識は清明で普通に会話ができる。体温36.3℃。手足の冷感があって、寒いと訴えた。

 

 この患者さんは内科医院に高血圧症・慢性腎臓病で通院していた。今年の1月に腎機能の悪化で当院の腎臓内科に紹介されている。多発性嚢胞腎polycystic kidneyがあった。家族(娘2人)の検査も行われていた(なかった)。血清クレアチニンは3mg/dL台でいずれ悪化した時は透析予定となっている。

 胸痛や呼吸苦の訴えはなかった。心電図は洞調律で右脚ブロックだけで虚血性変化はなかった。(以前は右脚ブロックはなかった)血圧低下なので脳血管障害は否定的だが、念のため撮影して異常はなかった。胸腹部CTで心拡大はあるが、肺野に異常はなかった。

 血液検査(試験紙使用の簡易検査)では白血球10300・CRP3.2と軽度の炎症反応上昇を認めた。肝機能は異常なかった。CTで以前から肝臓の左葉を中心に小嚢胞の多発があるが、前回と同様だった。(時間外は凝固検査はできない)

 家族の話では腎盂腎炎を繰り返しているということだった。(入院はしていないので膀胱炎くらいなのか、発熱を伴ったのか詳しくはわからない。

 尿路感染症疑いとして、入院で点滴・抗菌薬で経過をみることにした。入院すると、午前8時に病棟から血圧が80mmHg台と連絡がきた。呼吸苦は訴えないが酸素飽和度も90~92%だった。

 酸素吸入2L/分を開始して、補液1000ml追加で血圧は100~110台になって、通常の持続点滴だけ(1500ml/日)で安定した。尿路感染症からの敗血症性ショックになった可能性を考えていた。

 発熱が見られないのは感染症としての重症度が高いのかもしれない、尿路感染症を繰り返していて起炎菌は通常の菌種ではなく、難治の大腸菌ESBLなどかもしれない。抗菌薬をセフトリアキソンからメロペネムに変更した。

 そのまま週末を過ごして、バイタルは同様だった。12月9日(月)に病棟に診に行った、血圧は100~110mmHgだが、元々高血圧症なので血圧が低下していることになる。手足の冷感はまだあった。

 

 外来で診ている腎臓内科の若い先生と相談していたが、別の内科の若い先生が、CTで肺動脈内に血栓があるようだと指摘してくれた。見直すと右肺動脈と左肺動脈の分枝に血栓を示唆する高濃度物質を認める。血液検査で凝固検査も提出していたが、Dダイマーが18.7と上昇していた。(もっと高値でもいいくらいだが)

 肺血栓塞栓症だった。心エコー検査を検査室に緊急で依頼すると、右房・右室の拡張を認めた。(当院の心エコーは他院の検査技師が月曜日だけ来て行っている)

 多発性嚢胞腎による慢性腎臓病(今回は血清クレアチニン4.4mg/dL)もあり、そこに肺血栓塞栓症が発症している。全身管理になると思われて大学病院救急科に連絡した。

 若い(声で判断)女性医師が出られて、それは循環器内科でしょうといわれた。親切に循環器内科の先生に回してくれた。病状を説明して、地域の基幹病院は受け入れ不可だったことを伝えると、受けてくれた。家族にも連絡して救急搬送となった。

 

 改めて両下肢を確認したが、腫脹・疼痛はなかった。深部静脈血栓症があるはずだが、診察上はわからない。多発性嚢胞腎で下大静脈に影響が出るのか。

 トイレに行って突然倒れたことから、その時に発症した可能性もある。ただその日の昼から体調が悪く、昼食摂取はわずかで、夕食は食べられなかったという。救急車内で急に血圧が上昇したということもある。肺動脈内の血栓が詰まりかけたり、外れたり(あるいは末梢に流れたり)と変化した可能性がある。週末急変しかったのは運が良かった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルコール性肝硬変、多臓器不全

2024年12月10日 | 消化器疾患

 12月6日(金)の午後に救急室を通ると、黄疸の痩せた男性がストレッチャーに横たわっていた。その日の救急は大学病院から来ている先生(非常勤の外科医)で、当方は入院時の当番になっていた。検査結果待ちで入院を依頼されるのかと思ったが、違っていた。

 患者さんは50歳代後半の男性で、10月末から消化器科の外来に数回通院していた。アルコール性肝硬変だったが、飲酒は続いていた。ふだんは缶酎ハイ2Lほど飲むらしいが、体調不良で飲酒量は減少していた。

