一昨日85歳男性が自宅で倒れているところを息子さんが発見して、救急搬入された。体温が40℃だった。当直医が感染症の検索を行ったが、これと言ってなかった。室内とはいえ、エアコンがあっても使わないので大分暑かったらしい。熱中症の機序だろうということで、入院して点滴を行うことになった。
搬入時の検査でHb6.9g/dlと貧血があった。MCV65なので、小球性貧血(鉄欠乏性貧血)だった。胸腹部CTで盲腸からS状結腸にかけてつながっている不整な腫瘤を認めた。下腹部痛の訴えはなく、圧痛もはっきりしなかった。虫垂炎からの盲腸周囲膿瘍がこうなるかというと疑問だ。盲腸から発生した大腸癌が左側に進展してS状結腸まで浸潤したと判断される。
白血球数増加とCRP上昇を認めた。また筋原性酵素(CK・AST・LDH)が上昇していた。熱中症でみられるようなパターンだが、腹腔内感染症も否定できないので、抗菌薬を投与した。入院後には解熱してきた。腹部症状がなく、空腹を訴えたので、食事を開始してみたが、特に腹部症状はなかった。
腫瘍マーカーは陰性で意外だったが、やはり大腸癌と考えたい。S状結腸が右側に引っ張られている関係で下行結腸へ向かう部位が直線化している。消化器科医は大腸内視鏡を深部まで挿入するのは危険という。腫瘍が浸潤してS状結腸(RSの少し近位)の粘膜面に出ていれば、そこで生検できる。週明けに簡単な前処置で覗いてもらうことにした。