なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝硬変・肝細胞癌?

2016年08月14日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。肺炎を見逃した33歳女性が発熱・咳が続いて食欲がないので、入院したいと受診してきた。血液検査では白血球数は2万から1万に、CRPは20から8に低下していた。解熱したら退院したいという希望なので、数日だけの入院になりそうだ。抗菌薬(クラビット)は効いているので継続とした。臨床症状よりも検査値が改善するのも変な気がした。

 消化器科で今年から潰瘍性大腸炎(直腸型)の治療を開始した41歳女性は、一昨日の金曜日から肺炎の治療もしていた。腹部症状は特に変わらないという。治療はアサコール内服で、ステロイドは入っていない。

 7月20日ごろから感冒症状があり、咽頭痛は軽快して、発熱と咳が続いていたという。どの時点で肺炎だったか、判断しにくいが、両側肺炎で1週間以上の経過があるようだ。セフトリアキソンを点滴して、あとはグレースビット内服になっていた。昨日も症状が続いて外来受診したいる。当直の外科医がセフトリアキソンを外来で追加していた。今日の点滴の指示が出ていたが、食欲がないのでもっとビタミン剤を入れた点滴も追加してくださいという希望だった。入院を勧めて、一度は帰宅希望だったが、夫と相談して入院となった。

 67歳男性がふらついて歩けないということで救急搬入された。救急隊の話では、左下肢の脱力ということだが、搬入時には左右差がなかった。昨日からの症状だという。若い時からかなりの大酒家で(奥さんは浴びる様に飲んだという)、最近もビールと焼酎を日本酒換算で3~5合は飲んでいる。お盆になってもっと飲んだらしい。

 血液検査はAST/ALTが2倍以上で、γGTP上昇という、アルコール性肝障害のパターンだった。炎症反応がごく軽度に上昇している。自分では気づいていないが、搬入時は37.6℃の発熱があった。意識清明で良くしゃべっていた。慢性硬膜下血腫疑いで検査した頭部CTは異常なし。腹部CTで肝臓辺縁に凹凸があり、肝硬変を呈していた。そして肝右葉に腫瘤性病変があった。造影すると周囲からまだらに造影された。肝細胞癌か肝膿瘍か。外科医(大学病院から日当直に出張)に相談すると、肝細胞癌でしょうという。ところが、腫瘍マーカーはAFPが正常域で、CEAとCA19-9がわずかに上昇していた。胃腸と膵にCTでわかる腫瘍はなく、転移性癌は考えにくい。

 点滴しているうちに、ふらつきには改善したので、今日は帰宅とした。明日受診してもらって、まずは放射線科医に読影をお願いしてから、肝臓を専門にしている外科医と相談することにした。

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