 昨年消化器センターのある専門病院で食道癌のESD(内視鏡的粘膜剥離術)を受けている。10月には同じ病院で大腸ポリープの粘膜切除術(EMR)も受けていた。消化器科の外来では頻回の下痢を訴えていた。

 その日の午前0時過ぎに救急外来を受診している。転倒した際にできた左肩のかさぶたを剥がしたら、出血が止まらなくなったという。当直だった内科の若い先生が、oozing(しみ出るような出血)を圧迫止血した。血液検査で血小板数は正常域(下限)だったが、凝固検査は時間外はできない。肝硬変に関連した凝固異常と判断されたが、事情も分からず困ったらしい。

 バイタルは、血圧が88/53mmHg・脈拍82/分・呼吸数16/分・酸素飽和度94%(室内気)だった。いったん帰宅して、午前中に消化器科の外来を受診とした。

 

 消化器科の外来を受診したが、黄疸が進行していた。会話はできるが意識清明とは言い難いと記載していた。末梢の静脈から通常の採血ができず、大腿静脈から採血している。

 結果は、白血球23900・CRP6.3と炎症反応の上昇を認めた。10月の受診時からCRPは同程度で推移している。Hb7.3g/dl(MCV120)と大球性貧血があるが、血小板は17.8万と意外に正常域にある。

 PT-INR2.17・APTT63.7と延長している(Dダイマー6.7)。凝固因子欠乏からの出血傾向のようだ。(抗凝固薬も抗血小板薬も使用されていない。)

 10月の受診時は、AST 145・ALT 38・LDH 224・ALP 113・γ-GTP 1265・総ビリルビン6.1とアルコール性肝障害(肝硬変)らしい結果だった。その日は、AST 158・ALT 79・LDH 365・ALP 128・γ-GTP 188・総ビリルビン19.9となっていた。血清アンモニアは102(<75)。(アルコール摂取は少なくなっている)

 正常だった腎機能がBUN77.1・血清クレアチニン9.40と著しく上昇していた。血清カリウムが10月も2.3と低下しているが、1.8とさらに低下していた。

 胸腹部CTで軽度の胸水貯留もあるが、腹水は中等度に貯留している。肺炎はないようだ。原発性腹膜炎を来しているのか。

 昨年から内視鏡治療をしている消化器センターのある病院に連絡していたが、ひどい急性腎不全があるので対応できないといわれた。次に大学病院の救急科に連絡すると受けてもらえた。

 救急室で見た時は、搬送する救急車待ちのところだったようだ。後で消化器科医に訊くと、このままダメかもしれないが、何しろ年齢はまだ若いので、できるだけの治療は受けさせたいということだった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尿管結石

2024年12月09日 | 泌尿器科疾患

 12月6日(金)の当直の時に、午後10時半ごろに腹痛の20歳代後半の男性が救急外来を受診した。午後7時ごろからの腹痛で、臍下の正中からやや右側の痛みだった。

 普通に歩いて診察室に入って来たので、その時点では激痛ではなかった。12月1日の午後5時ごろにも同様の痛みがあったが、1~2時間で治まったそうだ。

 体重100kg以上と体格がいい。大きな腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。圧迫すると、むしろ気持ちがいいという。年齢的にも尿管結石が疑われた。

 正しくは尿検査(時間外はテープでの検査のみ)を行って、腹部エコーで水腎症を確認してから腹部CTになる。その日はその前に肺炎・心不全の高齢女性を入院させたばかりだったので、省略して最初から腹部CTを行った。

 右腎はやや水腎症になっていて、膀胱のすぐ上の尿管に結石を認めた。大きさ的には自然排出を期待できる。

 CTが終わるころには疼痛は治まっていた。CT画像を印刷して、付き添いで来た母親に渡した。母親が「夫も尿管結石に2回なりました」と言った。

 疼痛再発時のためにジクロフェナク座薬を持たせたが、100kg超だと50mgの座薬でも心もとない。1個挿入して30分経っても治まらなければもう1個追加していいことにした。

 この患者さんのような、楽な患者さんだととても助かる。この日の当直は朝方に難しい患者さんが搬入された。(今日大学病院に救急搬送した)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

