看護科の講義が終わってやれやれというところだ。出血性疾患はいいとして、造血器腫瘍の話は難しい。WHO分類や具体的な薬剤のことは試験に出ないので、基本的なところのみにした。案外、抗血小板療法と抗凝固療法の違いがきちんと記載してないので、そこは強調しておいた。脳梗塞や心筋梗塞などの動脈の血栓予防には抗血小板薬(アスピリンなど)を使用して、深部静脈血栓症や心房細動などの静脈と心臓(心腔内)の血栓予防には抗凝固薬(ワルファリンなど)を使用することは、看護師さんたちはわかっているのだろうか。
大球性貧血で内科医院から紹介された患者さんたちのことで、内科の若い先生から相談を受けた。ひとりはMCV120以上で胃切除の既往がなく、悪性貧血(ビタミンB12欠乏性貧血)と診断がついたそうだ。外注の血清ビタミンンB12の結果が出て、間違いなく低下していた。すでにビタミンB12筋注を4回行っていて、貧血は改善していた。骨髄穿刺をしていなかったし、抗内因子抗体や抗胃壁細胞抗体は測定していないが、まあいいだろう(上部消化管内視鏡検査は当院の健診で受けていた)。もう一人はMCV110くらいで(正球性に近く、本当の大球性ではない)、こちらは予想通りビタミンB12も葉酸も正常域だった。甲状腺機能や肝機能も正常だった。80歳代の高齢者で、Hbが11からゆっくりと10、9と低下している。白血球数も3700と低下気味だった(血小板数は正常域)。MDSなどの骨髄機能の低下と思われる。やっるとすれば骨髄穿刺だが、当院でやるよりは自分で骨髄像を見る血液内科医に紹介したほうがいいのではないか。血液内科への紹介について、患者さんと相談してもらうことにした。もう少し経過をみるのもアリかもしれない。
購入してまだ読んでいなかったmedicinaの4月号「急性疾患、重症はこうして見極める いつまでもヤブと思うなよ」を読み始めた。それにしてもこの題名は山中克郎先生らしい。