3月5日(水)に内科再来を受診した60歳代後半の女性は、糖尿病・高血圧症・高脂血症で通院している。話好きでいつも家庭の事情などを勢いよく話してくれる。
ふだんも家族をするが、その日は夫の病気の話だった。夫が健診で膵臓に腫瘍を指摘されたそうだ。近くの病院(PET-CTを持っている)で検査をして、そこからがんセンターに紹介された。
膵神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)と診断されて、手術を受けることになった。悪性と良性の中間と説明されていた。(術式は膵頭十二指腸切除術)
長年夫は他県に単身赴任していて、週末だけ帰って来る生活をしていた。夫が定年になってずっと家にいるとストレスだといっていた。娘の夫が気に入っているようで、それに比べてといういい方だが、いわゆる愚痴で仲が悪いというわけでない。
膵神経内分泌腫瘍は以前CTの放射線科読影でそれ疑いとされた患者さんがいて、消化器科の若い先生に相談されたことがある。「がんセンターか大学病院に紹介」といっただけだが。
症状はないようなので非機能性NETなのかなあとか、画像診断だけなのかEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)もしたのかなあ、などと思いながら伺っていた。(専門医の世界で一生縁がない病気と思っている)
正確な組織診断によって方針が決まるが、手術でとれない時(血管浸潤疑い)は生検だけする、ともいわれていた。