皮膚筋炎~抗TIF1-γ抗体

2024年12月08日 | リウマチ膠原病

 12月2日(月)に消化器科外来に通院している70歳代半ばの男性が内科外来を受診した。1週間前から右半身の脱力があるという。

 この方は50歳前後で脳梗塞(右放線冠)が発症して、左半身不全麻痺がある。もともと短距離の杖歩行だった。

 7月に胃癌の手術を消化器病センターのある専門病院で受けている(腹腔鏡下幽門側胃切除術)。stageⅠAとなっていた。術後のフォローは入っている。

 11月25日に頭部CT・MRIで右硬膜下血腫を認めて、地域の基幹病院脳外科に紹介された。右脳を圧排しているが、血腫は被包化されていて、ずっと以前からのものと診断された。治療適応はなく、経過観察となったそうだ(家族の話。正式は診療情報提供書はまだ来ていない)。(この時検査したのは、最近むせ込みが強いという症状でだった)

 

 さらに10月から顔面~頭部の皮疹(紅斑)・浮腫があり、発赤は頸部にも及んでいる。皮膚科を受診したが、病名は付かず対照的にステロイド軟膏が出されていた。あまり効果はできていないらしい。

 以上のような様々な疾患があり、新患受診の多い月曜日に来たこともあり、診察・検査は午後から夕方に及んだ。

 

 右上肢・下肢は挙上できるが以前のようではないという。左半身麻痺があるので、評価し難いが、要は両側の筋力低下なのだろう。

 頭部CTで出血はなく、新規の脳梗塞も指摘できなかった。右硬膜下血腫は前回と同様だった。頭部MRIでも新規脳梗塞はなかった。

 食事摂取が低下しているといい、唾液の貯留があった。胸部X線でははっきりしないが、胸部CTで両側肺野に軽度の肺炎像が散在していた。嚥下障害からの誤嚥が疑われた。

 顔面~頸部は全体的に発赤・腫脹(浮腫状)があるが、頸部はVネック徴候に見える。両手の指関節伸側が発赤していて、ゴットロン徴候と思われた。

 皮膚筋炎を疑って抗核抗体や皮膚筋炎分類のマーカーを提出した。炎症反応は、白血球8000・CRP3.6だった。筋原性酵素はCK 310・AST 48・LDH 278と軽度の上昇だった。

 自宅で動けなくなっているので、入院して点滴・抗菌薬で治療を開始した。入院してみると、常に唾液が貯留して飲み込みにくいので自分でティッシュにとっていた。

 

 抗核抗体の結果が出ていないが、11月に消化器科で提出した時は40倍だった(Speckled 40倍)。皮膚筋炎のマーカーの方が先に判明して、抗TIF-γ抗体が強陽性だった。皮膚筋炎で悪性腫瘍を合併するタイプだった。

 皮膚筋炎に対して嚥下障害というのは、これまで意識していなかった。高頻度で合併して、四肢脱力よりも急を要するのだった。

 内科の若い先生(昨年大学病院から赴任)に知り合いの大学病院リウマチ膠原病科の先生に連絡してもらった。精査・治療のため大学病院に転院搬送となった。

 

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

COVID-19肺炎

2024年12月07日 | COVID-19

 11月29日(金)に施設入所中の80歳代半ばの男性の入院治療依頼が来た。施設内でCOVID-19罹患者が数名出ているらしい。

 この患者さんは11月27日から発熱があり、迅速検査で陽性だった。発熱が続き、酸素飽和度低下がみられたため、施設ではみられなくなった。

 痰がらみが目立ち、酸素飽和度が88~90%(室内気)だった。酸素吸入2L/分を開始した。

 白血球9100(ふだんは5000)・CRP 7.9mg/dLとウイルス性だけではない炎症反応上昇があった。Dダイマー2.7・血清フェリチン611・LDH190(ふだんは130~150)と重症化の指標が高かった。胸部CTでは元々の陰影もあるが、今回の炎症による斑状の陰影が散在していた。

 発症3日目で、レムデシビル点滴静注と抗菌薬(セフトリアキソン)を開始した。食事摂取は難しく、点滴もしていた。

 週明けには解熱していて、酸素吸入も2L/分のままだった。軽快していると思われたが、12月3日(発症7日目)の検査で白血球7700・CRP21.4と上昇していた。CRP上昇は検査時期の問題ではなく、肺炎が悪化しているらしい。

 胸部X線では読影が難しそうで、放射線科に降ろして胸部CTで評価することにした。両側肺野にすりガラス陰影が散在していた。両側肺背側には浸潤影をいえる陰影が増加していた。

