昨日87歳女性が救急搬入された。息切れと浮腫という話だったが、搬入されると腰痛を訴えていた。救急当番のは循環器科医だったが、心不全状態はあるとしても軽度で肺炎はなかった。腰痛は少なくとも数か月前からで、今回急に始まったものではなかった。大動脈解離や大動脈瘤破裂はない。
血液検査で血小板が2万でPT・APTTも延長していた。Dダイマーが580と高値。白血球数18000と上昇して、後骨髄球も認めたが芽球はなかった。感染症によると思われた。Hbが8で小球性だった。腰痛でずっとロキソニンを内服していたので、消化管出血が慢性的にあったと推定された。近くの内科クリニックに通院していて、ふだんの様子はわからない。
上肢に出血斑がみられた。採血した部位からの出血がなかなか止まらず、10分以上押さえてもまだじわじわと染み出てくる。DICになっていると判断された。肝機能障害があり、消化器科も呼ばれたが、少なくとも決定的に悪化した肝機能でもなく、CTでみる限り肝胆道系に異常はない。重症肝炎からのDICでもない。腹部所見とCTの所見からは、腹膜炎とはいえない。
血液疾患があるのではと内科に話が来たが、末梢血所見からは判断できない。尿の白血球増加・細菌ありも所見からは、尿路感染症(尿路閉塞とはいえないが、右水腎症軽度あり)から敗血症、DICと進展した可能性を考えた。他の原因があって、膀胱炎もあるだけかもしれないので確診ではないが。
培養を提出して。抗菌薬(カルバペネム)を投与した。血液型の問題で院内に新鮮凍結血漿などがなく、取り寄せになった。プロテアーゼ阻害薬の点滴を開始した。病棟に上がって病室に見に行くと上肢の出血斑が拡大していた。外来で使用した鎮痛薬が切れて、また腰痛を訴えた。再度鎮痛薬を使用すべきかと思っていた時に、呼吸停止となった。結局入院1時間後に死亡に至る(救急搬入後2時間)という速い経過だった。高次医療機関でも、この経過では厳しいと思う。