78歳男性が入院希望で外来を受診した。もともと循環器科で心房中隔欠損症と診断されて、大学病院の心臓血管外科で手術を受けた。心臓ペースメーカー植え込み術も行われた。循環器科で撮った胸部X線で右肺に腫瘤を指摘された。精査拒否で経過を見ているうちに、しだいに増大してきた。その気になったところで、がんセンター呼吸器科に紹介となったが、すでに手術はできず、放射線治療や抗がん剤治療も希望しないため、そのままBSCのみとして帰された。
それとは別に、泌尿器科で膀胱癌と診断されたが、これも治療拒否で経過観察となっていた。膀胱の左後から背側に向けて浸潤して、前立腺にも及んでいる。間欠自己導尿をしていたというが、自分で何回も導尿できなくなっており、今回尿カテーテル留置にした。カテーテルが挿入できないかもと思ったが大丈夫だった。
奥さんと娘さんと一緒に来ていた。娘さんに話を聞くと、どちらの癌もこともわかっていますということだった。病院が嫌いな人が、自分から入院したいというのは相当に弱っているのだろう。実際かなりのやせがあった。緩和ケアをできる範囲で行い、最終的にはDNRとした。ものすごくうまくいって、一時的な退院ができるというものだが、どうだろうか。
95歳女性の喀痰結核菌PCRが陽性と判明して、県内の結核病棟は遠すぎるので、隣県ではあるが、隣の市の結核病棟に明日転院することになった。世話をしている娘二人(今のところ無症状)にはいずれ保健所から指示があると伝えた。
今朝午前4時ごろ、42歳女性が頭痛を訴えて、救急外来を受診した。他院の脳神経外科で片頭痛と診断されて、トリプタン製剤が処方されていた。遠方なので、当地の内科クリニックにもいき始めたという。この方は生理の3日前から片頭痛が始まる。薬がなくなっていたことと、頭痛の程度がひどくなって受診したそうだ。イミグランの皮下注とプリンペラン静注と点滴をした。症状軽快して帰宅したが、毎月のことならば、もっと治療の準備を整えた方がいいとお話した。頭痛が良くなってから話を聞くと、10代の若い時からは始まっているそうだ。当院の神経内科外来を受診したこともあるが、頭部CT(MRI)は以前に受けたくないといったらしい。初診で紹介でもないので、検査しないと診断できないといわれて、そのまま帰ってしまった。まあ、初診時の印象が悪いとしても、当地では夜間救急で受診できるのは当院しかないが。