 腹側の陰影はウイルス性と思われるが、背側の陰影は誤嚥性肺炎のように見える。相変わらず喀痰は多かった。

 誤嚥性肺炎の悪化として抗菌薬はゾシン(PIPC/TAZ)に変更した。ウイルス性の治療(時期的には抗炎症薬としてのステロイド)をどうするか、呼吸器外来に来ている先生に相談した。

 ステロイドを入れることになり、デキサメサゾン8mg(6.6mg注)/日も開始した。「私ならステロイドだけ投与します」とも言われたが、誤嚥性肺炎は否定できない。抗菌薬とステロイド併用の治療でよろしいでしょう、ということになった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

偽痛風~頚椎、膝関節

2024年12月06日 | 整形外科疾患

 11月12日に記載したうっ血性心不全の80歳代後半の男性は、慢性心不全の治療薬を調整して軽快した。

 血圧が低めでそれぞれの薬を少量ずつ組み合わせての処方になった。最終的には、エンレスト100mg分2・ミネブロ1.25mg分1・アゾセミド15mg分1を処方している。

 

 入院後に偽痛風と思われる関節炎の症状が発症した。2日前くらいから後頚部痛があり、11月15日には首が回らなくなった。意識は清明で関節炎の症状だった。頸椎CTで軸椎(第2頚椎)の歯突起周囲に石灰化を認める。頸椎偽痛風だった。セレコキシブ100mg2錠分2を10日間投与して、症状は軽快した。

 12月3日には右膝関節痛と右足関節痛があった。左右比べると微差だが右側には熱感もあった。膝関節X線で右膝関節内に石灰化を認める。左膝関節ではあまり目立たない。膝関節偽痛風(足関節も)として、またNSAIDs(セレコキシブ)内服を開始して、すぐに症状は軽快した。

 肺炎や尿路感染症で入院した高齢者で、偽痛風による関節炎が併発する。この方の場合は利尿薬の使用が引き金になったのかもしれない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

非代償性肝硬変、痛風発作

2024年12月05日 | 消化器疾患

 12月2日(月)にアルコール性非代償性肝硬変の60歳代半ばの男性が受診した。消化器科で診ていた患者さんだが、検査で手一杯ということで内科に回された。もっとも症状は消化器ではなかった。

 10月始めに消化器センターのある病院(肝臓内科がある)に腹水・食道静脈瘤で紹介していた。入院して連日の腹水ドレナージで腹水(胸水もあった)が軽減した。食道静脈瘤は結紮術(EVL)が行われた。

 10月末に退院したが、また腹水が貯留して11月始めに再入院となった。12月2日受診時の話では、前週の木曜日に退院したという。(まだ診療情報提供書は来ていなかった)

 動けないという訴えで妹さんに連れてもらって来ていた。外来看護師さんは血圧が88mmHgと低いことを気にしていたが、最近はふだんから100前後らしい。一見して腹水はあるが、入院した時よりは軽減しているようで、自覚的には気にしていなかった。  

 退院後から右手関節と左膝関節・左足関節の疼痛で動けないということだった。関節の発赤・腫脹はそれほど目立たないが、やや熱感があった。

 白血球11100・CRP5.3と炎症反応が上昇していた。肝機能も前よりも目立ち、飲酒が疑われたが、今回はそこは触れなかった。

 この方は高尿酸血症で処方(フェブキソスタット)を受けている。尿酸値は7.2mg/dLと正常上限だが、11月の消化器科外来受診時は9.3mg/dLと上昇している。

 痛風発作(関節炎)を来して、尿酸が関節内で消費されてむしろ低下してらしい。利尿薬の影響と、飲酒の影響が疑われた。

 通常はNSAIDsで治療するが、この方は血清クレアチニンが2.0mg/dL前後(eGFRが20前後)と慢性腎臓病(CKD)があって使用し難い。プレドニン20mg分1を3日分処方して、外来再診とした。

 本日(12月5日)外来を受診した時には関節痛は軽快して、歩行可能となっていた。プレドニンを漸減~中止とした。(下記のやり方で3日おきに漸減)

 

 あまり痛風発作に対するステロイドについての記載は見ないが、疾患として多い「偽痛風」を参照とある。偽痛風の治療は、プレドニゾロン20mg分1か分2を2~3日10mg分1か分2を2~3日5mg分1を2~3日プレドニン2.5mg分1を2~3日→その後中止。(「すぐに使える リウマチ・膠原病診療マニュアル」羊土社、による)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

