なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

何だかわからないが、酸素が低い

2012年03月14日 | Weblog
 70歳台半ばの女性。他の病院に高血圧症・糖尿病・甲状腺機能低下症で通院している。肥満があり、股関節と膝関節の手術を受けていて、自宅内でつかまって歩く程度らしい。軽い認知症もあり、夫が介護していた。両下肢の脱力を訴えて救急要請したが、土曜日の夕方で、かかりつけの病院が対応困難のため当院に搬入された。当直のバイトに来ていた医師が診察した。両下肢の脱力というのは、最近あまり動いていないために、しだいに筋力低下したもので、脳血管障害ではなかった。帰宅可能と判断したが、救急車収容時からしていた酸素吸入を中止したところ、酸素飽和度が80%台まで低下した。胸部X線で心拡大があり、胸部CTでみると軽度に肺うっ血があった。うっ血性心不全として入院した。
 入院後、酸素濃度1L/分くらいで酸素飽和度は94%にはなった。息切れなどの自覚症状は乏しかった。浮腫のためというより、むっちりした肥満のため末梢血管が見えにくい。中心静脈カテーテルを入れるほどでもないと判断して、かかりつけの病院の処方にラシックス内服を追加して経過をみたところ、肺うっ血は軽快した。
 酸素なしの室内気で血液ガスをとると、酸素分圧50、炭酸ガス分圧58と低酸素血症・高炭酸ガス血症を呈していた。喫煙歴はなく、胸部CTで気腫性変化もない。心エコーではEFが70%で心機能自体は正常だった。チラージン100μg/日内服で甲状腺機能は正常域にあった。外見はピックウィックというほどではないが、肥満があり、いかにも肺胞低換気ではある。しかし神経筋疾患ではなさそうだ。股関節・膝関節手術の既往もあり、慢性肺血栓塞栓症なのかもしれないが、確定はできない。低流量酸素吸入が必要で、在宅酸素療法にするしかない。
 通院中の病院の主治医が呼吸器科ドクターなので電話で相談してみたが、在宅酸素導入で退院にしてもらえば、外来で診るとのことだった。さっそくテイジンに連絡して、手続きを進めることにした。
 入院時には低酸素の自覚症状に乏しく、酸素をはずしていることもあった。それでも入院後はずっと酸素吸入をしていたので慣れたようだ。車いすに移乗して自分で動かしていたが、吸入している時としてない時の違いを自覚したようで、酸素がないと困るというようになった。
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