今日の午後は救急当番だった。救急隊から連絡が来て。79歳男性が背部痛を訴えた後に、意識消失したという。左半身麻痺がある、ということは、大動脈解離が発症して、頸動脈にも解離が波及したと判断された。救急隊が到着する前から、心臓血管外科への搬送は決まっていた。
搬入依頼を受けた時、消化器科の先生と胃瘻造設をしていた。午前中の予定が遅れてしまっていた。チューブを挿入したところで、後はやっておきますと言われたので、急いで救急室に行った。呼名に開眼せず、右上肢を動かしていた。心電図はほとんど異常がなかった。大動脈造影CTをとると、大動脈起始部から解離が両側の総腸骨動脈まで広がっていた。さらに両側の頸動脈も解離していた。心嚢腔にも血液がたまっている。今までみた大動脈解離のうちで、最もひどいかった。
血圧は搬入時に110くらいで、その後に70に低下した。点滴を開始するとまた110~120になった。早速、心臓血管センターのある病院へ電話した。担当の看護師さんが出て、いつもならベットがあれば受けれくれるが、先生と相談して折り返し電話しますと言われた。そこは脳外科はないので、頸動脈に及ぶとどうなのかと思いながら待っていると、受け入れOKの電話が来た。
いったん帰った救急隊を呼んで、搬送しようとした時に、呼吸が停止して脈拍が触知できなくなった。また救急室のストレッチャーに戻して、心肺蘇生を開始したが、なにしろ大動脈解離で、おそらく破裂したと思われる。結局、反応はなく、奥さんに事情をお話して、それからも心肺蘇生をした。また奥さんを読んで蘇生術を中止した。