総胆管結石

2024年12月04日 | 消化器疾患

 12月2日(月)の午前8時半に前日当直だった内科の先生から、夜間に診た患者さんが来るのでよろしく、と申し送りがあった。夜間の血液検査は簡易検査なので、血液検査を入れておいたという。

 患者さんは90歳男性で、本当にその年齢かと思うような元気な方だった。12月1日の午後4時に突然に胸背部痛が出現した。症状が続くので、午後9時前に当院の救急外来を受診した。

 まず心電図を検査したが、異常はなかった。血液検査は白血球12100・CRP0.0と超急性期を示唆する値だった。AST 386・ALT 86・γ-GTP 126・総ビリルビン1.4と肝機能障害を認めた。

 胸腹部CTで胸部には異常がなく、総胆管拡張(肝内胆管も拡張)があって、末端に結石を認めた。(放射線技師さんが指摘したかもしれない)

 発熱はなく、痛みの部位は「胸と背中」ではなく、正確には「心窩部周囲とその背部」だったようだが、軽快していた。結石が自然に落下するのを期待した、ということだった。

 

 内科再来と新患が多くて、診察しているうちに頼まれたことを忘れていた。その患者さんの順番になった(血液検査と腹部エコーがオーダーされていて、それが終わってから外来に来た)。すたすたと軽快に歩いて診察室に入って来た。

 痛みは治まっているが、発熱38.5℃があった。血液検査結果を見ると、白血球14900・CRP5.2と上がってきている。肝機能は、AST 831・ALT 302・ALP 109・γ-GTP 239・総ビリルビン4.0と悪化している。腹部エコーでは総胆管拡張は指摘できるが、末端は描出できないので拡張原因は不明とあった。

 突然の痛みは総胆管結石が総胆管末端に嵌頓した時のものだろう。急性胆管炎を併発してきている。

 

 当院では総胆管結石は扱えないので、地域の基幹病院に連絡することにした。地域医療連携室に連絡したが、担当の先生は相当に忙しく、こちらから連絡しますといわれた。何とかつながって、運よく(消化器内科はほぼ満床運営)引き受けてもらえた。

 発熱以外のバイタルは問題なく、何しろ当方よりも元気なくらいなので、いっしょに来た家族の車で向かってもらった。

 

 申し送りを受けた時は、そのまま紹介してもらう方がよかったと思った。ただ前日に連絡しても、発熱がなく疼痛も治まっているので、明日(月曜日)に改めて連絡するように、といわれたかもしれない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

急性大動脈解離

2024年12月03日 | 循環器疾患

 12月2日(月)は内科外来に出ていた。再来を診ながら新患も診ている。当院の内科外来は2診体制で、月曜日は大学病院(循環器内科)から来てもらっている先生と2人で診ている。

 外来の看護師さんが「急性大動脈解離の患者さんが」と慌てていた。前日から前胸部痛が続く60歳代後半の男性が、大学病院の先生の方に回されていた。

 前日の午後6時ごろ、「夕食のラーメンを食べていて最後の一口を飲み込んだ時」に突然前胸部痛が出現した。胸痛は続いていたが受診はせず、そのまま月曜日まで我慢して受診した。 (普通に自分で病院まで来て、新患として受け付けをした、いわゆるwalk inの患者さん)

 血圧165/103mmHgと高値だった。市内の内科クリニックに高脂血症で通院していて、高血圧症・糖尿病はないらしい。喫煙者だった。

 診察では有意な所見はなかった。心電図は異常なし。胸部X線でも大動脈弓の拡大が疑われる。最初は単純CTで見ていたが、大動脈内腔に石灰化が見えて、解離を示唆していた。造影CTで大動脈弓の頂部から下行大動脈にかけて解離していた。 

 自分の病院の心臓血管外科に連絡していたが、ICU満床で受け入れができなかった。循環器病センターのある専門病院に連絡すると、受け入れ可能で、そちらの病院に救急搬送となった。

 血圧を120未満にするようにと指示があり、ニカルジピン10mg+生食10mlを2ml/時で開始しての搬送となった。

 

 当方の外来には、いろいろ訳ありの新患患者さん(重症ではない)が回されていた。検査しようとしても、この患者さんのことで外来の看護師さんが出払ってしまっていた。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする